【モスクワ在住者】1週間のまとめ＆Youtube動画紹介（2022年9月18日版）

その時点での記録を残すため、1週間のまとめを書きつつ、印象に残ったYoutube動画(基本的にロシア語)を紹介していきたいと思う。

生活レベルの話

• コーラの後継、Добрый Colaを購入。パンチが足りない気がするけれど、まあまあ。

• カーシェアで中国車を見かけるようになってきた。統計ではロシアメーカーと中国メーカーがシェアを維持しているようなので、今後この傾向は増えていくのでは。

ロシア社会の話

• 昨年のノーベル平和賞を受賞したドミトリー・ムラトフ編集長率いるノーバヤ・ガゼータの電子版サイトがメディア免許剥奪に。それを回避するために苦渋の決断として更新を止めていたものの、当局は不十分と判断した模様。

• アメリカでは来週発売されるというiPhone14、ロシアでは並行輸入で10月初旬に販売開始とのこと。ただ価格は1.5~2倍になることが見込まれている模様。

• 下院の秋会期が始まり、早速ジュガーノフ共産党委員長がこれはもはや欧米との戦争で負けるわけにはいかないのだから「動員」を行うべきだ、と発言。政権側は否定しているが、強硬派の発言が増してきている。

• 同じ流れでチェチェンのカディロフ首長が各連邦主体が主体的に動員を行うべきと発言し、クリミアのアクショーノフ氏なども賛同。チェチェンはそりゃいくらでも動員させるだろうけど、他の地域では無理があるのでは。

• 「プーチンのシェフ」の異名を持ち、傭兵集団ワグナーを統括する（とされている）エフゲニー・プリゴジン氏が、自ら（と似た人物）が刑務所で志願兵を募り、実際に戦場に送られているということに関し、「民間軍事会社の傭兵や囚人を戦場に送るか、あなた方の子供たちを戦場に送るかだ。決めればいい」とコメント。

• 欧州人権裁判所からロシアが正式に除外。欧州との隔絶が広がれば広がるほど、国内の人権状況は悪化していくのでは、と懸念している。

• ユーモリストで政権風刺を続けているマキシム・ガルキン氏が外国エージェントに指定される。
  ガルキン氏の妻は国民的歌手の中の国民的歌手アッラ・プガチョワ氏。ネットで見た「プガチョワが外国エージェントの妻になった」という表現は、今のロシアが抱えるねじれを表現していると思う。

• クセーニャ・ソプチャク氏が「未成年に対するLGBTプロパガンダ防止法」違反で捜査されている報道があり、どうやら先週紹介したダリア・カサトキナ選手の動画が対象となっている模様。18禁コンテンツが含まれるという文言を冒頭に入れていたわけで、起訴されさらに有罪になる可能性は低いだろう。
  そもそもこれをプロパガンダというのであれば、権利主張はすべてプロパガンダとみなされる。もっとも現行法の改正案を作成している議員によると、同性愛を異性愛より同等とすらすべきではないという考えをお持ちのようなので、そのように当局は考えている可能性はある。

ロシア語動画紹介

Живой Гвоздь
Наталья Зубаревич / 2022（ナタリア・ズバレーヴィチ/2022）
旧モスクワのこだまの番組に、地域経済学者ナタリア・ズバレーヴィチモスクワ大学教授が登場。
各地域・産業の状況に触れている。基本的には各種産業の生産が減ってきていると。

Правмир
«Такого кризиса еще не было». Экономист Наталья Зубаревич（「このような危機は未だかつてなかった」経済学者ナタリア・ズバレーヴィチ）
同じくズバレーヴィチ教授のインタビュー。
こちらは生放送ではなかったので、より落ち着いて解説されている。所得も、就業率も、品目も、だんだん減っていくと。

Скажи Гордеевой
Дмитрий Рогозин: «Это такой тренинг милосердия»（ドミトリー・ロゴジン「これは慈悲のトレーニングなのだ」）
社会学者ドミトリー・ロゴジン氏が"Скажи Гордеевой"に登場。
自らの生い立ちとともに、世論調査にあるニュアンスや考えを語っている。
「政権に反対することが反逆とみなされる中で、20%の反対は非常に大きい値だ。現在のロシアでは反対は社会不適合どころか、違法であるという状況にある」という話には、勇気づけられた。

RTVI Новость
Мобилизация от Кадырова и Пригожина, бессилие России, циничные отговорки власти / Андрей Колесников（カディロフとプリゴジンの動員、ロシアの無力さ、政権のシニカルな制止：アンドレイ・コレスニコフ）
カーネギー財団所属の専門家、アンドレイ・コレスニコフ氏による現在の政治状況に関する鋭い考察。

RTVI Новость
Настоящий рост цен начнется с ноября и от чего придется отказаться россиянам / Владислав Иноземцев（本格的な価格高騰は11月から始まり、何をロシア国民は諦めざるをえないか：ウラジスラフ・イノゼムツェフ）
経済番組"Вы держитесь!"。今週のゲストは社会学者・経済学者ウラジスラフ・イノゼムツェフ。基本的に楽観的でない見通し。ビザ問題のところは意見が合わない部分があったが、（特に個人対象の）制裁の出口戦略がないというのは同意。

Varlamov
Россия остановила «Северный поток»: что теперь будет? | Газпром, Европа, санкции, потолок цен на газ（ロシアがノードストリームを止めた：何が起こるか　ガスプロム、欧州、制裁、ガスの価格上限設定）
天然資源をめぐる状況に関し、経済面だけではなく政治面も取り入れて考察している。

Осторожно: Собчак
Патриоты и власть: станут ли сторонники спецоперации силой, которая угрожает Кремлю?（愛国者と政権：「特別軍事作戦」支持者は政権にとっての脅威となり得るか）
ロシア国内ではこの「特別軍事作戦」を支持している層から「生ぬるい」「何をやっているんだ」というような政権や軍に対する批判が出てきている。
それらが実際どのような状況になっているか、また政権に対して脅威になるかを紹介した動画。