冷たい前菜/準備中の札/黄金クッキー
2021年11月13日 日曜日
朝起きたらまだ8時台だったけど、パリ・セヴェイユには開店前に着きたかった。仕度というものはいつも予定の時間には間に合わないものだし、人といると目の前のことに気を取られて時間はさらに早く進むので、彼には「もう11時だよ」と嘘をついて急かした。パリ・セヴェイユのことをパリセと略すのは友達から聞いたんだけど、パリセには無事開店前に着いたのに、結局1時間以上並んでケーキ7つと焼き菓子4つ、パン・オ・ショコラと友達がおすすめしていたクイニーアマンを買った。
お昼は、身をよじりながら行きたい行きたいと願い続けていたオルガンにやっと行った。
・鹿と鴨肉のパテ・ド・カンパーニュ
・ルッコラと蜜柑、ローストした鶏胸肉のサラダ
・鹿児島産 天然真鯛のカルパッチョ、徳島直送すだちと白葡萄
・バジルと白葡萄のソニック(モクテル)
を注文した。サラダの蜜柑は厚さ1cmくらいの輪切りで、しっとりした鶏胸肉と玉葱が入ったクリームソースによく合っていて驚きがあった。パテカンは何もなしでそのまま食べるにはもったいないほど旨味の塊で、これは予期できたことだったのに、なぜか付け合わせのパンを頼まなかった。食べ終わってから気づいたのだけど、すべて冷たい前菜。好物なのでうれしい。鹿に鴨に鶏に真鯛……動物性たんぱく質の種類が増えれば増えるほど食事の楽しさというか嬉しさというか満足感、充実感が高まっていく。今度は4人くらいで倍量・倍種類の料理をテーブルに乗せて"饗宴"を楽しみたい。
冬は西日が早い時間からきつくなるから、まだ15時なのに眩しい夕日を見てなんとなく焦る。スーパーに行って、たらこスパゲッティーを作るためにたらこ、カブ、牛乳その他を買った。帰り道でふと、まだ行ったことのない行きたかった「まちのおすしやさん」が気になって、彼に「ちょっと見てみてもいい?」と聞いたら快諾してくれたのでふらふら寄り道した。「準備中」の札がかかっていたけど、看板も店内も電気は点いていて、営業していそうな雰囲気だった。牛乳もたらこも買っちゃったんだよなと思いながらも、「せっかくの彼との週末なんだし」と半ば言い訳とも取れる心のつぶやきを挟みつつ、最終的には双方合意の上で夜ごはんを寿司とする決議をした。畳に座ってテレビでフィギュアスケートを見ていた大将と奥さんが「あれ、こんな早い時間にお客さんですか」という表情で迎えてくれた。
特上と上は何が違うのか聞くと、特上はトロ2貫、上はトロと赤身、特上はウニといくらどちらも、上はいくらだけ、特上は車海老だけど上は甘エビという差異が分かった。また「せっかくだし…」と心の中で言い訳をしながら、特上を二人で頼む。初めにトロ2貫が出てきて、はじめからトロなんだ!と思った。その後は車海老、縞鯵、ほたて、ウニ、いくら、卵焼き、かっぱ巻、ネギトロ巻が来た。若い人が来るのは珍しいみたいで、おいしいと思ってくれるかどうか気にしているみたいだった。とてもおいしかったので、ひとりでおいしいと言ったり、ふたりでおいしいねと言ったりすると、嬉しそうに、安心したように「よかったよかった」と大将が言う。手元の現金が足りなかったので、彼がお金を下ろしてきてくれた。戻ってきた彼が「入口の札、ひっくり返して営業中にしといた」って。
家に帰ってもまだ18時台で、彼が「今日の夜は長いね」って言うから「でも夜ってすぐ終わっちゃうんだよ、なんだかんだ」って口ごたえした。銭湯行きたいねと話しながら、ベッドに引き込まれてゴロゴロしているといつの間にか寝てしまい、起きたら19時半を過ぎていて、「銭湯に行きたい!」と寝る前の議題を蒸し返した。銭湯に行く前にパリセのクイニーアマンを食べたんだけど、さすがおすすめというだけあってびっくりするくらいおいしかった。
そして、銭湯から帰って念願のケーキタイム。夜なのにマタン パリジャンを淹れる。大河紀さんのイラストにインスピレーションを得て作られたマンゴー果汁入りのクラフトビールも飲んだ。
・ベルガモット ポワール
・ヴィトライユ
・オリエンタル
・パレ ドール
・ガトーバニーユ
を食べた。ガトーバニーユは初めて食べたけどおいしかった。パレドール(palet d'or)はいつも買うケーキで、黄金色に輝くパッションフルーツ?のソースで固められたドライフルーツやナッツと、シナモンで少しお化粧をしたきれいな紡錘形の生クリームをクッキーの土台に乗せたケーキだ。ケーキというかクッキーだ。初めて見た時からかわいさに一目惚れしたのだけど、この見た目の楽しさは、サーカスとかメリーゴーランドを彷彿とさせる。少なくとも僕にとっては。浮かれたビジュアルがかわいい。しかもおいしい。
・タルト フリュイ ルージュ
・カフェ トンカ
・フィナンシェ
・バールドール
・バスクノワ
・フィグ カシス
は明日のために取っておく。
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