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【医療データとAI】⑦外来で質問に「ある程度」答えられるように<4>「ハブのジレンマ」

再び私の役割

この【医療データとAI】シリーズは医療データやAIの最先端を追いかけることではありません。
そういったことはひとまず一部の最先端研究を行っている先生に日本や世界を引っ張って行ってもらいましょう。

私の役割は、次世代医療基盤法についての背景などの自分なりのイメージや理解を皆さんにお伝えして、先生方が外来で患者さんとコミュニケーションする際に役立ててもらおうということです。

なぜ私がその役割を?正直、全く詳しくないからです。
詳しい方にとっては当たり前過ぎで「どこが分からないかが分からない」状況なのです。
私にとっては正直「何も知らなかった」といっても良い状況ですので「分からないことが分かる伸びしろのある男」なのです。そういったことで良いモデルだと思います。

一問一答方式で

先日も一問一答方式で<1><2><3>を書きましたが、その続きを書いていきます。
(患者さんからの質問頻度高そう<高>質問頻度低そう<低>と頭に書いています。)

先日の記事を簡単に要約すると
・医療情報を研究や開発に使うという二次利用のためには
・医療BIG DATAが必要
・そのDATAの収集を日本(国家)の目標として動く際には法制化が必要
・そのための法律が次世代医療基盤法
・そしてそのDATAを精緻化するために、完全に匿名化してしまうと他のDATA BASEとの連結が出来ないので仮名加工情報も使えるということが改正次世代医療基盤法で決まった

ということまで書かせていただきました。

<高>「認定事業者の必要性?」

以下は改正前と改正後の次世代医療基盤法におけるデータの流れのイメージ図です

改正前は認定の必要な事業者【認定事業者】は一つのみの記載です。これは匿名加工した医療情報なので利活用者の利用するデータに関してはリスクが少ないためと考えられます。

改正後は【認定<作成>事業者】【認定<利用>事業者】の2つに「認定」の文言が見えると思います。これは仮名加工情報を扱うことで情報のリスクレベルが上がることになるので情報を集めて加工する<作成>する側とそのデータを<利用>する側の双方に認定が義務化されていることです。
そういった大切な医療情報を扱うという意味で事業者が認定を受けることは必要だと思われます



参照元 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001166476.pdf

これだけをみると国家戦略としてデータが一つのサークルの中を循環するように見えていますが、実際はそうではありません。

単独のデータだけ(ミクロ)で見ると上図のようなあるサークルの中でデータが循環しているように見えると思います。
しかし、多くのデータ(マクロ)で見ると異なったイメージが出てくると思います。
また後にイメージをお伝えしていきます。

<高>「認定事業者は1つ?」

認定事業者が1つであればデータは決まったPATHを通らざるを得ないのでわかりやすいです。そこで認定事業者について調べてみました

3つの認定匿名加工医療情報作成事業者及び認定医療情報等取扱受託事業者となっております(2024年1月4日アクセス)


https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001166476.pdf


令和5年改正次世代医療基盤法は2023年5月26日に公布されて、原則として2023年5月26日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日が施行日とされていますので、認定<仮名>加工医療情報作成事業者及び認定医療情報等取扱受託事業者の認定ガイドラインが決まって認定事業者が決まっていくのだと思います。おそらくは認定<匿名>加工医療情報作成事業者及び認定医療情報等取扱受託事業者のように複数手を上げることになるかと思います。

<低>「認定業者が複数あることのメリット・デメリットは?」


認定業者が複数あることで業者ごとに繋がりのある医師や医療機関や専門分野が異なりますので情報を多く集めることができるというのは大きなメリットだと思います。

【患者さん情報】
医療機関の受診目的や疾患ステージによって医療機関が有する医療情報は異なります。

【医療機関が情報を提供する先】
医療機関が認定作成事業者に情報を提供する際にも複数の事業者に提供することも出来ます。

【認定事業者】
作成事業者にも
・認定匿名加工医療情報作成事業者
・認定仮名加工医療情報作成事業者
があります・

【利用事業者】
・仮名情報を扱える認定利用事業者
・匿名情報しか扱えない利用事業者(認定は不要)
があります。

そしてその結果出てきた研究結果は 次世代医療基盤法に則った開発・研究結果としてアナウンスされることです。


自身で作図


認定事業者については提出届出機関数も差があり、集めている医療情報にも差があります。
そして改正次世代医療基盤法になると、
・匿名加工医療情報
・仮名加工医療情報

の2本立てになります。

そして利活用者も
・匿名加工情報だけしか扱いない利活用者
・仮名加工情報も扱える利活用者

があり
出てくるデータも同列に語ることが出来ないことになります。そして症例分布やデータもリアルワールドを反映していないという矛盾が出てくるのです。

もちろんこのあたりは国も認識しているとは思いますが、いきなりの制度変更は難しいのでステップを踏んで行っておられるのだと思います。


前回の投稿で書かせてもらいましたが
「医療情報の二次利用を促進する上では、情報のビッグデータ化が有効となります。そのような意図が次世代医療基盤法にはあるのだと思います。」
そう考えた際に認定事業者が複数あることで情報の総数は増えます。しかし、繋がっていない医療データはビッグデータとは言えません

