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何もしようとしなくても何かが起こる

ハワイでだらだら過ごす機会があった。ハワイでは「何もしない」のが勝ち、何かしたら負けだという信条があるので、基本的に何もしていないんだけれど、それでもハプニングは起こる。

Ocean Tower Waikoloa, Hilton Grand Vacations

ハワイ島北西部のワイコロア地区にある、Waikoloa Beach Resort の中にある、Hilton Waikoloa Village の中にある、Ocean Tower に滞在した。

ここには三つの宿泊タワーがあるんだけど、Ocean Tower は Hilton とは別会社である Hilton Grand Vacations が運営している。これはタイムシェア型の施設で、事前に何百万円とか何千万円とかのオーナー権を買った人たちが滞在するのが基本的な運用形態だと思う。思う、というのは、私はオーナーではないからだ。

公式サイトでも、オンライン旅行代理店でも、ホテルとして Ocean Tower の宿泊予約ができる。できるんだけど「これほんとに泊まれるのか? オーナーじゃなくてもほんとに大丈夫なのか?」っていうのがよく分からなかった。

チャットしても要領をえない返答だったので、仕方なく電話した。けど要領をえない。チャットでも電話でも「うん泊まれるよ。メンバーシップもあるから転送するね」という流れになる。これが単純にセールストークをしたいだけなのか、その手続きが本当に必要なのかがはっきりしない、という点で要領をえない。

現地でチェックインすると、普通に泊まれる。ただし「カードキーはあちらで受け取ってください」と案内されたデスクで、オーナーシップの営業を受けることになる。そういうプロトコルなのだ、と理解すればとくに困ることはない。いいえ結構です、を繰り返していると、カードキーを渡してもらえた。

レストランや売店が閉まっている

オフシーズンで滞在客が少ないらしく、リゾート内で閉まっている店がある。

一番楽しみにしていた Kona Brewing Tap Room が閉まっている。なめてんのか。

それから、ちょっとしたサンドイッチやコーヒーなんかが買える売店も閉まっている。こういう店があればリゾート内だけで過ごせると目論んでいたのだけれど。

ボートがあまり出ていない

このリゾートは六〇エーカーの面積がある。東京ドーム五個ぶん。エントランスと Ocean Tower は反対側に位置していて、歩くと十五分くらいかかる。そのため移動手段の補助として、トラムとボートがある。

トラムは簡易な路面電車のようなもので、これがメインの補助移動装置になっている。歩くのと同じ程度の速度だけれど、荷物があるときや、疲れたときには便利だ。

もうひとつリゾート内の池というか運がというか、とにかく水が溜まっているところを、ボートに乗って移動できる。実は池の底にレールがあって、運転手はスタートとストップだけしている。以前は、ボートががんがん動いていたんだけれど、今回は一、二艘が動いているだけだった。待っているうちに、本当に日が暮れてびびった。

レンタカーやコンシェルジュも早く閉店する

予定を詰め込まず、思い立ったら出かけるという方針にしていたけれど、「明後日あたりにパラセーリングに行きたい」となった。パラセーリングの事業者は、ホテルから五〇キロほど離れた町にある。これはオンラインでぎりぎりまで予約できる。

問題は移動だ。自由度を考えるとレンタカーかと考え、ホテルに入っているレンタカー会社のウェブサイトを見ると、当日には一台も空いていない。そんなばかな。どうも午後四時に閉まっていて、ギリギリの予約を受け付けないようになっているようだ。時計を見ると午後六時。もはや事務所も閉まっている。

ライドシェアは現実的ではない。このリゾートは周辺数十キロに何もないところに突然存在しているので、空いてるドライバーがいないことが多々ある。なんとか適切な移動手段を確保する必要がある。

これはコンシェルジュに頼むパターンなのでロビーに出向くが、誰もいない。コンシェルジュも早上がりらしい。フロントに助けをもとめたけれど、そもそも仕事が違うので助けてもらえない。

英語で電話をするのは本当に苦手だ。身振り手振りが使えないし、筆談もできないし、相手の発言を聞き取れないときに口の動きを見ることもできない。けれど私が張り切ってここにきたという事情もあって、仕方なく電話した。汗だくになって、タクシーとシャトルの間みたいなサービスを予約した。

HONDA

シャトルの会社から、SMS で確認メッセージが来て「この電話番号ってことは、あなたはタナカさん(仮名)?」と来た。うわーめんどくさい。海外用の SIM を借りたんだけど、こんな番号は使い回されている。過去にタナカさんがこの電話番号を使って、かつ、このシャトルを使ったことがあるのだ。

「違います。一時的なSIMなんです。フルカワです」

で、済む話であるはずなんだけど、ここに電話の副作用があった。

電話口やスタバで、口頭で FURUKAWA を伝えるのは面倒なので、「HONDAです」と名乗ることにしている。日本の名前で、かつ覚えやすいし、綴りを口頭で説明しやすいから。

「違います。一時的なSIMなんです。フルカワです」
「え? HONDA じゃなくて?」
「あ、いえ HONDA です。本名じゃないんだけど、電話口でHONDAのほうが分かりやすいと思って」

などど、余計なメッセージを送ることになる。

そして翌日、自分が HONDA と名乗ったことをすっかり忘れて、運転手と軽いすれ違いがあったが、それはまた別の話だ。

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