ココフォリア部屋解説~マーダーミステリー「純血種は語れない」
皆様、はじめまして。
エモクロアTRPGやマーダーミステリーのシナリオ制作を行っております、
劇場アラベスクの公式noteです。
当サークルでは先日、マーダーミステリー「純血種は語れない」を公開しました。
こちらのマダミスは、ゲーム自体がココフォリア上で全て完結する形になるよう設計しました。
また、シナリオの特徴の一つでもある、エンディング50種類の分岐も、全てココフォリア上で処理しています。
ココフォリアってこんなことできるんだ!や
お部屋すごかった!という感想の声をいただいたり、
作者も制作中にココフォリア盤面で色々と悩んでいたので
ココフォリア部屋がどんな構造になっていたのか解説をしていこうと思います。
ということで今回は、ゲーム盤面として使用しているココフォリア部屋を一つ一つ解体して紹介していきたいと思います。
※このnoteにはマーダーミステリー「純血種は語れない」のネタバレが含まれます。
未プレイの方は見ないようにお願いいたします。
ココフォリア部屋の構成
本マダミスは、上記画像のようにベースの盤面があり、中央のエリアをスクリーンのようにしてシーン遷移させていました。
中央の画像はマーカーパネルで挿入し、シーンの切り替えごとに内容を変更できるようにしていました。
ちなみに、本マダミス盤面を作るうえで、以下がココフォリアの実装ルールとなっておりました。
カードは、裏面を設定する必要があるため、必ず「スクリーン」で配置しないといけない
シーン遷移は、クリックアクションで実装可能だが、実行には「ルームマスター」または「サブルームマスター」の権限が必要となる
ルーム変数の設定権限も同様
スクリーンで実装する、ということは常に盤面に表示される、ということです。
そのため、後々カードを出現させたい場合などは、中央のエリアの画像と証拠カードとの重なり優先度を調整して、後から出現したかのように見せていました。
シーンのアイコン
こちらは、ココフォリアのルームを配布する上での小ネタとなります。
シーンを作成したルームデータを配布する場合ですが、
シーンのアイコンは前景の画像が適用されます。
そこで、以下のやり方でシーンのサムネイル画像からのネタバレを防いでいました。
カバーにしたい画像や、トレーラー画像を前景に設定
前景を0×0で設定
ハンドアウトPDFの実装
ココフォリアで、「/pdf」コマンドが実装されてからかなりの時間が経っているので、もうご存じの方も多いと思います。
今回は、マダミスで使用するPDF資料をすべて、ココフォリアの「/pdf」コマンドを使用して、ココフォリア上からファイルを開く形式にしました。
使用した外部サービスは、Dropboxのファイル共有機能です。
ただし、そのまま発行される共有リンクではココフォリアからの「/pdf」コマンドでアクセスすることができません。※セキュリティ上の問題?
そこで、Dropboxのドメインを「www.dropbox.com」から「www.dl.dropboxusercontent.com」へと書き換えます。
(※2024/04 現在のやり方です。)
こうすることで、ココフォリアの盤面上からDropboxの共有ファイルを開くことができるようになります。
本マダミスでは、ハンドアウトだけでなくエンディングファイルや解説ファイルでもこちらの「/pdf」コマンドを使用しています。
PDFファイルのメンテナンスも楽になるのでおすすめです。
そして、各プレイヤーだけがハンドアウトを閲覧できる仕組みについても解説します。
マダミスのハンドアウトを他のプレイヤーが閲覧できてしまうと、その時点で重大なゲーム崩壊となります。
プレイヤーの良心に訴えても良いのですが、事故というのはつきものですので、それを防ぐ一例を記載しようと思います。
まず、ハンドアウト実装のやり方としては、PDFで用意したハンドアウトへ、クリックアクションを使用してファイルアクセスさせます。
ですが、クリックアクションは誰でもアクションを起こすことが可能なため、このままでは自分のプレイするキャラクター以外のハンドアウトPDFへアクセスすることも可能となってしまいます。
そこで、ハンドアウトをカードとして実装し、クリックアクションをカードの表面に仕込むことで、プレイヤー一人だけがアクセスできるように権限を付けました。
やり方を紹介します。
まず、カード(表面・裏面)を準備します。
そして、準備したカードの表面にのみ、クリックアクションを実装します。
こうすることで、カードの「全体公開」または、「自分だけ見る」の状態時のみクリックアクションを実行することができるようになりました。
後は、プレイヤー向けのアナウンスとして、
ハンドアウトの閲覧の際は、「自分だけ見る」の状態にしたうえでカードをクリックしてください、のように伝えます。
こうすることで、プレイヤー一人だけがアクセスできるようになります。
感想戦などで、全員がPDFへアクセスしたい場合は、カードを「全体公開」にすれば権限が解放できる仕組みです。
投票システム(エンディング分岐の実装方法)
本マダミス「純血種は語れない」では、エンディング分岐が50種存在していました。
犯人投票とは別に、同盟締結という独自ルールがあり、そこのフェーズでのペア発生によって分岐が存在していました。
そのため、犯人投票先:5種 × 同盟締結:全10種 = エンディング:50種類という内訳になっておりました。
そして、このエンディング分岐を全てココフォリア上で実装し、GMレスを実現させました。
もちろん、完璧な分岐ではなくプレイヤーの方々にも協力していただく形ではありましたが、それでも現状のココフォリアでできうる限りの処理だったのではないかと思います。
エンディング分岐は以下のように処理を行いました。
同盟投票を行い、ペア形成のどのルートになるかを判定
犯人投票を行い、エンディング用のシーンへ遷移
プレイヤーへ、辿り着いた番号のエンディングPDFを開いてもらう
同盟の判定について
各バラのアイコンに「/var PC1同盟先 x69i」のようにクリックアクションが仕込んであります。
変数は、「PC1同盟先」「PC2同盟先」「PC3同盟先」「PC4同盟先」の全4種を準備し、そこに同盟先のキャラクターのコードを入力させています。
ルーム変数を変更させると、ルームチャットへログが出力されてしまいます。
匿名投票とするために、投票先はコード状にして伏せるようにしました。
そして、エンディングのシーンへ移る際に、テキストを出力させるように仕込んでいます。
「@」を付けると、ルームチャットには送信されないのでプレイヤーには見えない形となります。
このテキストが送信されると、部屋に仕込んだカットインが呼び出されます。
現状のココフォリアでは綺麗に条件分岐させることが難しかったため、約80個近くの分岐用カットインが入っています。
同盟のエンド分岐は、このようにカットインで呼び出されます。
後は、犯人投票で、それぞれのシーンに進んでもらいます。
※「/scene ED-A」のように、ボタンにクリックアクションが仕込んであります。
各エンディングシーンには、同盟分岐全10種のエンディングPDFが用意されています。
遷移時に、同盟No.のカットインが差し込まれているので、この番号を元にエンディングPDFを開いてもらう形です。
全50種のエンド分岐は、このようにして実装していました。
同盟のペアの組み方によっては、同じエンディングとなることもあるのですが、同盟者のどちらかが犯人となっていたりするとエンディングの内容も変わっています。
ぜひ、色々な世界線のエンディングにもご興味を持っていただけたら幸いです。
以上、マーダーミステリー「純血種は語れない」にて使用したココフォリアの機能でした。
ココフォリアには沢山の機能があり、作者自身まだまだ使いこなせていない点も多くありますが、マダミスの盤面ももっと面白くできるのではないかと日々考えています。
ココフォリアの盤面を駆使した、面白いマダミスが増えますように。
そしてこの記事が、皆様のお部屋作りなどの参考になれれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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