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【理系大学院生海外へ行く②】大学1年秋~2年

東北大工学部を最大限生かした!であろうとんぺー生 (東北大生)としての6年間を振り返るシリーズ第2回です。


こんにちは!工学部学生ナビゲーターとして活動している、田中律羽です。これまでナビゲーター投稿にて東北大学での国際的活動や留学について紹介してきましたが、この数回は、なぜそのような選択をしてきたのかについて東北大学の各種プログラム等を紹介しながらお話しています。
(カバー: シドニー)

時系列に沿って
① 高校生~大学1年夏 
② 大学1年秋~ ←今回
③~ 大学3年以降

のころの行ったこと・考えたことについて、少しお話できればと思います。最初にざっくりと、概要を載せておきます。

留学志望時に応募書類の一つとして作成したものから引用。

①では東北大学全体でのプログラム紹介が中心でしたが、工学部においても学部の授業で知識をインプットするだけに留まらず、それらをさらに深めたり、活用したりできる機会が1年時より与えられていました。私はかなり活用したと思います。

[大学1年~通年] 国際戦略講座 ~授業の外の世界も見てみる~

国際戦略講座 (当時: 国際対応力養成講座)は、工学部の共通教育を担当している「工学教育院」が毎週土曜日に行っている課外講座です。講座では財務諸表を読み解き課題を見つけ、その解決と企業成長の為の事業提案を工学部的視点から行い、企業の方々に評価して頂きます。財務諸表とは企業の成績表のようなもので、これについては講座の優秀な後輩たちが本を出版していますのでこちらに説明を任せます(笑)。受講のきっかけは、説明会のポスターをたまたま見かけ参加してみたときに、先生のお話が印象的だったことです。日英の論文数、特許数、スタートアップの数、大学研究費、「イノベーション」の数などを挙げ比較しながら、"日本のヤバさ"について、そして"世界・日本を知らないことのヤバさ"をお話ししてくれました。「日本は技術大国といわれ(ていた)、世界を牽引する素晴らしい技術 に溢れているが、 欧米に比べてどうしてこんなにイノベーションが少ないのだろう?技術を学ぶ工学部の学生ほど、社会やビジネスに広く関心を持ち学んで欲しい」というメッセージに共感して講座を受講しました。講座の説明は別に動画を作成しましたので、ぜひご覧ください。

国際戦略講座 (YouTube)

 大学1年時は、高校生の時は全く知らなかった新しい分野への挑戦で、分からないことだらけで大変でした。講座の先輩方がとても優秀な方々だったので、その足を引っ張らないように必死に勉強していました(笑) しかしやっていくうちに、新しいことを知ることが好きな私にとっては、企業がどのような戦略を立てているのか、どのような戦略が有効かを数値から読み解き考えることは面白いと思うようになりました。また、企業を成長させるなどの目的を持ち、財務諸表から現状や過去の把握をし、現在の市場や同業他社の分析をし、今後の戦略を立てるというプロセスは、実験のプロセスにも近いと気づき、専門科目と合わせて学ぶことがだんだんと楽しくなりました。合宿を通して先生や企業の方々と交流できたのも、大学1年生としてはとても刺激的でした。

[大学1年生 秋冬] 創造工学研修 ~優秀な同期・先輩との出会い~

 創造工学研修は、工学部で最も人気な授業の一つです。 少人数のグループで研究室に赴き、大学院生に研究方法や器具の使い方を教えてもらいながら研究 (の体験) をしました。その後、たまたま声がかかり研修成果を北京科技大学で発表できる合同研修の機会が与えられました。研修については動画を作成しましたのでぜひご覧ください。①の前編では、研修概要、参加経緯から準備までを、②の後編では実際の研修の様子、学びをお話ししています。

https://youtu.be/FJYR_bbUJio

 専門的内容を英語でプレゼンする、英語で聞き手を引き付ける洗練されたパワーポイントを作る、ということは初めての挑戦でした。発表するだけでなく、質疑応答も英語で行うため、内容も英語も苦労しました。しかし、大学1年生でこうした経験をしたことは、希少性を高めてくれたと思います。いかに見やすく簡潔なパワーポイントをつくるか、聞き手を引き付ける話し方ができるか、専門分野が違う学生でも理解できるように説明できるかなどといった、プレゼンテーションのスキルは、過去に研修に参加した先輩方が春休みの時間を割いて教えてくださいました。その先輩方は、現在あらゆる分野でグローバルに活躍されています。

