これは唯一無二の出逢いをしたかもしれない。thambar 90mm f2.2のこと。
最近はじめて聞いたことば「ライカ使い」。へぇ。
それでいうと、わたしはライカ使いだ。それもかなりヘビーな。自分の道具はどれもみな可愛くて、愛着があるけれど、久しぶりに、コレは…‼︎という衝撃の出逢いがあったので興奮して書いている。
thambar(タンバール) 90mm f2.2。
言わずもがな、木村伊兵衛の愛用でもあった伝説のレンズ。いつかは使ってみたい憧れのレンズのうちのひとつで、わたしがいつも撮っているようなテイストときっと相性いいだろうなとは思っていた。
わたしはM型ライカ(現在の愛機はLeica M10-P )でセルフポートレートを撮るのだが、わたしとおなじ手法をしているひとを見たことがない。コロナで誰にも会えなかった頃、制限のなか自己完結できるところで編み出していったのだが、いつしかたくさんの作品が撮り貯まり、気付けば専売特許のような状態になっていた。たしかに人にはおすすめできないほど面倒くさく、根気がいる。ライカで撮りました、と言っても、へぇー!と言われるだけで人がやろうとしないのはよくわかる。まあそうだろう。ただでさえ撮るのが大変なのだから、普通に考えればより便利なカメラを選ぶだろし、わたしが持っているのはオールドレンズばかりなので、そこからさらに奥へと走っている。狂ってるねぇ、とか変態だねぇ、などとよく言われるが、最高の褒め言葉だと思っている。(その時点ですでにもう…略)
このタンバールというレンズは、わたしがライカのカメラを最初に買った2018年、オールドレンズの本を読み漁っていた頃から特別なものとして心の片隅に置いていた。ソフトフォーカスレンズの中でも群を抜いてファンタジーな世界観だと思った。調べたらタンバールの語源は「不明瞭な」を意味するギリシャ語の「thambo」。写すのに、写らないがコンセプトとは。さすがライカ、目の付け所がちがくないか…?クセが強いからか今から約90年前、1935年に発売された当時も3000本弱しか製造されておらず、復刻版も1000本ほど、つまり90年分を合わせても世界に4000本足らずしか存在ない。そのうち現役は何本存在するのか。オールドレンズに詳しい知人に相談しても、当時のものは当然古すぎて状態のいいものはほぼないと言われていた。復刻版もなかなか出回らず、待ちに待ってようやく、状態のいい復刻版の中古が出たと連絡をもらった。これを逃したらもういつ出逢えるかわからない、掴むなら今だ!
ライカを買う時はいつも、最大限の言い訳や勢いが必要である。(複数の証言あり)
タンバールはフワフワしていてとてもクセが強いので、決して万能ではない。画角も中望遠と狭いので、何でもこれで撮れる、というわけにはいかない。人によって合う合わないもハッキリしているだろう。前オーナーには合わなかったのかな。
そして、本題だ。セルフポートレートを撮ってみた。
うわぁぁ…これは…‼︎と思わず唸ってしまった。
なんという素晴らしい描写。
素晴らしい描写、というと、解像度を求めるタイプなど、人によって定義がちがうだろうから一概には言えないが、わたしにとってはパーフェクトだった。
ただただ、うっとりした。
なんて繊細で優しく、甘いんだろう。品もある。
ステキすぎるよ、タンバール…
少し前に買っていた、孔雀のような影ができるヴィンテージランプとの相性もバッチリだった。
撮影風景リールはこちら。
↓
これから作品を撮り進められると思うととても嬉しい。また生み出せるだろうという喜び。最高の道具を手に入れた。願わくば、タンバールといえばいまはこのひと、と言われるようになりたい。
M型ライカで、セルフポートレートで、タンバール。
グラフのマッピングでいうと、もういよいよ角っこの頂点くらいにいることになるんだろうな…。たぶんもうこれこそ、世界にひとりなんじゃなかろうか。
せっかくなので、わかりやすく肩書きをつけてみようかな…なんて思っている。
「self portraitist(セルフポートレーティスト)」なんてどうだろうか。ちょっと考えてみよう。
おかげさまでWOWOWで主演作「百合の雨音」(金子修介監督)の放送があったりもして、また写真集「Scent of a...」が売れています。ありがとうございます。本当に手間がたくさんかかっている本なので、ぜひ手に取っていただきたいです。編集、デザインまですべてひとりで完成させた、愛すべきデビュー作です。
本日はここまで。
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