03.大阪F1計画(2)

大阪F1開催実現のために

興味深いのは下記の大阪観光局の溝畑宏理事長のインタビュー。ポイントとなりそうな言葉をいくつかピックアップしました。

https://jp.motorsport.com/f1/news/f1-2024-osaka-grandprix-plan-interview-with-mizohata/10573728/

「でも実は今から1年ほど前(2023年初め頃)、大阪にF1を誘致できるものなのか、しっかり調査してみようということになりました。ある時はシンガポール、ある時はヨーロッパに行き、関係者と接触を重ねていきました。」
「大阪観光局が誘致の主体となりますが、しっかりと民設民営のスキームを作ります。大阪府や大阪市に赤字を補填してもらうような、そんな形にはしません」
「観戦券収入とスポンサー収入だけの従来のビジネスモデルとは違った視点でできないか、それにチャレンジしたいと思っています」
「サーキットを作るのであれば、そこが365日稼働してF1以外のレースも誘致し、様々なイベントや会員から収入を得る。~~関連するビジネスを集積させ、全体で稼働させる形を考えています」
「公道でやるならどこなら可能なのか、それはAパターンとして考えています」「もうひとつ、新しいサーキットを作り、ビジネスを構築していくというパターンも想定しています」
「このプロジェクトは、1〜2年で勝負をつけるものではありません。成功するには長い時間が必要になります。でもまずやらなければいけないのは、公道なのか常設サーキットなのかを決めるということ。そしてどちらがリスクが少ないかということを見極めることです。1年くらいで全体の概要を皆さんにお示しして、そして絵姿をFOMに提出しなければいけないと思います」
「公道でやらないということになれば、野球で言うボールパークとかそういう発想になると思います。サーキットを中心とした、自動車のテーマパークということになると思います」

この話の中で夢洲で、という話は敢えてされていないようでしたが、前述のとおり夢洲での開催は大前提になると思います。
梅田や難波のど真ん中でとか、箕面(みのお)の北の山中、はたまた和歌山県境の山中にサーキットを作ろうとも考えてはいないでしょう。

パーマネントサーキット案の場合

パーマネントサーキットを作る場合、さすがに年に1回F1を行うだけでは、そのコストは回収できません。
そこで他にもレースを行う事になるわけですが、F1を開催できるいわゆるグレードAのコースで行えて、集客の望めるレースイベントはせいぜい年10回(F1、SF、SGT、WEC、S耐+2輪)です。
大阪とはいえ、それも全てのレースがF1のような集客を望めるわけではありません。
溝畑宏理事長の言葉にもありますが、サーキットだけを作ってレースの集客で利益を上げるというのは非常に困難でしょう。
富士やもてぎでも周辺に様々な施設を作り「クルマのテーマパーク」的な位置づけをも考えて作られていますが、それでも決して楽な経営状況ではありません。
いくら大都市大阪から近いとはいえ、既に莫大なコストをかけている夢洲ではそれだけでもまだ足りないと思われ、さらなるアイディアが必要です。

市街地コース案の場合

ラスベガスが良い例になるでしょう。IRを誘致し、ホテルを林立。その合間を縫う道路でレースを開催するというものです。
この案の場合、レースそのもので利益を上げる必要はありません。まずIRや観光で利益を上げ、そこでF1を開催することで集客や知名度の向上に繋げるという方策になります。
ただし、レースを実施する度にガードレールやフェンスといった安全対策やピット設備の設営・撤去の作業が必要になり、開催コストが嵩むのがデメリットになります。

ハイブリッドコース案

そこで私が勝手に考えたのがハイブリッドコース案です。
通常時は市街地としておき、イベント時には短期・小工数でサーキットに転換可能な仕組みを組み込んでおくことで、低コスト市街地コースとする案です。

ガードレールのような固定設備は予めレースを想定して設置。フェンスは街の景観に関わるのでテックプロバリア(衝撃吸収用の特殊クッション)と共にレース時に設置した方が良さそうです。
スタート・ゴール地点周辺はさすがにレースを想定した常設の建造物が必要になるでしょう。それ以外は道路幅を十分に確保しておけば、IRのような観光地としての街づくりが可能なはずです。

コース沿いのホテルは、宿泊部屋に居ながらレースも観戦できるというモナコのようなスタイル。
ピットも平常時は平屋の店舗として使用可能なように開放。
それ以外の場所は、フェンスの設置を想定した道路幅さえあれば、市街地コースのラスベガスやシンガポール、アゼルバイジャンでも実績のあるとおり普通の街づくりが可能なはずです。

スペインで開催予定のマドリードもこのようなコンセプトなのかもしれません。

F1スペインGP、2026年よりマドリード市街地コースで開催。2035年までの長期契約を発表

大阪吉村知事がF1開催に関して、道路の舗装についても言及していたと思うのですが、良くレース界では「日本のサーキットはハイグリップ。ヨーロッパはミューが低い」と言われます。
そのような低ミューの舗装にしてコストが下がるのなら、それも良いのではないかとも思いましたが、調べたところいずれにしてもF1開催するようなサーキットともなると特殊な舗装が必要になるそうです。

 通常の道路よりもシビア?サーキット舗装の実例
 https://www.topcon.co.jp/media/infrastructure/road_pavement/

普段は人の少ない倉庫街・工場地帯にしておくのも一案では?と考えましたが、そのような大型車が多く通るような道では道路への負荷が大きく、レース用の高価な舗装には向かなさそうです。
やはり、IRベースになるのが自然な考えになりそうです。

もう一つ付け加えるのでしたら、せっかく居住地域から離れた場所に作るのでしたら、屋外ライブ会場としても使えるようにできないでしょうか、と思っています。
メキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、元々敷地内にあった野球場を一部解体し、今は元野球場の中をマシンが走る設計になっていて、レース終了後の表彰式は他のサーキットとは異なる趣向で盛り上がってます。
これは元々野球場があったわけですが、あらかじめ設計として組み込み、ピットビル前にはステージを(レースの時はそこで表彰式)。観客席も正面は常設ですが、それ以外は可動式の仮設スタンドでライブ時はステージに向くように移動させられれば、ライブ会場として使うことも可能ではないでしょうか。


と色々妄想を書きましたが、溝畑宏理事長のコメント通り、現時点では具体的なことは全く決まっておらず、実現するにもまだ当面先の話になりそうです。
しばらくは、みなさんで実現性を気にすることなく夢物語を語って楽しむのもまた良いのではないでしょうか。

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