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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

【ネタバレ】『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』感想記

はじめに

この記事は以下の記事を書くうえでネタバレになる内容だけを切り出したページです。

特に『涙のニポポ人形』に関するネタバレが多く含まれているので、お読みになる際はお気をつけください。

また、各種おことわりは上記の記事と同様になります。

よかったところ

原作に近い形でリメイクされていること(ネタバレ有り)

有名な「めぐみのバスタオル」もしっかり残っている。

猿渡家のリビング

『オホーツク事件』の後半で購入したペナントやファミコンが置かれていた。
自分がプレイした時にはペナントの枚数と購入した家電が一致していたが、プレイによって増減するのだろうか?
するとしたら非常に高評価だが、しなくても思い出の品として飾ってある演出は良い。

『涙のニポポ人形』のシナリオ

『オホーツク事件』でも謎になっていたままだった浦田の強盗殺人を題材に繰り広げられる新シナリオは、「当時の事件を振り返る」という前フリから入る内容としてよくできていたと思う。

『涙のニポポ人形』での捜査中に訪れる土地も『オホーツク事件』からの時間経過を感じさせるものになっており、「1987年の事件があった上での2024年の事件」という語り口とマッチしていた。

よくなかったところ

『涙のニポポ人形』におけるブラックジャック

『オホーツク事件』では攻略のヒントをもらえたが、『涙のニポポ人形』に入ってからは単なるミニゲームになっているため、攻略のヒントを得ることができない。
代わりのヒント要素があるわけでもないので、『涙のニポポ人形』はノーヒントで攻略しなければならない。

ミニゲームとしてやりこみ要素になった『涙のニポポ人形』のブラックジャックだが、チップがかなり形骸化している。
5段階ある難易度に応じて扱うチップがどんどん増えていき、途中からは相手の方が多くチップを持った不利な状態から始まる。
しかし実際には扱うチップが増えるに応じて賭けの最小単位も変わるため、単なる賑やかしでしかない。

そもそも負けることに何のデメリットもないため、クリア実績を埋めるためにはひたすら最大額をベットして2連勝を目指すだけのゲームになる。

ボリュームの少なさ

『オホーツク事件』と『涙のニポポ人形』を合わせてもクリアに要した時間は僅か7時間程度。
フルボイスを全て聞いたわけではないとはいえ、4800円のゲームが7時間で終わってしまうというのはなんともあっけない。

私事ではあるが、Switchパッケージ版を買ったのでもっとあっけなかった。

『涙のニポポ人形』に残された謎

『涙のニポポ人形』の中盤、摩周駅に着いた辺りから謎の探偵が度々現れ、最終的にはバスに乗ってどこかへ去っていくが、この探偵の正体が明らかにならない。
自分が知らないだけで、べーしっ君のようなゲストだったのだろうか?
また、終盤では阿久津総一郎が探偵について言及するが、こことの関連性も不明。

『オホーツク事件』だけでなく『涙のニポポ人形』でも事件が解決した段階で相棒が答え合わせのように全てを語ってくれるので、この探偵周りだけ言及されないことに違和感が残る。
「浦田の強盗殺人」と同じくくりなのだろうか?

なんともいえないところ

追加シナリオの展開

追加シナリオの展開については、かなり『オホーツク事件』をなぞった部分が多い。
同じ北海道を舞台にしているからという話ではなく、トドワラで彩が倒れているとか、突如まりなが攫われて3D迷路が始まるとか、そういった部分。

そもそもリメイク作品の時点で旧作ファン向けの商品であり、そこに追加されたシナリオということであれば『オホーツク事件』をなぞるのも自然な話なのかもしれないが、目新しさはなかった。

表現の落差

『オホーツク事件』では原作をリスペクトするという名目でやりたい放題な表現が繰り広げられていたが、『涙のニポポ人形』では一転して鳴りを潜めている。
相棒がシュンからまりなに変わったことによる変化と取ることもできるし、追加シナリオではリスペクトという建前も失ってしまうため、仕方ないことではある。
一方で、再び現れためぐみはやはりバスタオルを取ってくれる。
いわゆる「お約束」なので許されたのかもしれないが、結果として不自然な形になっている。

3D迷路を超えたダンジョンRPGパート

『涙のニポポ人形』の最終盤になると、突如3D迷路の仕組みと新しく戦闘の仕組みを使用したダンジョンRPGパートが始まる。
ここ自体の難易度はさほど高いわけでもないのだが、今までアドベンチャーゲームの文法に則っていたところで突如別のゲームが始まるというのはなんとも不思議な気持ちである。

もっとも堀井雄二がドラゴンクエストを作っていることや、『オホーツク事件』の最後でも「かいしんの いちげき!」と出る等、RPGを意識した部分がなかったわけではないが、ここまでRPGになるとは思ってもいなかった。

マルチエンディングの到達手段

任天堂の紹介記事ではマルチエンディングであることを謳っているが、その到達方法は「最後の最後に現れる選択肢を選ぶ」だけ。
たしかに物語は分岐して終わるのだが、最後の一瞬を3パターン用意しただけでマルチエンディングを謳うのはいかがなものだろうか。

とはいえ一本道が基本のアドベンチャーゲームでマルチエンディングを用意するならこの程度が妥当とも思えるし、さじ加減が難しいところではある。


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