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2019.11.24 "21_21 DESIGN SIGHT マル秘展"に行ってきた

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展示会が始まる前からずーっとずーっと楽しみにしていた「マル秘展」に行ってきた。

なにがステキって開催前の準備期間から、今回のディレクター、Takram 田川さんがツイートしてくださっていたこと。美術館&博物館オタクとしてはたまらない。もともと学芸員になりたくて学芸員資格を取った展示オタクとしてはもうこれだけでテンションマックス。

というわけで感想を書き留めていきたいと思うのだが、うっかりメモ帳を忘れた私は、気になるものを写真にだけパシャパシャおさめて帰ってきてしまったので、色々と記憶が曖昧。

あと、デザインについてド素人なので、誰がどれをデザインして、みたいなところはまったく意識せずに見てしまった(せめてデザイナーさんの名前はちゃんと写真でメモっとけばよかった)なので、色々と間違ってたらごめんなさい。

■圧倒される情報量

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入ってすぐ(正確には階段をおりてすぐ)の展示は、日本デザインコミッティーの過去のポスターやハガキDMたち。ひとつひとつ見ていたら、これだけで1時間ぐらいあっという間に経ってしまいそう。

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そしてこちらも圧巻の映像展示、実際のスケッチやアトリエでの制作風景が淡々と流れるだけなのに、手先の細かさや、じわじわと形になっていくデザイン、ナレーションも説明も一切ないけれどまったく見飽きない。鉛筆のシャッシャッて音とかも心地よくて。
しばらく見入ってしまい(たぶん2周見た)なかなかメインの展示ブースに移れなかった。

■ボツもメモも手帳も

こんな感じでとにかく展示ひとつひとつの情報量がすごい。情報量がすごいがゆえに、ひとつひとつじっくり見ようとすると1回では足りない。

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最初に目にとまったのがこの「実現しないことになった計画」という、庭の設計図。最終的に世に出たもののデザインの素案が見られる展示だ、と思っていたものだから、ああ、そうか、デザインしたものの実現しなかったものもあるのか、と当たり前のことに改めてはっとした。

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次に気になったのは包丁のグリップ。製品化される際には処理されるであろう部分がまわりに残っているのがぐっとくる。
普段使っているどんなものでも誰かがデザインして作ったんだよな、というのは今回の展示全体を通じて思ったこと。何気なく使っている包丁のグリップだって、デザインされて、一枚の金属から、こうしてニュッと形になってる。お魚みたいな形なのがちょっとかわいい。

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カラフルに並んでいたものだから、公園の遊具のミニチュアかしら?と思ったけど、おそらく右の「PUSH & PULL」という名前を見るに、引き出しとかドアとかの引手部分なのでしょう。

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今回、多くのデザイナーさんの「手帳」も展示されていたのだけれど、どれも個性的で素敵。1日ごとにみっちり書いてある人もいれば、なにかわからないけれどスケッチが書かれていたり、写真のように落ち葉が貼られているものもあった。たしかに気になる形の葉っぱ。

■松永真さん 「承認までに1年を要した」

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普通の展示であればキャプションは作った本人以外の人が書いていることが多いけれど、すべてではないが、一部キャプションはデザイナーご本人が書かれた様子。こちらはグラフィックデザイナーの松永 真さんの展示。

「私が初めてデザインしたパッケージ」というのもなかなかエモいのだけれど、その後の「3分でひらめいたアイデアだったが、承認までに1年を要した」というところもぐっとくる。デザインあるあるのような気がする。

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こちらも同じく松永さんデザインのベネッセのロゴ。この黄ばんだセロハンテープ!切り貼りして試行錯誤したあとが見える。完成どころか印刷してしまえば見えなくなるこの「痕」がすごく良かった。ベネッセのロゴを見る目が変わる。

■面出薫さんの美しすぎるスケッチ

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こちらは照明デザイナーの面出さんのデザイン。とにかくスケッチが美しい。ひとつひとつがアートなのではないかと思うぐらいに美しい。
私が気になったのは、東京駅の照明デザイン。建物のスケッチに、トレーシングペーパーのような紙を乗せて照明を書き込んでいってるのが印象的だった。照明ってこうやってデザインするんだなぁ、と。

■みんなだいすき原研哉さん

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展示スペースの中でもひときわ人だかりができていた原研哉さんの展示。スケッチとかは他の方がたくさんアップされていたので私はこのペーパーウェイトを。この車だけでなく、ほかのところにも置かれていたのだが、ひとつひとつデザインが変えてあって、この展覧会のために作ったのかしら?と。そんなところも気になってしまった。

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もうひとつ気になったのが、このスケッチ。サービスの構想のためのスケッチ、というのがもはや常人の私にはよくわからなかったのだけれど、イラストのかわいさと、修正液のリアルさが気に入った。カスタマージャーニーマップともちょっと違う、不思議な1枚。

