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【プレスリリース】2型炎症においてペリオスチンは異なるモジュールを活性化する
本日(2023/1/10)付けで報道が解禁されました。
詳しくは下記より。
我々富山大学と佐賀大学の共同研究により、アトピー性皮膚炎におけるペリオスチンの新たな役割が解明されました。
論文名: Periostin activates distinct modules of inflammation and itching downstream of the type 2 inflammation pathway
著者: Nunomura S, Uta D, Kitajima I, Nanri Y, Matsuda K, Ejiri N, Kitajima M, Ikemitsu H, Koga M, Yamamoto S, Honda Y, Takedomi H, Andoh T, Simon J. C, Izuhara K
雑誌名: Cell Reports
DOI: https://doi.org/10.1016/j.celrep.2022.111933
ペリオスチンは主に皮膚に存在するタンパク質であり、組織の構造維持に関与している一方、受容体を介して細胞内の機能も制御しています。しかし病的な状態になると皮膚の線維化や炎症の惹起に寄与してしまいます。特にアトピー性皮膚炎をはじめとした様々なアレルギー性疾患に関与しており、疾患マウスの皮膚ではペリオスチンが高発現を示します。また、炎症性サイトカインと共同して炎症のマスター分子であるNF-kBを活性化させます。
そんなアトピー性皮膚炎に重要なペリオスチンですが、近年このペリオスチン自体がかゆみ因子としての役割をもつことが明らかになりました(Cell Report, 2020)。それまでペリオスチンは、炎症を惹起し、かゆみを起こし引っ掻くことによってさらなる炎症を引き起こす悪循環(Itch-Scratch cycle)のための重要なプレイヤーと考えられてきましたが、自身も直接かゆみを引き起こしさらに悪循環を回していたことが示唆されました。
本研究では、我々が2019年に開発した世界初の先天性のアトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて、主に下記のことを調査しました。
・どの細胞がアトピー性皮膚炎においてペリオスチンを産生し高発現に至るのか。
・ダブルノックアウトマウスを作製し、皮膚炎の増悪に実際どの程度ペリオスチンが関与しているのか。
・インビボにおける電気生理学的手法により、皮膚炎によるかゆみに実際どの程度ペリオスチンが関与しているのか。
・ペリオスチン中和抗体を用いたアトピー性皮膚炎モデルマウスに対する薬効評価
特に最後の点について、ペリオスチンが我々の想像以上に病態悪化に寄与していたことから、最も有効な治療標的の一つとして考えるべきだと思います。
未だに安全性・有用性を考えた場合に有効な治療薬がないアトピー性皮膚炎において、我々は非常にインパクトのある結果を提示することができました。
この研究が今後の治療薬開発に大きく貢献することを願っています。
プレスリリースの記事はコチラ
https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022230106_2-1.pdf
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