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わたしのこと。#5 最初のカメラを買ったはなし。Olympus OM-D E-M5 MarkⅡ
「すいません…これの電源は、どこでしょうか…?」
2015年秋、3度目に行った家電量販店のカメラ売り場で、やっと店員に向けて発した言葉である。
舞台千秋楽のあと、あまりの喪失感に耐えられず、色々考えた結果、よし、カメラでも見てみよう、と電気屋さんに行ったはよいものの、ちんぷんかんすぎて見方がまったくわからない。相場もわからなければ、どんな種類の何があるのかもさっぱりである。
1度目は一体いくら位するものなの?と見に行った。本当にピンキリだな…(ほぼ散歩)
2度目は触れるなどした。が、どう触ったらよいものやら分からなかったので、カタチを眺めるなどした。(やっぱり散歩)
そして3度目、やっと使い方を尋ねたのである。
写真をやらない者からすると、カメラ売り場は雰囲気含めハードルが高い。いかにも精密機械のように見えるところもなんだか怖い。無闇に触ると壊しそうだ。
勇気を出して電源を入れてもらったものの、やっぱりその先どうしたらいいか分からず、そして何を聞いたらいいかも分からず、ポチッと何回かシャッターボタンを押してみた後、そっと戻した。
だめだ…まったくわからぬ…
当時はSNSの延長くらいに考えていたので、写真家さんたちに聞くことはせず、カメラに詳しい友だちに相談して一緒に見てもらうことにした。一般的な量販店の、一般的なカメラ売り場で見ていたので、この時のわたしはまだライカという存在を知らなかった。もしかしたら奥の方に、ひっそり飾られていたのかもしれないが、少なくともわたしの通り道には、まだ存在していなかった。
友だちは初心者でも簡単に使えるような機種を、このメーカーならこれ、このメーカーならこれ、といくつか勧めてくれた。家族写真を撮れるようなものだった。
それからまた何度か通い、とうとう買う機種を決めた。
友だちが勧めてくれたものよりも、少しいい機種だった。
自分への誕生日プレゼントとした。
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え、そこいくの?という感じの、いわゆる女の子カメラではない、メカメカしいカメラだった。友だちもびっくりしていた。その頃からちょっと、踏み込み易いという片鱗はあったのかもしれない。
女性タレントがふんわりと持っている類のではなく、サッカーの本田選手が鋭い眼光でレンズをこちらに向けているポスターのものだった。
マイクロフォーサーズという言葉もはじめて知った。主にネット用の写真を撮ろうとしていたので、フルサイズのものよりだいぶセンサーサイズが小さい規格だが、用途には充分だろう、ということだった。
レンズは聞いても何が何だかさっぱりだったので、ひとまず何でもカバーできるというズームレンズのついたキットを選んだ。
カメラやレンズを買うとき必ず聞かれる、「何を撮るかによります。なにをお撮りになりますか?」という質問は本当に困る。分かるわけがないじゃないか。まだカメラすら使ったこともないのに。これから何を撮りたいかなんて、買う前に申告できない…
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最初の1枚は姪のゆったんだった。説明書も読んでなかったので、よく分からないまま、とりあえず押した。
かわいい。
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誕生日当日は、どこかに行こうと考えた末スカイツリーにのぼり、撮ってみた。機能も多そうだし、何をどうしたらいいのかわからなかった。触ってないダイヤルもある。
でもうれしくて、確実にテンションは上がっていた。
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行くまでは知らなかったが、わたしはスカイツリーのイメージキャラクター、ソラカラちゃんとおなじ誕生日だったらしく、入り口で目印のシールを貼ってもらい、従業員のみなさんに祝ってもらったり写真を撮ってもらうなどした。ひとりだったので、若干恥ずかしかった。
ハービー・山口さんには、一応カメラを買った報告だけはした記憶がある。その先ここまでどっぷり浸かっていくとは、想像していなかっただろう。
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そして1週間後。
もう違うレンズをつけていた。
待って、展開が早い。
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確かにキットでついてきたズームレンズは、近くのモノも遠くのモノも楽に撮れ、自在で便利だったが、単焦点のレンズは画角が変えられないかわりにより明るく綺麗に撮れるのだという。換算50mmのいわゆる標準画角と呼ばれるレンズはひとつ持っていてもいいかな、と思い、手に入れた。我ながら判断が早い。
かくしてわたしのカメラライフははじまった。
なるほどたしかにこちらの方がなんか綺麗にボケるなと思った。撮りたいものにピントが合って浮き上がって見える。
ズームレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6というレンズがついてきたが、ほどなくしてパナソニックのLUMIX G VARIO 14-140mm F3.5-5.6に買い替えている。ほんのちょっとでもF値の小さい明るいレンズにしたかったのかな。
そこらへんはあんまり覚えていない…
とりあえず、最初のカメラで最初の1ヶ月くらいに撮った写真を並べておこう。
この頃はAdobeのソフトなどで調整する技も知らなかったので、カメラのモードをガチャガチャ変えながら試し試し撮っていたような記憶がある。だからいろいろテイストが変わったりしている。
それから、一番ガッカリなのは、初期の頃数ヶ月のデータがパソコンのデータの中に残っていなくて、すべてネットから拾った物なことだ。今でこそ何重にもバックアップを取っているが、当時のものは甘く、パソコンを買い替えたタイミングで多分しくじったのだと思う。
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どこへ行くにもカメラを持って行くようになった。本当にたくさん撮ったなあ。見るもの全てが新鮮に写り、世界に彩りが戻ったようだった。舞台千秋楽のあとの喪失感もいつの間にかなくなっていた。いつもの道に、花がひとつ咲いているだけでもうれしい。日常のどんなことも心のファインダーを通して見るようになり、何をしていても、どこへ行っても楽しい。
今までたくさん携帯で撮ってきたけれど、知らない楽しさだった。撮りたいものを探したくて生きているみたい。
今から思えば、しあわせ探しのはじまりだったんだと思う。
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かわいいゆったんで埋め尽くしたところで、今回はおしまいです!
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