Ryuchell・Pecoカップルの発表に思うこと
はじめに
最近ロシア関連の発信が主であるが、先週Ryuchell・Pecoカップルの発表のニュースを見て思うところがあったので、それについて書いていきたい。
なお、正直2人が芸能界で活躍しているほとんどの期間モスクワに住んでおり、なんとなくのイメージしか正直ないので、今までの活動がとかそういう部分はよくわからないという状態であり、インスタグラムの投稿と最低限のWikipedia情報をベースに書いていることはあらかじめ申し添えておく。
Ryuchellについて
まず、結婚生活の中で夫・父親という男性的とされる肩書がつくことで自分の性自認に耐えられなくなることは、あると思う。
社会生活を送る中で自分のジェンダーを意識することは、個人差もあるが、それほど多くないのではと思う。そしてそれに対する許容度も人それぞれだろう。
特にRyuchellは「ジェンダーレス男子」という形で、りゅうちぇる/Ryuchellという個性として生きていたのであれば、「自分は自分」として生きることができていたのではないだろうか。
性自認や性的指向を白黒ハッキリさせたい人もいるだろうし、そうなっている人も多くいるだろうが、そこに揺らぎがある場合もある、と私は思っている。
だからこそ彼女が初めて好きになった女性で、人間として結婚して家庭を築きたいと思うほど愛し、そのために男性として生きようと思ったのだな、と私は素直に捉えた。
そして男性としてのジェンダーを受け入れるよう努力しても、納得ができない、受け入れられないことは理解できる。
それとどれだけ折り合いをつけられるか、妥協できるかは個人差があると思う。
おそらく自分の中で耐えられなくなり、今回の結論に至ったのだろう。
Pecoについて
彼女は今回の投稿を見る限りストレートの女性で、この件は青天の霹靂であったのだろうと思う。
「墓場まで持っていってほしかったと一瞬たりとも思ったことはないと言えば噓になります」と語りながら、それでもRyuchellの決断を受け入れ、家族でいることに同意したことは、凄いことだと思う。
パートナーの決断が理解できない、子どもにとって周りと違う家族となることが不安、といった理由からともに暮らしていけないとなる可能性は少なくなかっただろう。
ただ今のところ、愛する人と、子どもと、自分たちのカタチを築いていくという決断をしたことに、拍手を送りたい。
今後の2人について
これは2人が決めたことで、外野がかわいそうとかヒドイとかいう話ではないと思う。
家族のカタチも、パートナーとの関係も、色々なパターンがあっていいと思う。もちろんこれがチャレンジングであることは本人たちも重々承知だと思うので、それに対しては過度に期待をかけずに応援していくことが大事だと思う。
最後に、本筋とはそれるが1点、今回のケースで起こり得る制度上の問題について触れておく。
今回Ryuchellの性自認が女性になって、戸籍上の性別も変えたいと思っている、ということでは必ずしもないだろう。
ただもしRyuchellにその意思がある、もしくは今後その意思が出てきた場合には、法律の壁が存在する。
日本の裁判所HPによると、性同一性障害者(公式の表記がこれなのかと、若干ショックだった)が家庭裁判所で性別の取り扱いの審判をする場合6個の条件があり、その中に「現に未成年の子がいないこと」というものがある。
この点については最高裁で合憲であるとの判断も出ているようで、近いうちに変わる可能性は決して高くないだろう。
そのため、今回婚姻を解消しても、仮に今後性転換手術を受けたとしても、子どもが成人するまでは戸籍上の性別を変えることはできない。
これは「家庭の秩序を混乱させない」「子の福祉を守る」という理由らしい。
今回のケースでいくら「いろいろな家族のカタチがある」といったところで、今の日本では制度・法律の壁があるのだということを、最後に述べておきたい。
P.S. 今回のヘッダー写真は、モスクワでプライド月間に行われたショーの模様である。LGBTQ関連、ということで使用した。
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