 加えて、北京研修で得た同じ工学部の中でも専門分野が異なる学生との繋がりは貴重なものとなりました。頭が良いだけでなく、熱意と行動力にあふれた同期達には大きな刺激を受けました。そして今でも彼らとの繋がりは強く、様々な情報交換を行っています。当時は国際学会の"体験"研修でしたが、留学先で本物の国際学会に登壇してきた同期と会ったときは、それぞれのマイルストーンの一つに達成したときで本当に嬉しかったです。
実学では自分の分野の専門性だけでなく、他分野との連携が求められます。一方各学科で専門性の高い知識を学んでいても、学科を超えて協働する機会は、自分から必死に探しに行かないと学内ではまだまだ少ないです。ロールモデルや良きライバルになる先輩・同期に早い時期に出会えたことに感謝しています。

世界遺産ブルーマウンテン

[大学2年] シドニー ~留学を考える~

 そうした彼らの高い向上心と海外志向に良い影響を受け、自分も留学をしたいと考えるようになりました。学内で開催されていた様々な留学説明会や奨学金説明会、また留学報告会に片っ端から参加しました。また様々なロールモデルを知りたいと思い、学内で行われる講演会に時間がある限り参加しました。ローカル~グローバルに活躍する方々の多種多様なお話を聞くことで、多様な価値観を知り、専門分野に凝り固まることなく、広い視野をもって自分のキャリアを考え始めました。こうした機会が学内には溢れていました。ただ自分で探しに行かないと、機会は勝手にやってはきませんから、掲示板やイベントに地道に通うことが大切だと思います。
 その中でも、懸賞作文のポスターを見つけて応募したことがありました。入賞するとなんとシドニーで20日ほどホームステイ付きで語学学校に通えるというのです。面白そうだと思って応募したところ、なんと入賞!2年生の夏休みはこうしてシドニー行きが決まりました。

応募作文より一部抜粋  (「留学で成し遂げたいことは?」に対して)

「グローバル」をはき違えないということです。ただ外国に行ったり英語が話せたりするだけではグローバルとは言えません。私の印象に残っている言葉の中にグローバル人材ではなく「グローバル市民」になれ、というある講演での講師の方からのメッセージがあります。グローバル人材というとキャリア重視、学歴や資格重視で会社の歯車の一つとして働く人をイメージしてしまいがちです。しかし私が目指すのはそうではなくて「グローバル市民」、つまりグローバルマインドを持つ一人の人間です。グローバルマインドとは多様性を受け入れ、かつ多様性や社会の波に柔軟に対応しつつ流されない、というマインドです。外国人として、外から来た人として接するのではなく一人の人間として接することがこれからの社会では必要だと思います。しかしこれは日本にいて受け入れる側しか経験していない場合にはなかなか難しいことです。そこで留学して自らが受け入れられる側になることで、マイノリティをどう受け入れ尊重していけばよいのか、どう接してはいけないのかを逆の立場から学びたいです。自分が身をもって感じたことの方が今後に生きてくるはずです。またグローバルマインドをもつためには同時に「内なる国際化」も必要だと考えています。これには日本や自分を知る、ということが当てはまります。自文化を大切にすること、日本や自分について聞かれたときに答えられることが多様性を受け入れる第一歩です。受け入れるだけではすべての文化がやがては均一化されてしまいます。各文化を尊重し受け入れるからこそ、それらを差別化することができなければ多様性は失われてしまいます。実際、海外で留学先の学生やホストファミリーに日本文化についてや自分の名前の由来を聞かれて困った経験があり、うまく英語で答えられないことに対して恥ずかしくもありました。海外の土地や価値観から日本を見つめ直すこと、普段とは違った環境に身を置いて自分を見つめ直すことができる絶好の機会こそが留学だと思います。
~グローバルに、海外へ、外国人と、と意識しすぎて尻込みしていては意味がありません。どのような価値観や文化に対してもオープンに向き合っていくことでグローバルマインドを形成できると思います。

 背伸びして、勢いで頑張って書いたなあと思いますが(笑)様々なロールモデルになる方のお話を聞いていたからこそ当時そう思いましたし、今でも同じマインドを持っているなと自分で見返して感じました。とにかく、まずはやってみる、走ってから考えるくらいのマインドでいないと世界からどんどん遅れてしまうなという危機感と同時に、意外とやってみたらなんでもできちゃうかもと謎の自信も持てた、そんな経験でした。

ホームステイ先の近くの海辺は、サーフィンの聖地ボンダイビーチ

③へつづく


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