全国ネットショップグランプリに見るEC デザインのトレンド
和気文具がグランプリ
先週の4月13日(土)にイーコマース事業協会(EBS)の17周年記念イベントに参加してきました。EBSは日本最大級のネットショップの団体で、大阪を拠点に全国から事業者が参加しています。
毎年、周年イベントの際に開催されるのが、全国ネットショップグランプリです。第11回を迎える今回、グランプリに輝いたのは文具EC の「和気文具」でした。
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日本ネット経済新聞を代表して私も選考委員を務めさせていただきました。最終選考を担当した私たちは、選考を通過した10社のサイトを審査しました。
選考委員として、吉村正裕理事長の総評の際に壇上にあげていただき、一言コメントを求められたんですが、思いのほか緊張してしまい、考えていたことを言えずに終えてしまいました。せっかくの機会をいただいたのに、すいません!
一言コメントで言いたかったことをこのnoteにまとめたいと思います。
デザインはシンプルに
当社では約10人いる記者全員で最終選考を行いました。それぞれがつけた点数の平均点を日本ネット経済新聞の選考結果としてEBSにお伝えしました。
記者は私のようなアラフォーも少しいますが、大半は20代〜30代です。若手メンバーのEC サイトのデザインやユーザビリティーへの意見が聞けるいい機会でもありました。
総じて言えるのは、全体的なデザインはシンプルな方が評価が高かったことです。選考ではPCサイトとスマホサイトの両方をチェックするのですが、特にスマホは画面が小さいため、シンプルになんのサイトなのか、どんな特徴(売りの商品)があるのか、が分からないと点数が高くつかない傾向にありました。
グランプリの「和気文具」のサイトは、一目で文具の販売サイトだと分かり、イチオシの商品やコンテンツが目に飛び込んできます。
スマホ、SNS時代の感性
シンプルさが評価される傾向は、やはりスマホやSNSの影響が大きいと思います。画面の小さいスマホで使いやすさを追求し、アプリのデザインもシンプルなものが多いですし、Instagramなど顕著ですが、SNSもシンプルですよね。
そのシンプルさに慣れているユーザーは、情報量が多すぎたり、乱雑にレイアウトしているEC サイトへの苦手意識が高まってきていると思います。楽天市場が画像をシンプルにしようとガイドラインを改定したり、商品名を分かりやすくするように促しているのは、こうした流れを受けています。
今はまだ過渡期
今回のイベントのパネルディスカッションで、楽天市場では商品名にクーポンが使えることを明記しないと流入が落ちるという話がありました。これもまた事実だと思います。楽天市場の中には、これまで通り情報量の多い”こってり系”を好むユーザーと、SNS世代のシンプルな”あっさり系”を好むユーザーが混在している状態なのかなと思います。
ただ、プラットフォームが全体的にシンプル化しており、”あっさり系”ユーザーが今後も増えていくことを考えると、楽天市場がそちらにシフトしているのは理解できますし、ネットショップもそちらに寄せていく必要があるでしょう。
勝負所はコンテンツ!
では、サイト全体のデザインをシンプルにすればいいのかというと、それだけでお客さんの心をつかむことはできません。肝心なのはシンプルな器に盛りつけるコンテンツです。
基調講演に登壇したナノ・ユニバースはUI/UXへの細かい取り組みを教えてくれましたが、サイトを外から眺めるとデザインは極めてシンプルです。特筆すべきは、他のアパレルECサイトよりも商品を紹介する画像の質が高い点です。自社でクリエイティブチームを抱え、画像や動画の撮影にこだわってコンテンツ制作を行っているそうです。
今の時代、コンテンツは自分たちのECサイトに載せるだけではなく、SNSなどでさまざまなチャネルでユーザーに届けることができます。コンテンツを強化することで、集客もコンバージョンも高めることができます。ECサイトのデザインをシンプルにした方が良い理由の一つとして、主役であるコンテンツを際立たせることも挙げられると思います。
というようなことを短くまとめて壇上で言いたかったのですが、できませんでした・・・。
EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います