電験1種 1次試験の所感・使用した参考書
3年間の勉強を経て電験1種に合格しました。この経験をもとに、電験1種の取得過程や電験1種 1次試験の所感、使用した参考書などについて整理しました。
使用した過去問、参考書は以下です。
●過去問12年分
「電験王 電験1種一次試験 過去問徹底解説(電験王殿、山岸健太殿)」
「電験一種 一次試験の完全研究(オーム社)」※2008年~2013年
●電験2種1次試験に引き続き4科目とも使用
「電験二種徹底マスター(オーム社)」
●法規の対策で使用
「絵とき 電気設備技術基準・解釈早わかり(電気設備技術基準研究会)」
1.電験1種 取得の過程
■1年目:1次試験 (理論〇、電力〇、機械〇、法規✕)
電験2種に合格した後、少し気が緩みましたが、1次試験の約5カ月前から勉強を開始しました。理論と電力は確実に合格、機械はギリギリ合格点に滑り込めるようにと考えていました (法規は諦めていました)。過去問を繰り返し解き、忘れていた内容は「電験二種徹底マスター(オーム社)」にて復習しました。徹底マスターに記載が無ければ余白に追記していき、徹底マスターを電験1種対策用の辞書として活用していました。
<自己採点>
理論 56/80点 (7割)
電力 50/80点 (6.25割)
機械 55/80点 (6.875割)
■2年目:1次試験 (法規〇) 2次試験✕ ⇒ 電験2種合格
この年は、電験1取得に向けて非常に良い流れができていたと思います。1次試験は法規1科目のみだったため、負担が最小限であり、並行して2次試験の勉強にも時間を割くことができました。しかし、少しリラックスし過ぎたこともあり、勉強開始は1次試験の6カ月前からでした。法規と2次試験は電験2種のときから2年程のブランクがあり、内容をかなり忘れていました。これを取り戻すため多くの時間を法規の勉強に充て、2次試験の勉強は電験2種で使用した「これだけ電力・管理 -計算偏-(電気書院)」「これだけ機械・制御 -計算偏-(電気書院)」の復習、加えて過去問を数年解くぐらいでした。
結果として、1次試験の法規は合格できました。しかし、この2年目では、2次試験を突破できる実力を付けることができませんでした。
<自己採点>
法規 68/80点 (8.5割)
■3年目:2次試験〇 ⇒ 電験1種合格
電験1種2次の不合格通知を受けた後、「今年こそ合格する」という強い意志で、2月~11月までの約10カ月間、勉強に集中しました。この期間中、休日はほとんど勉強に充て、旅行などの遠出は基本的に控えました。2次試験の過去問20年分を使用し、計算問題は5週以上、論説問題は項目ごとにノートに整理していきました。
その結果、2次試験に合格し、ついに電験1種を取得できました。プロフィールでも述べたように、最初は「とりあえず何か資格を取ろう」という気持ちで電験3種を始め、当時は電験1種や2種のことは考えてもいませんでした。6年間の勉強の末、電験1種取得まで至りました。この経験を通じて、継続して努力することの大切さを改めて実感しました。
<自己採点>
電力・管理 55/120点
( 内訳:計算①10/30点 計算②15/30点 論説①15/30点 論説②15/30点 )
機械・制御 55~60/60点
( 内訳:変圧器25~30/30点 制御30/30点)
合計 110~115/180点 (6.1割~6.38割) ⇒ 電験1種合格
2.各科目の所感
基本的に各科目とも、次の①②を繰り返していました。
①過去問演習
②過去問演習にて間違えた内容や不足内容を「電験二種徹底マスター(オーム社)」にて復習。この徹底マスターに記載が無ければ余白に追記して覚えていく
2-1.理論
電験1種の理論は、電験2種と比較して最も難易度が上がっていると感じました。特に計算量が多いです。「電験一種 一次試験の完全研究(オーム社)」の理論の問題は難易度が高いです (昔の過去問の方が難しい…?)。まずは直近の理論の過去問から始め、徐々に過去に遡って取り組むことが効果的です。
●電磁気、電気回路、電子回路だけでなく、"数学力"が求められる
理論科目では、数学の知識と計算力が非常に重要です。三角関数、虚数、ベクトル、微分・積分などの数学の基礎がしっかりしていないと、計算に手間取り、問題がなかなか進まないことになります。また、過去問の解説を読んでも理解が難しい場合もあります。数学力を高めるためには、電気数学の参考書を使い、ひたすら計算問題を解くことが効果的です。繰り返し解くことで、計算の際は勝手に手が動くぐらい解けるようになるのが理想です。
2次試験では、1つの大問でノート2~3ページを使うような複雑な計算問題が出題されることもあります。そのため、電気数学と計算力は必須です。