■佐藤卓さんが生み出した21_21

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わたしも大好きなグラフィックデザイナー、佐藤 卓さんのスケッチ。21_21で企画された『デザインの解剖展』『デザインあ展』もめちゃくちゃ楽しくて印象深い。
今回たくさんのロゴスケッチがあった中で、やっぱり一番気になったのはこれ、「21_21 DESIGN SIGHT」のロゴ。ニーイチニーイチとフリガナが入っているのもきゅんとする。

■深澤直人さんの玉ねぎとレゴ

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今回の展示会で一番ツイートされている気がする、この玉ねぎの皮とレゴブロック笑。プロダクトデザイナー深澤直人さんの展示。
きっと頭の中でアイデアが浮かんで、それを具体化したり、人に伝えたりする作業の中で作られたものなのだろうけれど、たしかに説得力がすごい。なるほど玉ねぎの皮みたいな色合い(手触り?)ですね、って担当者も納得したんだろう。

■山中俊治さんが生み出した13.5度の傾き

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デザインエンジニア山中俊治さんのブースも人だかり。ひとつひとつのスケッチが精緻でメカメカしたかわいさもあり、写真に残したくなるものばかりなので納得。
でもその中で私が一番気になったのはSuicaのタッチ式改札のデザイン。海外でもタッチ式の改札は色々あるけれど、どこにかざしていいのかわからなかったり、反応が悪かったり、デザイン面でもあまりおしゃれでなかったり、と色々残念設計だったりする。日本も、もしかしたら山中さんがデザインに関わっていなければ、そうなってたかもしれない。今や当たり前になったタッチ式改札の始まり。関連の記事も見つけたので載せます。

■隈研吾さんのとめどない構想

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高輪ゲートウェイ駅のデザインを手がけた隈研吾さんのメモは、とにかく量がすごかった。雑然と敷き詰められたメモ、メモ、メモ。不思議とスケッチはほとんどなくて、とにかく文字が書いてある。紙に統一感はなく、そこにあった紙に書きました、という印象。新聞かチラシかなにかの余白にまでみっちり。脳からアイデアが溢れ出して仕方なくて、もう書き留めるのがやっと、というような印象を受けた。

■須藤玲子さんのやさしい付箋

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テキスタイルデザイナー須藤玲子さんの展示は、丁寧に付箋で補足のキャプションがつけてあり、そのひとつひとつも素敵だった。特に、だれそれさんに依頼された、とか、だれそれさんが具体化してくださった、というように、関わった人の名前を出しているのもやさしさが伝わってくる。
先述の通り、自ら書いているキャプションというのはどれも魅力的。今回、マル秘展のポッドキャストも公開されているけれど、それもデザイナーさん本人の言葉が聞けるという意味で貴重。

■永井一史さんのスケッチから完成まで

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展示を見ていて思ったのは、見ていてもどれが最終型なのかわからないものも多い、ということ笑。それが逆に面白かったりもするのだけれど、アートディレクター永井一史さんの展示は、そこがとてもきっちりしていて、このデザインがこうなって、こうなって、こう完成しました、という順序で並んでいた。ヘルプマークもそのひとつ。タグにして提げたときの視認性なども考慮されているのだなぁ、と思った。

■新見隆さんの展示スペースが足りない

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平置きだけでなく、壁側に展示されているものもあったのだけれど、その中でもキュレーター新見隆さんの展示スペースは衝撃。本来の展示であれば絶対にやらないであろう、展示ケースの側面も底も全部使って、ケースいっぱいいっぱいに見せていた。
学芸員のプロである新見さんだからこその遊び心なのかもしれない。置かれているものが、もはや何の何なのかもよくわからないということも含めて見応え抜群だった。

■田川欣哉さんに心からのありがとうを!

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展覧会にその展覧会自身の企画書が置かれている、というのもなんだかメタ的で素敵だなと思った。最後は今回の展示ディレクター田川欣哉さん。メルカリのリブランディングの写真は色々な人がアップしていたので、私はこの展覧会のスライドを。
ディレクター職としてやっぱり気になったのがスケジュール。素人感覚ではあるけれども、結構なタイトスケジュールだったのでは…!?と思ったのだが、もちろん田川さんも他のデザイナーさんたちも、この展覧会だけにつきっきりなわけではないし、きっと忙しい中ご準備されたのだろうなと…。

とにかく素晴らしい展示だったのは言うまでもなく、さらに素晴らしいことにこのマル秘展は来年の3月まで見れる上に、通常チケットから年間チケットへのアップグレードもできるという最高のサービスが。

通える展覧会、最高じゃないですか。
そしてきっとこれは一緒に行く人と意見交換しながら見るとさらに深まる展示なのでは、と。ということは、一緒に行く人を変えて何度も行けば、さらなる発見があるとうもの。これは年間パスを買うしかない。

次回、また新たな発見をnoteに残したい。


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