総理大臣杯に向けて 2年 後藤健太
遡ること約1ヶ月前の、7月16日。
東京学芸大学蹴球部は、14年ぶりとなる全国大会への切符を勝ち取った。
私自身、全国大会への出場が決まって、こんなにも心から嬉しいと感じたのは、これまでのサッカー人生で恐らく初めてではないだろうか。
高校時代は全国大会出場が「ノルマ」のような感じだったため、当時を思い返しても決勝に勝ってチームメイトや監督・コーチと熱い抱擁を交わした記憶があまりない。(笑)相手チームからしたら、可愛げのない高校生たちだったであろう。
話が少し逸れてしまったが、東京学芸大学蹴球部が全国大会出場を勝ち取るまでの道のりは決して簡単なものではなかった。
一昨年、東京学芸大学は関東2部リーグから東京都1部リーグへ降格した。現在チームの中心として活躍している4年生のほとんどの選手は、この降格の瞬間をピッチの上で味わった。その時の悔しさは、相当のものであっただろう。しかし、先輩方はその悔しさをパワーに変え、チームを引っ張り続けてくれた。順調に勝利を重ねていったチームは、昨年12月30日の昇格決定戦に勝利し、1年での関東リーグ復帰を果たした。1年で関東リーグの舞台に戻ってくるのは、決して簡単なことではない。それでも1年で戻ってくることができたのは、間違いなくいまの4年生の存在があったからだ。ここで少し4年生の話をさせてもらいたい。今年の4年生は、一言で表すと全員が「人格者」だ。私は、毎日の練習に対する4年生の取り組みをみてそう感じた。最もそう感じたのは、紅白戦やシュートゲームを行うために、ゴールを運ぶ際のことである。普通に考えれば、下級生がゴールを運ぶのが当たり前の光景であろう。しかし、この部活はそうではない。最上級生の4年生が率先して下級生と一緒にゴールを運ぶのだ。時には、下級生よりも早くゴールに辿り着く。決して下級生と勝負しているわけではない。「練習時間を1秒たりとも無駄にしたくない」「一回でも多くボールを触りたい」というサッカーに対する純粋な心があるからこそ、このような決して当たり前ではない行動を当たり前のようにとることができるのだ。だから、私たち下級生はピッチの上で4年生を助けようと必死にプレーし、4年生と勝利の喜びを分かち合うため、最後までがむしゃらにボールへ食らいつくことができる。
そして、やっと4年生と戦う全国大会が幕を開けようとしている。私は、4年生にこの舞台に連れて来てもらった。今度は、自分が決勝の舞台に4年生を連れていく番だ。
14年ぶりの全国大会、心から尊敬する4年生と1試合でも多く一緒に闘いたい。
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