ブラジャーの呪い。下着選び難しいねってお話。
ブラジャーって高くないですか?
普通のものを買おうと思うとサンキュッパからヨンキュッパくらいする。
セール品や何かでイチキュッパくらいでしょうか。
良いやつを買おうと思うともっともっとしますよね。ピンキリです。
父親や彼氏のパンツを補充する時、その安価なことにびっくりする。
選ぶときの簡単さにびっくりする。
形とサイズと色柄くらいじゃないですか。
そもそも我々に選んで買ってきてもらって大丈夫なくらいだし。
そりゃあこだわる人にとっては、いくらでもこだわることができるでしょう。
高価な男物の下着だってあるでしょう。カルバンクラインとか?私が知らないだけ。
世の下着メーカーさんもよくよく頑張ってくれてると思います。
それに対しては感謝しかない。
に、したって。
かわいいブラジャーとかわいいパンツはそもそも構造的に着心地が悪い。
うちの彼氏は、ツルツル素材を嫌がって綿100%しか着ない。
うちのじいちゃんは、ウエストの締め付けを嫌がってトランクスのゴムまで抜いてしまう。
羨ましいなぁと思う。
彼らはワイヤーの硬さを吟味しなくて済むし、
レースのかゆさを気にしなくて済むし
肩紐のずり落ちを気にしなくて済むし、
パンツの食い込みが外に着てる衣類に響くことを気にしなくて済むし、
かわいさを気にしなくて済むし、
代わりにポリの通気性の悪さやゴムの締め付けを気にすることができる。
広告や女性向けコラムでは
「自分の体に合うブラジャーをつけなさい」
と謳われる。
これは、プロの販売員さんにバストを測ってもらって、立ち会ってもらって、試着して買うようなブラジャーを買いなさいということ。
いい下着=そういう下着。
女性の下着の「よさ」は、素材の強さや着心地に由来しません。
「いい下着」はネットに入れて洗濯して、
(洗濯表記の通り、毎日手洗い陰干しできる人はきっとほとんどいないでしょう。)
長く保ってせいぜい一年。
私たち女性、チェストにどのくらいブラジャーとパンツのセットがあれば日常が回るんでしょうか。
どんなにミニマリストでも、4着か5着は必要でしょう。
パンツはもっと摩耗するのでもっと必要。
なので、大抵の女性は、
・「いわゆる勝負下着」として上下セットのかわいいやつが数着あって、
・「いい下着」として高くてそれなりにかわいいけど彼氏の前では着ないやつが数着あって、
・洗い替えとしてユニクロやGUや無印良品のバラ売りのパンツやブラトップ、楽なブラジャーが数着あって、
・サニタリーショーツがいくらかあって、
・キャミソール等の肌着が4、5着あって、
・人によっては補正下着の類いがあって…
というのがチェストの中身として現実的なのではないでしょうか。
(知らないけど、一番マキシマリストの時の私がそんな感じなのでたぶんそう。)
これは男女関係ないことですが、下着って、そもそも衣類って消耗品です。
叶姉妹のおねえさんだったか、お金持ちの中には、一度履いた下着を洗うまでもなく捨てるっていう人がいますよね。
お金持ちになったことはないのでよくわかりませんが、それなりに長く着るつもりのものだとオーダーメイドでしょう。
私の先生に、クリスチャンでヨーロッパ暮らしが長かった先生がいますが、
既製品のスーツはどうやらダサいらしいのです。
スーツは仕立ててもらい、自分で洗わず都度クリーニングに出すのが基本。
一方で、昔の日本の庶民だと、木綿のふんどしや湯文字、裾よけが下着にあたります。
つまりは、丈夫な素材、機能的な形のものを、何度も何度も洗って、できるだけ長く使った。
その代わり、外側に着る着物は非常に高価。
反物(たんもの)を一生ものとして買って、
裁断せず、洗わず、体の成長に合わせて自分たちで仕立て直したりして着ていた。
下着や衣類の合理的な使い方って、極端にいえばこれなんだと思います。
すなわち、
一つは「装飾品としての衣類」という、高価で、洗わない前提で、汚れたら捨てる前提のもの。
主に上着ですね。
もう一つは、「機能としての衣類」という、安価で、丈夫で、何度も洗って捨てるまで使い倒す前提のもの。
