02.大阪F1計画(1)

大阪がF1の誘致活動を行うことを発表しました。

明らかになった大阪F1誘致計画。既にシンガポールGPも視察「大阪が国際観光都市を目指す上で、絶好の起爆剤になると考えている」


F1誘致、大阪観光局が表明 「経済効果は大きいが、自治体として赤字になる恐れも」辛坊治郎が指摘


「F1」を大阪に!誘致目指す 『海外の富裕層の呼び込みなどに効果的』と大阪観光局 吉村知事も賛同

旧来からのレースファンには、全体的に否定的な声が多いようです。
主な意見をみているとざっと下記の3種類に集約されそうです。
「伝統の鈴鹿を差し置いて・・・!鈴鹿の代替にはならない」
「市街地レース増やしすぎでは?」
「万博のネガティブイメージから目をそらそうとしているのでは」

1.鈴鹿との比較

 日本のF1レースと言えば、誰もがその舞台として鈴鹿サーキットを思い浮かべるでしょう。
 2007年、2008年に富士スピードウェイでF1が開催されましたが、撤退し、2009年からは再び鈴鹿サーキットでF1が開催されています。
 鈴鹿サーキットでのF1開催は1987年から長きにわたって開催されており、数々の名勝負が繰り広げられ、伝統的でもあり特徴的なコースレイアウトは評価が高く、その運営のクォリティについても各方面から高評価を得ています。
 そこに大都市大阪が参入してきたとして、レースの場として鈴鹿以上のクォリティを提供できるとは思えないのです。
 むしろ、鈴鹿と張り合うのであれば、鈴鹿には無い全く別の要素で勝負するしかないと思います。

 とりあえずは、2月2日に、鈴鹿でのF1GP開催が2029年まで延長されたことが発表されました。
 これで5年間は鈴鹿での開催が確定し、大阪でもF1が開催されるとしても1国2レースという形になり、鈴鹿での開催消滅という事はなくなりました。

F1日本GP、鈴鹿サーキットでの開催契約を2029年まで延長…今年は初めて春開催


鈴鹿サーキット、2025〜2029年のF1日本グランプリの開催契約を締結。5年間契約を延長


2.市街地レース

 ここ数年、F1では市街地レースが急増しています。
 アゼルバイジャン、サウジアラビア、ラスベガス、、、近くはマドリードもセミ市街地コースになりそうです。
 大阪でF1開催するとなると、既存のサーキットはありませんので、市街地レースになる可能性が高いのではないかと言われています。
 市街地レースは、交通の便が良く集客が見込める一方で、安全対策が厳重になりがちでレースも地味な展開が多くなりがちです。
 レースの展開そのものを楽しみたいレースファンにとって、市街地レースの増加はあまり喜べないものです。
 もちろん、市街地レースにもメリットはありますし、大阪のF1ファンにとっては間近でF1マシン、F1レースを見られることで歓迎の声もあるでしょう。
 そうやってF1を楽しむ方が増えるのは良いことだと思います。

3.万博

大阪でのF1開催案は今回急に出てきたものではなく、過去に一度万博会場跡での開催が検討され、採算が合わないという事から断念しています。

万博後、夢洲でF1を…大阪市長誘致意向(読売新聞2019年2月22日)

人工島・夢洲へのF1誘致、大阪市が断念…万博会場跡地利用「採算取れず」(読売新聞2022年06月16)

何故このタイミングで再度急浮上したのでしょうか。
それは「夢洲(ゆめしま)」の再開発問題を避けては語れません。

夢洲の開発が始まったのは1970年代まで遡ります。
海上を埋め立て、新しい土地を作り出したわけですが、これまでかけた累計費用は調べてもすぐには出てこない程に長く複雑に莫大な費用がかけられてきています。
近年、万博に向けて年間で2000億円以上をかけているという情報は出てきます。
これとは他にIR(Integrated Resort:統合型リゾート)にも費用をかけており、こちらは1兆円を超える費用が見込まれています。
国や大阪府は、これらの費用を回収しなければなりません(民間の営利ビジネスではないので全額取り戻す必要はありませんが・・)
そのためにも、夢洲に何らかの建造物を造営し土地の価値を上げ、それを元に何らかの形でお金を回収しなければいけないのです。

そのための方策の一つとして、F1開催という話が前述の通り2019年に吉村市長(当時)から発表されています。
3年後の2022年に一度断念したものの、ここにきて再浮上してきました。

いずれにしても、夢洲を何とか活用しなければならないというのが、この大阪F1計画の根幹にあるのは間違いないでしょう。

(2)に続く

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