はじめてのGTD:第3章

創造的にプロジェクトを進めるために

プロジェクトプランニングの5つのステップ

望む結果を明確にし、実現に必要な具体的行動を定義する。
それらを定期的に見返し、システムに取り込む。
このプロセスを「水平的な視点」と呼んでいる。
前章の話を踏まえてようやく理解が一歩深まったような感じ。

”垂直的な視点”を取り入れる

というように「水平的な視点」があれば概ねうまくいくのだが、もう一つ上のレベルでうまくやりたいときに役立つのがこの「垂直的な視点」。
「より高い視点からさらに段階的に”気になること”をとらえ直す」らしい。

ナチュラルプランニングモデル

人間の脳は何をしている時も計画を立てている。
更に言うと、次の5ステップを経て具体的な行動に結びついている。

1.目的と価値を見極める。
2.結果をイメージする。
3.ブレインストーミングをする。
4.思考を整理する。
5.次に取るべき行動を判断する。

100ページ

本では「夕食の計画」として、外食しに行くときのことを例に挙げている。

1.目的と価値を見極める
何らか思い立って外食を決意する。
お腹が空いたから。友人と会いたいから。
そういった「理由」に基づき、自分の「価値観」で計画の大枠を決める。
ピザ屋に行きたい。予算はこれくらい。場所は近所がいいかも。
この時点でもう「目的と価値を見極めている」状態になる。

2.結果をイメージする
ピザ屋なら〇〇というお店がいい。滞在時間はだいたいn時間くらいかな。
と思っている時点で既に結果をイメージしている。

3.ブレインストーミングをする
何時からにしようかな。定休日は何曜日だっけ。メニューは何がいいかな。
こうやって色々考えることがそのままブレインストーミングになる。

4.思考を整理する
色々考えた結果、それらの情報を整理する。
〇〇というお店にピザを食べに行く。××を誘って何曜日の何時からにする。
××の予定を確認して、それからお店に予約を入れて…。

5.次に取るべき行動を判断する
ここまで来ればあとは実行するのみ。
××に連絡を投げ、返事が来たらお店に電話する。

馬鹿丁寧に書いたが、要するに「週末あいつとピザ屋行くか」と考える際、当たり前のようにやっている思考順である。

”ナチュラルではない”プランニングモデル

が、案外仕事ではこのパターンに当てはまらなかったりして。

”いいアイデア”が悪いアイデアになるとき

「何かいいアイデアがある人~?」というのは会議でよくある話だが、ここまで読めばこの状況で出てくる「何かいいアイデア」が「ナチュラルプランニングの末に出てきたアイデア」でないことは明白である。
これでは、いけませんね。

仕事とかチームとかそういった大人数ではもちろんだが、一人でも起こり得る問題。
いきなり「なんかいいアイデアねぇかなぁ~」では出るものも出ないのだ。

リアクション型プランニングモデル

”ナチュラルではない”プランニングが横行すると、人々は会議を避け始める。
その結果「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!」となり、リアクション型プランニングに切り替わる。

とりあえず動いてみて、でも駄目で。
状況を整理してみたけど、まだ駄目で。
それじゃあみんなでブレインストーミングだ!やっぱり駄目で。
そうして外部の人に泣きつくと、「結局何が目的なんですか?」と一言。
ナチュラルプランニングに帰ってきた。

…要するに、”ナチュラルではない”プランニングも、リアクション型プランニングも、どちらも「よくない」の一言に尽きる。
ということで、ここからはナチュラルプランニングのテクニックについて。

目的と価値を見極める

「なぜそれをするのか?」という質問をして損をすることはない。
なぜなぜ期を過ぎても生活には無数の「なぜ」が付きまとう。

本の言葉を借りれば「適切な部分に焦点を当てつつ、創造的に物事を発展させ、協力を得るため」には「なぜ」をしっかり理解することが重要になる。

「なぜ」を考えることの価値

手段ではなく目的が大事。
更に言うと「どういう状況が目的を達成できていない状況か?」という質問にも答えられなければならない。

成功の基準が定まる
目的がきちんとすれば、それに伴って成功の基準が定まる。
現代社会人は皆「勝ちたい」と思っているらしい(実にメリケン的思考だ)が、勝つためには「どうしてこういう選択をしたの?」と聞かれた時に適切な回答を出せる必要がある。

意思決定の基準ができる
あれがいいか、これがいいか、それともそっちか、はたまたどっち?
どの選択肢が選ばれようと、結局は何が目的かによる。
その選択肢が必要かどうかを、目的から逆算すればいい。

必要なリソースがわかる
欲しいブツを買うために電車賃を払ってでも遠出するべきだろうか。
そもそもなんでそのブツが欲しいんだっけ?安いからじゃなかった?
じゃあ安く済ませるために追加で電車賃を払う必要はあるのか?
「なぜ」が分かればリソースを吐き出すべきかどうかもわかる。

