世界が見えている、話しのできるお爺さん
昨日、農業の相談会に行った時、
待合室になっていた場所には大きなコタツがあり、
そこでお爺さんと二人になりました。
知らない人だったのですが、話が始まりました。
「今も農業やってらっしゃるんですか?」と聞くと、
「ウォーキングなんかをやるより、
畑に行って動いていた方がいいと思って、
体の為にもやってるんだよ。
耳が悪いから大きな声で話してくれれば聞こえるから。
認知症が入っているから、おかしなことを言うかも知れないけどな。」と。
色々話しながらお年を聞くと、88歳ということでした。
「私はこのあたりのお年寄りは、
みんな本当にすごいと思ってるんですよ。
私は80過ぎたらあんな動きは絶対できないと思うんです。
草刈りもやったりしてる人もいますよね。」
と言うと、
「去年は87歳だったが、やったよ。草刈り機でな。」と。
私は尊敬の念で、ひれ伏すような気持ちになるのでした。
その後、この方はこういう話を始めました。
「トランプが就任したが、アメリカ第一主義だとか言ってるが、
どうなっていくだかなぁ。自分のところだけ良くってやっていけば、
周りのあっちこっちで色々起きてこないもんかと思ったりするが・・・。
メキシコの方の事も、サインしたらしいが、
自分の国がうまくいかなくて困って入って来ている人を、どうにかするらしいが、
果たしてその人達はどうなるのかなぁって思うが・・・。」
「ロシアのプーチンも領土を何とかしようとしたりしているようだが、
考えがあってやってるんだろうが、あれもどうなっていくんだかなぁ。」
「グローバリストが中で色々やってるようだけども、
トランプで国民の暮らしが本当に良くなっていくのかどうかなぁ。・・・。
アメリカの医療保険は、日本と同じようなものになってるのか?」
「自分の保険で掛けたものを使ってるんじゃないでしょうかね。」
と言うと、
「そうだろ?金持ちはいい医療を受けられて病気も治せるが、
金のない人は大変だぁ。」
「日本も少しずつそっちに寄せて行ってる感じですよね。」
と言いうと、
「そうなんだよ。わからんように、少しずつなぁ。」
と。
「日本も政策がどんどん良くない状態になっていってるようだが、どうしたもんかなぁ・・・。」と言われ、
「少しずつでも自分達の地域は自分達で助け合って良くしていくしかないですね。」で合意しました。
「こんな話を初対面の人間がして、申し訳なかったが・・・」
というので、
「いえいえ、こういう話は同年代でもできる人がいないんです。
私はこういう話がしたいと思っているので、とっても嬉しいです。」
というと、「そうかい。俺は昔から知能が低いし、今は認知症が入ってるし、頭も体もボロボロの人間だが、こういう機会だから、こんな無駄話もいいかもしらんな。」
と。私はおおいに否定しました。
その後、私の地域の問題もよくご存じで、昔ばなしから始まって、
「今もそうですよ」と言うと、知っているようでしたが
「そうかい。
もう少しでも広く世の中を見れば、
違うやり方をしてるところがあるっていうのも見えてくるんだろうがなぁ・・・。」
と言われました。名言です。
話を聞きながら私は、この人はネットを視ているのだろうか。どこから情報を得ているんだろう?と考えていました。テレビだけ視ている人の話じゃないけど・・・と。
「テレビも良く聞こえないし、目は霞んでくるし、
時々メモを取ることもあるが、そのメモの字を自分が読めない事があるんだよ。だめだな。」
「私もよくありますよ。」と笑いました。もしテレビを視ているだけだとしたら、これだけのことを読み取れるってすごいな。と思いました。
同旧村のある地域には、皆で未来を察して危機を回避して水を守ったり、民主的な話合いで差別なく厳しくチェックしながら運営ができるような、すごい人たちがいると聞いていました。私はこのお爺さんの話を聞きながら、この人はその地域の人ではないかと思うようになっていました。私の居場所を伝えた後、「どこに住んでいらっしゃるんですか?」と聞いてみると、やはり勘は当たっていました。
私の人生の中で、偉そうにするでもなく、知ったかぶるのでもなく、
同じ様な意識で世界を見ていて、話が通じる高齢者に、
ほとんど会ったことはなく、嫌な事が続いていた中で、
大きな救いを得た気持ちになりました。
楽しい時間でした。感謝です。