電気の知識に関して、電験1種の問題が難しいと感じる場合、電験2種の問題を復習することも1つの方法です。電験2種の問題の方が、比較的 出題形式がシンプルのためです。
2-2.電力・機械
電験2種と比較して、電力・機械は大きく難易度は上がっていない印象です。
ありきたりかもしれませんが、次の2つを何度も繰り返すことで、内容を習得してました。これまでの経験から、限られた参考書を徹底的に勉強する方が知識が定着し、合格に近づくと考えます。私はこの2つ以外に手を出しませんでした。逆にその他科目も勉強していく中で、多くの参考書に手を出している余裕は無いかと思います。
●過去問
本試験において過去問と同じ問題や類題が出題された場合、確実に解答できるようにする
●電験2種の「徹底マスター」
電験1種でも2種の内容も出題されることがあるため
<私の個人的な考え方>
試験では得点調整が入らない限り、6割以上で合格です。つまり、4割までは不正解でも問題ありません。実際の本試験では、過去問や参考書に無い問題が出題される可能性があります。その問題については、不正解で良いと割り切ります。その他の受験生も正答率が低いでしょう。その代わり、過去問や類似問題が出題された場合は、確実に正解できるように過去問・参考書を勉強します。私はこのような考えで試験に臨んでいました。
<電力・機械科目がそれでも不安なら>
もし電力や機械科目に不安がある場合は、2次試験の問題にも取り組むことをオススメします。電験1種全体を通して、このように感じました。
(※私は1次試験の電力・機械の勉強中に、2次試験の問題に触れていません)
特に、2次試験 電力・管理の論説問題は、1次試験の電力科目と内容がほぼ同じです。私自身、論説問題対策で内容を整理して覚えた後、たまたま1次試験の問題を確認する機会がありました。すると、空欄箇所に入る内容がすぐに予想でき、問題文から間違った選択肢を簡単に消去することができました。
2-3.法規
電力・機械科目と同様に、電験2種と比較して大きく難易度は上がっていない印象です。過去問と電験2種の「徹底マスター」を繰り返し、電験2種 1次試験でも実践した方法で勉強を進めました。
電験1種時に新たに取り組んだことは「絵とき 電気設備技術基準・解釈早わかり(電気設備技術基準研究会)」を参照したことです。この書籍はタイトル通り、電気設備技術基準とその解釈の条文がすべて掲載されています (ページ数は900以上)。この書籍を購入した理由は、「徹底マスター」では記載されていない条文があり、その条文全体を確認したかったためです。2年目に、1次試験は法規だけが残っていました。何としても法規を合格するため、出来る限りの対策をしました。この書籍は条文が掲載されているだけでなく、その条文に対するコメントや解説が含まれています。条文をただ暗記するのではなく、理由も含めて理解することで記憶に定着しやすくなると感じました。これは、過去問や徹底マスターでは得られない内容です。
3.使用した参考書
●過去問
過去問は、電験受験者ならご存じの「電験王 電験1種一次試験 過去問徹底解説(電験王殿、山岸健太殿)」と、現在は絶版のためメルカリで購入した「電験一種 一次試験の完全研究(オーム社)」を使用しました。完全研究(オーム社)は絶版であるため、入手が困難、且つ定価よりも価格が高い状態です。電験王殿の書籍やHPにて過去問を参照する方法が最適です。
私が受けた本試験でも、過去問から出題されたものがあります。過去問に集中して取り組んだことは、非常に効果的だったと感じています。まずは過去問演習が必須です。
●1次試験 各分野の復習
電験2種1次試験でも使用した「電験二種徹底マスター(オーム社)」(各4科目)を使用しました。
過去問演習の補助、及び各分野の知識定着のために使用しました。Amzonのリンクは『電験2種 1次試験の所感・使用した参考書』の記事に掲載してあります。電験1種、2種でも使用できる参考書だと思います。
●法規の条文を確認
こちらの書籍は必須とは言いません。参考にしたい方は購入しても良いかなと思います。
「絵とき 電気設備技術基準・解釈早わかり(電気設備技術基準研究会)」
<書籍の購入>
過去問や参考書など専門書は、1冊あたり数千円することが一般的です。何冊も購入すれば数万円の出費になります。それ加えて、電験の受験料、交通費、遠方の方は宿泊代も必要になり、全体の出費は高額となります。しかし、試験に合格すれば、それは一生の財産となり、それ価値は金銭以上のものがあると信じていました。そのため、必要だと感じた書籍は迷わず購入しました。
4.さいごに
これらはあくまで私の所感です。勉強方法や参考書がすべての方に合うとは限りませんのでご注意を。
ではまた!
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