賑やかな墓場
昔、昔、まだ町の男性達が「ちょんまげ」をつけている時代の事だった。
町人A「おい!?
お前、この話しを知っているか?
最近、町の裏山の空におかしな穴が開いてそこから色んな物が降ってくるらしいんだ。」
町人B「そいつはおかしな話しだな〜。」
町人A「中には変わった形のソトウバもあったという話しだ。」
町人B「そうか〜。オレの家は貧乏だからまともにご先祖さまのお墓にもソトウバも立ててやれん。
いっちょ、ありがたくそのソトウバを拝借しに行くか。」
町人A「ああ、そうだな。」
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そして、時は現代に流れ…。
スマートフォンがすっかり定着している我らの世界に入る。
若者A「よ〜。最近ハヤリの妖怪墓場って心霊スポット知ってるか〜??」
若者B「なんだよ、それ。知らねえよ。」
若者A「町の人達もこぞって行ってみてる見たいだ。オレ達も行こうぜ!?」
若者B「…しょ、しょうがねえな〜。
ちょっとだけだぞ。」
若者A「イェーイ!!」
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そして2人は噂の妖怪墓場にやって来た。
妖怪墓場は昔のヒッソリと静かだったと言う墓地の話しとは裏腹に、始終、墓地の中で奇怪な音が乱雑に飛び交っていた。
若者A「…うわー。ホントにキてるなこの墓場。幽霊達ががむしゃらに暴れまくってんじゃねえのか??」
若者B「うるせえな〜。なんだこの墓場は??」
若者A「あ、携帯のバッテリーがそろそろヤバイわ。Bluetoothでも切っとくか。」
ソトウバA「ペアリングモード切断。」
若者A,B「んん!!!?
ペアリングモード切断!!?」
ヒュー、ドロドロドロ。
???「ふぉ、ふぉ、ふぉ。そういう事じゃ。
良く墓場の音声を聞いてみい。」
後ろから声がしたので振り向くと、そこには白髪頭のおじいさんが立っていた。
そして、
妖怪墓場の小さいソトウバから流れてくる音声のひとつに耳を集中させて見ると、今流行りのYouTuberの番組の音声が流れていた。
そして一方では、最近のポップスミュージック。
ポルノ動画の行為の音声。
etc。
…………。
老人「コレは現代で使われなくなったBluetoothスピーカーが過去のこの町に無造作に捨てられた物だ。
全く文明のつけは文明の飛躍よりも代償の処理にも当てて欲しかったわい。」
…………。
若者A「おい!!
じいさん、オレが今から業者に問い合わせ電話するから、もう家に帰ってくれ。」
じいさん「おお、そうか。若いの、この墓場を静かにしてやってくれ。
ありがとう。
コレで安心して眠れるわい。
じゃあのう。」
A,B「眠れる??」
白髪頭のおじいさんが、そう言伝るとおじいさんはソット足元から煙のよう消えて行った。
若者A,B「…怖わ!!地味に怖わ!!」
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そして何百年前の安物のBluetoothスピーカーは業者によって回収された。
僕達は学んだのかも知れない。
ただ新しい物を追いかけるためにゴミを作り続けるのを辞めようとする行動を。
ありがとう。
白髪頭のご先祖さま。
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