大会選び
どうしたら1番になれるのか
考えても考えても答えが出なかった。
でも諦められなかった。
どうしたらいいのか
自分ではわからなかったので
思いきって仲良しの異性の先輩に
相談をもちかけた。
「好きな人に
好きだけど2番目と言われました。
どうしたら1番になれますか?
男の人目線の意見を下さい!」
先輩から返ってきた言葉を
私は忘れない。
「それは無理だと思う。
だって、なんていうかほら、大会が違うから」
...大会?
「1番て彼女ってことだよね。
でも、○○さんは彼女の大会に
参加できていないから
どれだけ頑張っても多分彼女にはなれない。
なれて都合のいいやつの1番かな。」
衝撃だった。
頑張れば1番に
彼女になれると思っていたのに
自分でも知らない間に私は
彼女の大会じゃない大会に
エントリーしていたらしい。
確かに、私がちゃんと彼女の大会に
エントリーできていたならば
この半年間でいくらでも
なれる機会はあったはずだ。
なのに私は彼女になれなかった。
だって大会がちがうから。
私が他の大会で頑張っている間に
急に現れたその子は
ちゃんと彼女の大会にエントリーして
あっさりと優勝を果たし
見事彼女の座についた
ということ。
なるほど。
そうゆうことだったのか。
先輩の見解は
自分でも不思議なくらい
納得できるものだった。
そもそも1番てなんだろう。
私はその人の何になりたいのだろう。
私が目指すのは
例えば同時に遊びに誘われた時に
最優先で選ばれる存在なのだけれど
それがはたして彼女のポジションなのかは
わからない。
状況によっては近くにいる私の方が
優先される場合だってあるかもしれない。
そして私がいうのもなんだが
近くに私のような存在をもつ人の彼女が
幸せだとは正直思えない。
遠距離の彼女は
自分の彼氏の家で
時々お酒を飲んで泊まっていく女の存在を
きっと知らない。
だから実は私はその人の彼女になりたいとは
少しも思っていなかった。
でも、私より優先順位が高い人が
現れるのは嫌だった。
誰のものにもなって欲しくなかった。
そしたら私が1番でいられる。
そう思っていた。
ただ、結局年頃の未婚の男性にとって
最優先される存在はやはり彼女のようだ。
あの状況で存在を伝えられた彼女は
確実に私よりも優先される存在なのだろう。
私が頑張って
都合のいい大会で1位になったところで
総合優勝をはたすのは
やはり彼女の大会の1位なのだ。
先輩の発言を受け
私はこの恋を諦める事ができた。
それから間もなくして
私は仕事を辞めて
その人に会うことがなくなったし
その人もその後仕事をやめ
他府県へ引っ越したと聞いた。
ただ、時々
本当に時々
その人の腕枕で眠っていた
私にとってかなり幸せな時間を
思い出すことがある。
きっともう会うことはないだろうけど
もしまた同じ状況になれるなら
もう一度あの腕枕で眠りたい。
そしたらきっと
美化されたままの思い出は
あれ?こんなんだったっけ?
もっといい感じだったはずなのに
となって
忘れる事が出来る気がする。
それ以降私は気をつけるようにしている。
気付いたら他の大会に出ていたということが
もう二度とないように
好意を持った相手には
ちゃんと好きなことを伝えて
あなたとお付き合いしたいですという気持ちを
ちゃんと表現するよう努めている。
大会は大切だ。