ヤフーはなぜロハコ を自分のものにしたいのか?
火種はロハコ
ヤフーとアスクルの経営権争いが勃発しました。詳しくは各種メディアで把握できると思うので、ここではヤフーがなぜLOHACO(ロハコ)を自分たちのものにしたいのかについて考察してみたいと思います。
というのも、ヤフーがアスクルの岩田社長に退陣を迫った理由は、ロハコをヤフーに譲渡する提案をアスクル側が蹴ったからであり、ヤフーとアスクルが共同で立ち上げたロハコが今回の騒動の火種となっているからです。
両社にとってロハコの存在とは
ロハコについてはご存知の方が多いと思います。ヤフーとアスクルが業務・資本提携を結び、共同で立ち上げたのが日用品のECサイト「ロハコ 」です。ロハコはアスクルの持つ日用品の商品や通販ノウハウとヤフーの集客力を掛け合わせたECサービスです。
ECモールなどプラットフォームにとって購入頻度の高い日用品カテゴリーはユーザーをつなぎとめる生命線です。アマゾンも日用品と取り扱いに注力していますし、楽天はケンコーコムや爽快ドラッグを買収し、日用品カテゴリーの直販化を進めました。
楽天よりも先んじてヤフーは日用品を半直販化したわけです。アスクルにとってもBtoC事業を垂直立ち上げでき、お互いハッピーだと思っていました。しかし、ヤフーが今年に入り、ロハコが欲しいと言い出した背景には何か考えがあるはずです。
もちろんショッピング事業の活性化
ロハコを自前化することでヤフーショッピングを活性化できる可能性は広がります。ソフトバンクユーザーをヤフーショッピングに誘導する際もロハコを絡ませた企画をもっと柔軟にできれば、より効果的に集客できるでしょう。
先日、立ち上げを発表したPayPayモールを盛り上げるにも直販サービスが必要なはずです。
PayPayの活性化も背景に
ヤフーは親会社のソフトバンクとともにスマホ決済PayPayを立ち上げました。このPayPayを普及させることが至上命題であることは言うまでもありません。
PayPayの利用を促進するため、家電量販店やコンビニなどと連携してキャンペーンを繰り返しています。みんなが利用しやすいリアルの流通チェーンで得するキャンペーンは効果絶大です。
ただ、他社とのキャンペーンは自社でコントロールできないですし、コストもかかります。それが自社のECサービスであれば自社のリスクコントロールの中で積極的にキャンペーンも展開できます。
ヤフーショッピングで買い物するとTポイントではなく、PayPayボーナスが支給されるようになりました。PayPayボーナスの利用先としてもロハコの日用品は最適です。PayPayの利用を活性化するのに日用品ECの使い道はたくさんあるのです。
直販事業は物流強化にも欠かせない
ソフトバンクグループが物流事業に参入するという報道がありました。ペッパーなどで培ったロボット技術を今度は倉庫の自動化技術に応用するとのことです。実際にヤフーショッピングの出店者にも声がかかっているという話も・・・・。
物流事業を拡大していくために自社でECサービスを持ちたいのは当然の考えです。自社のEC事業における物流であれば投資しやすいですし、さまざまなトライアルもしやすくなります。
楽天もケンコーコムや爽快ドラッグの物流基盤を活用して、現在の物流サービスを構築しています。アマゾンは・・・言うまでもないですよね。ロハコを自社で運営したい背景には、物流事業の存在もありそうです。
ソフトバンクグループとしての意向
今回のヤフーの動きは、当然、ソフトバンクグループとして企業価値の向上や戦略的な意図が影響しています。ですのでヤフーとしても簡単に引き下がることはできません。
ただ、アスクルもヤフーに徹底抗戦の構えです。今日(7月18日)、アスクルの岩田社長を始めとした経営陣は会見を開き、ヤフーの社長解任の手続きやロハコ事業を強引に奪おうとする取り組みについて不当であることを訴える見込みです。
会見の様子はECの専門紙「日本ネット経済新聞」で詳細にまとめる予定です。こちらのブログでも私見をつづりたいと思います。