科学コミュニケーションの軌跡を言語化するということ
ごきげんよう(^o^) たがやすの林です。
たがやすnoteが始まって数日が経ちました。
少しずつ皆さんにたがやすの土壌をおすそわけしていきます。
ご覧いただく前に、何者かだけちょっとご紹介。
2月からたがやすメンバーとしてご一緒している林加奈(はやしかな)と申します。「かなぶん」から派生して、「ぶん」と呼ばれています。
地元は岐阜県関市、少し前まで関市を中心に市民活動・地縁組織の支援の分野でお仕事をしていたのもあって、対話の場づくりを体感するのが大好きです。だいたい何か口に含んでいます。最近は散歩を始めました。
さて、今回は、「科学コミュニケーションの軌跡を言語化するということ」として、直近で開催された2023年2月24日の「VESPa×神通川流域治水合同ワークショップ」をレポートします。
すでによく分からない単語が出てきていますよね。
ちょこっとずつお話します。
科学コミュニケーションって?
たがやすでは、科学者と共に、行政や市民といったまちの人たちへ科学者の知見を共有し、ともに地域の課題を見つめる土壌づくりをしています。
こういった取り組みは「科学コミュニケーション(サイエンスコミュニケーション)」と言われ、文部科学省ではこのように説明されています。
さらに詳しく見たい方は、こちらが参考になるのでご覧ください。
リベラルアーツガイド-【サイエンスコミュニケーションとは】具体的な取り組みからわかりやすく解説
まちの中には、自分が住んでいる地域のまちづくりについて話し合える機会が探せばたくさんあります。しかし、私が体験してきた中では、「この話し合いの輪の中に専門的な人がいないね」という場が少なからずあります。
専門家や当事者がいない場というのは、せっかく議論したくても現状が分からず、想像で課題を語られてしまうといった危うさがあります。
市民の皆さんも、大事な時間を使って参加しているのだから、もっと充実した時間を過ごしたいですよね。
科学コミュニケーションは、その意味では専門家が見えている景色や課題意識がみんなに共有され、実際に取り組んでいける主体であろう市民や行政が納得感を持った解決策が生み出されやすくなるのではないかと思います。
たがやすでは、科学コミュニケーションとして現在ご一緒している「VESPa」と「神通川流域治水プロジェクト」があります。
それぞれのプロジェクトをご紹介します^^
VESPa~生態系サービスの見える化による住民参加型制度の実現可能性評価と政策形成過程への貢献~とは
VESPa(ベスパ、Visualizing Ecosystem Services for Participatory System)とは、愛知県を流れる農業用水「木津用水」と、岐阜県をを流れる農業用水「曽代用水」を対象に、
生態系サービス(雨水排水や、環境維持など)の見える化による、自治体から土地改良区への科学的根拠に基づく支払制度化、また持続的な住民参加型の管理制度について研究し、政策形成過程に貢献していくプロジェクトです。
詳しくはこちら。
むむ…!?難しい。。ですよね。
ざっくり言うと、「持続可能な河川と用水管理について検討してきましょう」というプロジェクトです。
たがやすでは、木津用水での取り組みについて、ステークホルダー間の関係性の構築や、現状認識を共有し、解決へ動くためのプロセスにご一緒しています。
とは言いつつ、いきなりたくさんのステークホルダーと一気に話しましょう!とスタートはせず、
2021年度は小牧市、2022年度は春日井市、そして2月に行われたワークショップでは省庁、県、各市町(小牧市、春日井市、大口町)と、行政の方々からスタートし、徐々に部署・地域の輪を拡げながら、お互いに認識している課題を共有しています。
(Facebookページにて活動ご紹介中!)