モチベーションが上がる
正当な理由なくしてモチベーションは上がらない。
正当な理由があればモチベーションが上がる。
「なぜ」が正当な理由を思い出させてくれる。

焦点が明らかになる
何がなんだかもうよくわからない。
混乱している時に「なぜこれをしているのか?」と考えてみると、案外すっきりしたりして。

選択肢の幅が広がる
「今の実装方法だとどうしてもうまくいかねぇ~!手詰まりだぁ~!」と思ってる時に、「なんでこの実装方法選んだんだっけ」と立ち返ってみる。
「あれをこうしたくて…」と言っているうちに、「よく考えたら別の方法で解決すればいいんじゃね?」と気付く。

自分の価値観

実は目的と同じくらい大事。
価値観が冒されると生産性が落ちる。

「〇〇である限りは、みんな自由にやってくれていい。」
この「〇〇」に、自分の場合は何が当てはまるか?

何が自分の価値観にそぐわないか、どうすればそれを避けられるかを考えるといい。

結果をイメージする

結果をイメージすると、具体的な最終成果物、つまり「なぜ」ではなく「何」の部分が見えてくる。

この本の内容を実践して、タスクに振り回されない毎日を過ごせるようになる。そういう部分が見えてくる。別にこの本の回し者じゃないけど。

焦点を当てることの威力

望む結果を思い描き、そこに焦点を当てる…というのは60年代から言われてきた。らしい。
オリンピック選手も活用するような内容だが、何もオリンピックでしか使えないわけではない。

結果を明らかにする

結果をイメージできないことには、そこにたどり着く方法もイメージできない。
具体的な方法を聞いて結果をイメージするパターンが多いが、実際はその逆が望ましい。

「こうなったらすごいのではないか」くらいから始めてもいい。
そのうち答えが見えてくるかも。

ブレインストーミングをする

「なぜ」の次は「どうすればいいか」を考える。
先述したように頭の中である程度やっていることでもあるが、場合によっては頭の外に出した方がいい場合もある。

アイデアを記録する

マインドマップ、クラスタリング、パターニング、ウェビング、特性要因図、とにかく色々な方法で図に描く方法が提案されてきた。
が、結局はどれもそのアイデアが使えるかどうか、何をすればいいかを明らかにしていく方法である。

分散認知

ブレインストーミングの結果を書き出すと、記録になるだけでなく、それを見直すことで新しいアイデアが出ることがある。これが分散認知。
外付けの脳みそを作ろう!という話。

ブレインストーミングのコツ

決めつけない、異議を唱えない、評価しない、批判しない
ブレインストーミングはあくまで思考プロセスの一部。
後からいいように処理するのだから、今はとりあえずひたすら意見を出せばいい。

質より量
家電を選ぶ時にできるだけ品揃えのいい店で選ぶのと一緒。
選択肢なんてなんぼあってもいいですからね。

思考の分析や整理は最小限に
そういうのはとにかく後から。

思考の整理

ブレインストーミングを終えて意見を並べてみると、関係性や構造が見えてくる。

プロジェクトを整理するには以下が必要になってくる。

構成要素
物事を達成するには何が行われている必要があるか

順序
どの順番で行われなければいけないか

優先順位
プロジェクトの成功に一番重要なことは何か

次に取るべき行動を判断する

プランニングの最終段階では物理的なリソースの配分が必要になる。
考えるべきは「次に取るべき行動は何か?」である。

「このプロジェクトについて具体的にどうしたらいいだろうか?」に答えられるようになったら、十分に思考できた証拠。

プランニングをどこまでやるか

「気にならなくなるまで」。

筆者の経験では…
・プロジェクトの80%が単純な作業
・残りの15%くらいはアイデアを出す作業
・残りの5%は各ステップで熟考し完成度を高めていく作業

自信がないとき

ナチュラルプランニングの手順を遡るといい。
「次に取るべき行動」に追い立てられる人は「思考の整理」を考える。
プランニング自体が不明瞭ならブレインストーミングをする。
ブレインストーミングも駄目なら結果をイメージする。
それでも駄目ならそもそもの目的を考え直す。

やる気が出ないとき

ナチュラルプランニングを最初からやり直してみるといい。
目的がはっきりしていても具体的な状態が分からない場合、「望んでいる結果」を自問して細部をイメージする。

イメージが明確なのに進まない場合は「どのようにやるべきか」をブレインストーミングしてみるといい。
それでも立ち往生するのであれば「思考の整理」に進み、アイデアを評価して何が本当に重要なのかを見極める。

計画ができているのにプロジェクトが進まない場合は「次に誰が何をすべきか」を考える。

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