話は飛びますが、航空便や物流ではHUB&SPOKE方式という方式をとっています。例えば小さな町同士をつなぐ直行便があるのは素晴らしいですが顧客が少ないので経営的に成り立ちません。そこで大きなハブ空港同士を大きな飛行機で繋いでそこから小さな空港へは小型の飛行機でつなぐという方式で
顧客の利便性と不便と運賃のバランスをとっています。それが嫌だという方はプライベートジェットや貸し切りの便を使って貰う必要があるように

認定<作成>事業者はまさに医療情報におけるハブ空港のような役割を求められているのだと思います。

いまは制度の過渡期なので仕方ない面もあると思いますが、様々な情報のHUBが混在している状況です。情報を集めるためのHUBが情報を分散させる役割にもなっているというジレンマが存在します。


<低>「認定業者が複数あることのデメリットの解決策は?」


上記に書いたようなジレンマについて、官僚の皆さまが気づいていない訳はないのでどんどん制度を変えて行かれると思います。

質が先?量が先?

次世代医療基盤法の意義については

https://www8.cao.go.jp/iryou/gaiyou/pdf/seidonogaiyou.pdf

にあるように<医療情報の分散保有>の解消があります
・我が国では、国民皆保険制度の下、医療情報が豊富に存在しているものの、医療機関が民間中心であるとともに、医療保険者が分立しているため、医療情報が分散して保有されている。
・分野の研究開発に資するよう、医療情報を「集めて」「つなぐ」仕組みを整備することが求められた

とあるように
医療情報を
・集める
・つなぐ

ということを目標としています。
安全に集めるために認定事業者を設置しているのです。しかし、課題は

にあるように「扱う情報量や情報の種類を増加するために認定作成事業者の増加を求める意見も出ている。一方で、現行の運用が継続すると、認定作成事業者の増加に伴って医療情報の偏在が進むこととなるため、認定作成事業者が増加した際の情報の管理方法に関しても検討が必要となる。」と。つまり表面上は「集まる」状況になっていても、各事業者が持っているデータは「つながる」ことにはなっていないので目標達成にはまだ至っていないのです。BIGデータは一箇所「集まって&繋がって」いる状況でないと意味が小さいのです。

期待されることとして
「長期的な視点で考えると、悉皆性の高い情報を利用して、より精度の高い研究結果を創出していくためには、電子カルテデータやレセプトデータ等の基本的な情報の収集を医療DXの推進で計画されている全国医療情報プラットフォームに一元化することや、認定作成事業者間の情報連携の可否を検討していく必要があると考える。現在までの集約方法は、認定作成事業者が特定の種類の情報を軸に収集しているが、画像情報を利用した研究で臨床情報のアウトカムが必要な場合や、薬剤投与後の予後を確認する研究等の、多様な情報を組み合わせて解析を行う必要がある場合は、特定の種類の情報ではなく個人を軸としたライフコースを追跡できる情報として集約されていることが望ましい(図4)。このような多様な情報が利用可能となる理想的な状況となるためには、複数の認定作成事業者が提供する医療情報を、利用目的に応じて連結して研究に利用可能となる仕組みとなることが期待される。他の認定作成事業者との間で医療情報の授受を行うことは現行の法律でも想定されており、契約を結ぶことで可能とされている。これらの実現には、①-3で示した情報提供状況の一元的な管理も貢献すると考えられ、個人を軸とした情報の管理と併せて検討が進むことが望ましいと考える。」とありデータを繋いでいく未来が次のステップになるのだと思います。


https://www.jpma.or.jp/opir/news/070/02.html


今日はここまで

しばらくはこうやって一問一答で患者さんの質問に答えられるようなイメージを伝えていきたいと思います。

シリーズ【医療データとAI】について

先生方とともに自分も学習したいので新しいシリーズ【医療データとAI】を開始しました。私にとっても未知の分野で認識の誤りなどもあるかと思いますがお許しください。
そしてNYAUWのブログの目的は難しいことが理解できない自分自身が学習の過程で掴んだイメージを皆さんにもお伝えすることですので
・卑近すぎる例 失礼に見える表現
・プロから見るとそうでないこともある
などがあるかもしれません。
しかし、できるだけイメージをつかみやすいように、内容を難しくしすぎないようにを心がけていきます。受験勉強の語呂合わせのようにイメージやストーリーを伝わりやすくするためにという悪意の無い目的ですのでお許し下さい。

AIという誰も経験したことのない分野と医療のクロス分野では倫理や哲学もまだ統一されたものもないため議論が世界中で多方面にこれから行われることになると思います。
そういった中で私個人が考える長期的なマクロの医療という視点でこのブログを書いてまいりたいと思います。ミクロな意味・短期的な意味では「不適切だ」か「反対」と思われる方もおられると思います。

・これはあくまで個人としての見解のブログであること
・世間的な未来予想に則ったもので、他の方の考えを否定するものではありません。

その点をご理解下さい。

今後はこの分野【医療とAI】のプロフェッショナルな方々に教えていただきたいので「教えてやるよ!」、または、まだまだ知らないので「一緒に勉強したい」という方まで連絡お待ちしております。


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