神通川流域治水プロジェクトとは
こちらはホームページがあるので引用します。
こちらのプロジェクトでは、2021年から農業、学校、病院、議員、防災士会、地元の経営者、ダム管理者、富山県、富山市、河川国道事務所といった多様なセクターが話し合うワークショップを開催し、課題認識や、またお互いにどんな関係性があるのかなどを共有し、話し合いを積み重ねています。
どちらのプロジェクトも、科学者発から始まったプロジェクトで、
文科省直轄組織 日本科学技術振興機構JSTの採択事業です。
VESPa:科学技術イノベーション政策のための科学_生態系サービスの見える化による住民参加型制度の実現可能性評価と政策形成過程への貢献
神通川流域治水プロジェクト:RISTEX_SOLVE for SDGs-流域治水に資する動的運用ルールの共創手法の構築と展開
それぞれのプロセスを進めていくうちに、ステークホルダーや科学者の認識に変化が生まれつつあります。
実際に何をした?そこにはどんな感情(意図)があった?どんな変化が?生まれた?
どんどん進んでいく前に、ちょっと立ち止まって、お互いのプロジェクトのプロセスを言語化し、知見交流しましょう!ということで、関係する科学者&たがやすメンバーにて、2月24日に「VESPa×神通川流域治水合同ワークショップ」を開催しました。
2月24日開催「VESPa×神通川流域治水合同ワークショップ」レポ
このワークショップは、お互いのプロジェクトにおいてステークホルダーとの議論ににおけるアプローチ、プロセス、効果について、よかった点やそうでなかった点を意見交換しながら、プロセスの意図や実施したことを言語化しましょうという目的で集まりました。
今回はたがやすメンバーも共に場を作ってきた一員として、同じテーブルにつき、一緒に話し合いました。
まずは実施したことを思い出しながら書き出します。
そこに、「一人ひとりの行動」を書き出し、さらにその「意図・思考」、「その時の感情」について、グラフィックで可視化しながら、じっくり振り返りました。
「プロジェクトを進めていくときに、『自分たち(科学者)だけでは限界がある』!と思って、そこからたがやすと一緒に進めることにした」
「すぐにワークショップを開催するのではなくて、キーマンへのヒアリングから始まった。それが、事前に参加者の課題を知ることにもなり、ワークショップにお招きしたい人たちがより鮮明になった」
「市民が科学者から話を聞かれることで、受け止められた感が生まれ、とても嬉しそうだった」
「話すこと、また相手に寄り添うことで、自分ごと化が進む」
などなど、これまでの軌跡から、当時考えていたことや、振り返ってみて改めて大切だったプロセスが再認識されました。
実際の科学者の声として、参加メンバーの原田先生からも感想をいただいています^^
そして、科学コミュニケーションの意義としては、
・研究者が発言することで、行政では言いづらいことや、市民が聞きづらいことが同じテーブルに並べられる。
・共通認識を持つことから始まる。そこから初めて、役割分担や仕組みの話へ、自分ごと化へ広がっていく ということが確認できました。
テーブルで生まれた疑問が、科学的な知見が持ち寄られることですぐに解消できる。中立的な立場だからこそ、介入して切り込んでいく力がある。
科学者が場にいる、ということのパワフルさを体感するとともに、
市民と語られる場がもっと増えていって欲しいな、と感じました。
ちょっと立ち止まって話しましょう、というのは一見すると早く次のプロセスに行きたいのに、減速してしまわないか?と感じるかもしれません。
ですが、今回のワークショップは、わたしたち自身のこれまでの軌跡を言語化したことで、一人ひとりの感情、改めて目指していきたい方向性、これからも大切にしたいプロセスが共有されました。
この言語化が、次の場づくりに大きく影響し、さらにみんなで遠くまで躍進できそうな気がしてなりません。
以上、長くなりましたが24日のレポートでした(^^)
ここまで読んでみて…「私も参加したい!」という声が聴こえてきそうです。
ええ、ぜひ、参加しましょう!笑
神通川流域治水プロジェクトに参加しませんか?
ただいま、神通川流域治水プロジェクトの今年度第3回目ワークショップのご参加を募集しています\(^o^)/
第3回となる3月18日は、企画案をグラフィックレコーディング(ポスター)にまとめます。小プロジェクトの企画を考える全3回のワークショップを通じて、参加者の皆さんと流域治水との距離感や見え方の変化について捉えていきます。
ぜひ、お申し込みくださいませ!
初めての方も安心して、楽しく参加できるワークショップになっています。
皆さまとご一緒できることを楽しみにしております♪
それではごきげんよう(^o^)ノシ