主に下着ですね。
汚い、くたびれている、体に合っていない、手入れが行き届いていない、こだわりがない。
これがダサい。
清潔で、パリッとしていて、その人の体によく馴染んでいて、手入れが行き届いていて、こだわりがある。
これがお洒落。
プロの手を借りるお洒落はお金持ちの特権で、
自分の手をかけるお洒落は江戸っ子にもできたわけですね。
というふうに考えると、現代女性の下着って、意味わからんポジション。
(現代日本人の衣類のポジションは、まぁ意味がわかる。
おそらく使い捨てが前提なんです。
毎シーズン新しい服が安価に大量生産される。
毎シーズン使い捨てるような、先に述べた「お金持ち」スタイルのお洒落を楽しむことができる。
一昔前まではメイドインチャイナばかりでしたが、最近めっきり見かけなくなりましたね。
中国が急速に経済成長して、人件費が上がったからでしょう。
つまり、現代日本の衣類は、途上国の安い人件費の上に成り立つ「お金持ちスタイルの再現」ということ。)
現代女性の下着って、
使い捨てられるほど安価ではないし、
かといって使い倒すには弱すぎます。
可愛い下着は安価にたくさん売っているけど、
たくさん着ればその分ヨレヨレになる。
レースがヨレヨレになった下着では、恥ずかしくて女友達との旅行なんかに着て行けない。
すぐヨレヨレになるから新しいのを補充するけど、サイズが合ってるのかよくわからない。
せっかく新しいの買うからと、
販売員さんにサイズ測ってもらって良いやつを買おうかなぁとか思ってみても、
すぐヨレヨレになるのに5000円か…高いな…と落胆する。
私は一体なんのためにブラジャー探してるのか…
と、むなしくなってきちゃう。
わからん、バストが大きくてお金も持ってる女性はこんなことにむなしくならないのかもしれません。
私は懐がさみしいので(二重の意味で)、
「ブラジャーつけるのは当然」
ということが、たまに強迫観念のように、呪いのように思われてしまう時がある。
この強迫観念から解放されたくて、色々迷走しました。
まじでワコールでいい下着だけ揃えてみようとか、
かわいさを諦めて、着心地と漂白できることの二点に絞って(つまりは綿100%の白に限定して)下着全般揃えたりとか、
「胸を支えるってなんやねん!支える胸なんてないわ!」と、ブラジャーやめてブラジャーの代打をニップレスにさせてみるとか。
合理性や着心地に振り切れば楽。
ブラジャーとパンツを別々に考えればいいからです。
パンツに求めるものは簡単。
ガシガシ洗えて、月のもののために漂白に耐えられて、鼠径部を締め付けないもの。かわいいやつや「男ウケする」やつは大体鼠径部を締め付けやがる。
ブラジャーというか上半身を覆う下着もまあ同じ。
胸が楽で、乳首ポッチにならなくて、たくさん洗ってもヨレヨレにならなくて、汗をよく吸うもの。ワイヤーブラはワイヤーが硬いと痛い。
こっちから考えてみる時の大きな問題は、やはりかわいさや統一感です。
でもよくよく考えてみると、
下着のかわいさとか統一感を気にしてるのって誰なの?
って。
私?他の女性?それとも男性?
下着なんてそもそも大っぴらに見せるものでもないのに。
殿方はこちらがどれほどかわいい下着を選んだところで、案外上下バラバラの下着にグッときたりしやがるじゃないか。
女同士なら下着選びの難しさとか着心地の悪さを分かり合えるはず。
女にとってだけかわいい下着でいいなら、キティちゃんやベティちゃんやセーラームーンとコラボった下着のほうがテンション上がるんじゃないか?
かわいさや統一感を気にしてるのは私にほかならないけれど、それは私由来の気になり方ではない。
なら、そこから自分を解き放ってあげてもいいんじゃないか。
下着買い替えるとき、いっつもこんなことを考えています。
もう単色のブラトップと単色のパンツしか勝たん。
(色を揃えればギリ統一感が出る)
資本主義言うんはいつも我々女にばかり危機感を煽るんだから。
「みんな買ってますよ」と。
もう騙されねーぞ!
と、こうしておばさんになっていくわけですね。