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「Rename」は‟売り方”であり、‟社会的アクション”だった
話題のサービス「Rename」とは?
名古屋出張の際に、話題の「Rename(リネーム)」を運営するFINEに取材に行きました。皆さん「Rename」知っていますか?
「アパレル業界の問題に一石を投じている」「ユニークなビジネスモデルだ」「サステナブルな取り組みとして注目だ」などなど、さまざまなメディアで取り上げられ、注目度の高いサービスです。
知らない方のために説明すると、「Rename」とはアパレルメーカーの余剰在庫を買い取り、そのままアウトレット品として再販するのではなく、‟タグを付け替え”「Rename」の商品として販売するサービスのこと。販売先はリアルの小売店やポップアップショップ、FINEが運営する公式通販サイトや「LOCONDO Rename」という名のロコンドとのコラボサイトなどです。
なぜタグを付け替えるのか、というと、①ブランドの価値毀損を防ぐ②消費者に服本来の価値を理解して買い物してもらう――といった狙いがあるからです。
社会的意識の高まりが背景に
タグはそのままでアウトレット品として販売したり、リユースされたりするブランドはたくさんあります。しかし、ブランドにとっては自分たちのブランドが明らかな状態で2次流通市場に商品がたくさん流れると、「あのブランドはアウトレットで安く買える」と思う消費者が増え、プロパー商品を買ってもらえなくなるのでは、という懸念があります。
そのため余剰在庫を廃棄処分するブランドもあるそうですが、そうした行動が社会的意識の高まりとともに、「ありえないよね」という風潮になっています。バーバリーが余剰在庫を焼却処分していたことが明らかになり、バッシングを受けたことは記憶に新しいところです。
では、ブランドは「どうしたらいいんだ」と八方ふさがりになりつつありました。そんなところに、「Rename」という2次流通の売り方が登場し、注目度がグンと上がってきたわけです。
「Rename」の売り方は真似してもOK
「Rename」の取り組みや今後の戦略は、EC業界の専門紙「日本ネット経済新聞」で詳しく書くとして、「Rename」を運営するFINEの取締役COOである津田 一志さんにお話を聞いた中で、印象的だったのが・・・
「Rename」はブランドだと思われているんですが、われわれは売り方だと考えているんですよ
という言葉だった。古いタグを外し(社名が入っているので洗濯表示も付け替える)、新しく「Rename」と書かれたタグを付けるため、服を買った人は「Rename」というブランドの服を買ったと思うのは当たり前と言えば当たり前。津田さんもそこを否定するのではなく、売り方だと語る理由をこう説明しています。
「Rename」は「リユース(中古事業者が買い取った商品を販売)」や「アウトレット(余剰在庫を割引販売)」と並ぶような、新しい販売手法として他の事業者にも広まって欲しい。自分たちだけで日本の、いや世界の余剰在庫すべてに対応できない
「Rename」という売り方が普及することで、余剰在庫問題が解消することが真の狙いであり、「Rename」ブランドの商品で儲けるのが狙いではないという考えです。もちろん同じようにタグを付け替える事業者が「Rename」というタグを付けてしまうとややこしいことになるので(FINEは「Rename」の商標をしっかり押さえている)、賛同する事業者は同じ手法でもタグは自分たちのものを付けて販売するべきでしょう。
‟社会的アクション”として周囲巻き込む
私は津田さんの話を聞き、「Rename」は‟売り方”であると同時に‟社会的アクション”だと強く思いました。アパレルの余剰在庫を問題を解消したいブランドや、賢い買い物をしたい消費者、社会貢献性の高いビジネスモデルを応援したい企業などすべてを巻き込み、この売り方が認知され、賛同する人が増えることで「Rename」はFINEの手を離れ、日本発の誇れるビジネスモデルとして羽ばたくことができます。
FINEは「Rename」を通して余剰在庫を効果的に処分したいブランドだけでなく、「Rename」の商品の販路を提供してくれる小売店もパートナーとして巻き込み、増やしていきたいと考えています。将来的には「ZARA」のRename商品が「ユニクロ」の店舗の一角で売られているなんてこともあり得るかもしれません。「ZARA」のタグが付いていたら到底あり得ないことですが、「Rename」を介すことで実現できる可能性が出てきます。アパレル業界がこの社会的アクションに賛同し、新しい二次流通が形成される世界を私は見てみたいと思います。
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