コロナウイルスに関して博士研究員が思うことーその1ー

どうもテキサス猫です。

今日は時事ネタでコロナウイルスについて書こうと思います。

この記事はウイルス学を専門とするテキサス猫が思うコロナウイルスの現状と完全なる私の個人的見解に基づいて書きます。

私の専門はウイルス学なので医学的知見よりもウイルス学的な知見をベースにして書きます。人よりもウイルス目線です。

そもそもコロナウイルスって何?

まずはウイルスに関する基本的な知識ですが、ウイルスの分類法として大きく二つがあります。

・ウイルスゲノム(遺伝子)としてDNAを持つDNAウイルスとRNAを持つRNAウイルス

・細胞由来の脂質二重膜(エンベロープ)を持つウイルスと脂質膜を持たずにタンパク質でのみ構成されるウイルス

この分類法はウイルス学の基本中の基本ですが、大まかなウイルスの特徴を表します。

ウイルスゲノムがRNAかDNAかどうかはウイルスの変異の起こりやすさに関わり、RNAウイルスの方がDNAウイルスよりも変異が起きやすいです。エンベロープの有無は消毒薬の効き目に関わり、エンベロープのあるウイルスはアルコール類を含む大抵の消毒薬が有効ですが、エンベロープの無いウイルスは塩素や強酸・強塩基でしか完全に不活化(ウイルスを殺すこと)ができないものもいます。

コロナウイルスはエンベロープを持つRNAウイルスです。ですのでコロナウイルスは比較的、「消毒薬は効きやすいですが変異の起こりやすいウイルス」だと言えます。

コロナウイルスにも色々と種類があります。

人に感染するコロナウイルスは一般的な風邪の原因となる数種類のヒトコロナウイルス、SARSコロナウイルス、MERSコロナウイルス、そして今回の新型コロナウイルス(SARSコロナウイルス2)です。

ちなみにSARSコロナウイルス2とはS知られているコロナウイルスの中ではSARSコロナウイルス一番近かったのでそう呼ばれていますが、まだ仮称で正式名称は決まっていません。

ヒトコロナウイルスは基本的に人にしか感染しないウイルスですが、SARS・MERSコロナウイルスは人と動物の両方に感染する人獣共通感染症病原体です。今回の新型コロナウイルスも人と動物の両方に感染することが強く疑われていますがまだ自然宿主(自然界でウイルスを保持している動物)は分かっていません。

新型コロナウイルスは今まで人間に感染したことがなかったウイルスなので誰も免疫を持っていません。なので世界中で爆発的に感染が広がっています。

コロナウイルス感染症(COVID-19)は怖いのか?

新型コロナウイルスに感染することで起こる病気ははCOVID-19Coronavirus disease 2019)と呼ばれています。

ヒトに感染するコロナウイルスは普通の風邪から致死率の高いSARSやMERSなどを引き起こしますが、すべてが基本的には呼吸器でウイルスが増殖します。COVID-19の場合も同じです。

COVID-19の現在までに報告されている致死率は1-5%ぐらいです。普通の風邪に比べたら高いですが、SARSやMERSでは30%を超えてくるのでそこまでではありません。ちなみに、かの悪名高いエボラ出血熱の致死率は50-90%と報告されています。

インフルエンザの致死率が0.1%未満なのでCOVID-19の致死率は高いような気がしますが、インフルエンザの場合ワクチンも治療薬もある状況です。

COVID-19の怖いところは人類が経験したことのない新しいウイルスなので免疫を持っている人がいません。なので一度感染が広がってしまうと感染爆発(パンデミック)を起こします。

ただCOVID-19の死者のうち大多数は70歳以上の高齢者です。高齢者は体力や免疫力が若い人に比べて落ちているので感染症で重症化しやすいのはコロナウイルスに限ったことではないですが。

また新型コロナウイルスは不顕性感染(感染しても症状が出ない)を起こしており、若い人では不顕性感染化しやすいことも分かっています。不顕性感染は感染しても症状が出ないので感染していることに気づきにくいですし、知らずのうちに感染を広げてしまいます。

まとめるとCOVID-19は風邪よりも重症化しやすいウイルスだがそこまで致死率が高くない。ただ感染が広がりやすいということです。


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