娘とアイロン
夜窓を開けると鈴虫の声が聞こえてきた。そよかに入り込んでくる風も涼しく、夏の終わりを感じる夜だ。
少し入りが悪いコンセントにアイロンを差し込み、シワシワの娘の給食着を眺めながらアイロンが温まるのを待っている。
体より少し大きめのダボっとした給食着、これを着ながら配膳している風景が思い浮かぶ。
自分が小さい頃は自分の分だけ少し多めによそったりしたな、「多めにしてくれ!」と前のめりな友達にはコッソリ多めにしてあげたり、あえて意地悪したりしたなー。なんだか懐かしい。
このシワには色々な学友とのコミュニケーションが詰まっている証だ。娘はどうだろうか?明日の晩早く帰って聞いてみよう。
、、、少しずつシワが伸ばされていく給食着を見て、「学校楽しんでこいよ」とやわらかい気持ちになる。家事は基本的に大変だけど、小さなことに「意味」を感じ、想像するだけでワクワクする。
アイロンは家族との静かなコミュニケーションだ。