フラッグシップってなんだろうね〜【名古屋遠征3部作完結編】
某進撃の巨人みたいに完結編がいくつもあるとかはしません
パノラマカーの栄光の残滓
フラッグシップ、現代では商品展開や広告戦略上の最も重要なモデルを指す語としての用法が一般的な語に思います。鉄道会社、特に有料特急列車を運行している会社などはそういった列車、というか車両を企業の顔として全面に押し出してくることも多くフラッグシップと呼んで差し支えないでしょう。わかりやすいとこでいうと近鉄のひのとり(80000系)や南海のラピート(50000系)、あとは東武のスペーシアX(N100系)とか西武のラビュー(001系)なんかがパッと浮かびました。
では名鉄、名古屋鉄道のフラッグシップにあたる車両は何か。引退からもう15年以上の月日が流れているのに今なお7000系パノラマカーを挙げる人は決して少数派ではないと信じています。名鉄のコーポレートカラーたるスカーレットに身を包み、運転席を2階部分に設けることで最前部を展望席として開放した前面展望方式を日本で初めて採用。特徴的なミュージックホーンも合わさり名鉄、ひいては高度経済成長期の日本の鉄道を代表する車両とすら言ってしまっても言い過ぎではないまさに名車中の名車。
2008年に定期運行を終え、翌年に完全退役してから早15年。精神的な後継車とも言えるパノラマSuperはリニューアルが施されまだまだ現役、ですが…。現在の話をすると名鉄のフラッグシップとして扱われているのは同車ではないように見受けられます。
実利本意のフラッグシップ、ミュースカイ
21世紀の名鉄において、最も重要視されているものの一つと思われるものがセントレア、中部国際空港の輸送です。同空港は乗り入れる鉄道が名鉄1社であるため、空港輸送を半ば独占できているように見えますが、当然空港輸送を担うのは鉄道だけではありません。特に名古屋周辺は自動車産業を域内で抱えていることもあって道路事情が東京大阪と比べて充実しており、結局競争を強いられることに変わりはありません。そのため名古屋市内〜中部国際空港間の輸送は非常に重要視されており、他の空港連絡を担う鉄道会社と同様に専用車両を用いた専用列車が設定されています。その車両こそが2000系であり、そしてそれを用いるのが「ミュースカイ」です。
そのボディはコーポレートカラーたるスカーレットを一切纏わず空を意識した青の差し色と白という名鉄らしさを排除した色合い。そして現在の名鉄で唯一全車両が特別車(JRの特急に相当、他の車両は一部特別車といい乗車券のみで乗れる一般車を併結)という構成など、名鉄で最もヒエラルキーの高い車両であることが随所からわかります。運用も、快速特急よりさらに上の専用種別「ミュースカイ」が割り当てられ、速達性確保のため車体傾斜装置を搭載してカーブの通過速度を向上させたり、120km/h運転のため保安装置としてミュースカイ専用にATS-Pが整備されたり(他列車は名鉄ATSという保安装置を採用)とこれでもかというほど特別扱いが徹底されています。
しかしその一方で、前面展望席はありません。パノラマカーやその精神的後継車たるパノラマSuperのような『華やかさ』が同車にはないのです。鉄道車両において前面展望というものがいかにシンボリック性を持つか、それは小田急ロマンスカーを見ているとわかりやすいかと思います。
朝ラッシュの乗車記
名古屋遠征最終日、というか帰るだけの日の火曜日。セントレアから飛び立つため私は朝8時前の名鉄名古屋駅に降り立ちました。常に混んでる印象のある名鉄名古屋駅ですが朝ラッシュ時にはもちろんそれに拍車がかかっており、到着列車もみな超満員。その割に4両で急行とかが乗りつけてくるので油断ならないのですが。そんな状況なのはわかりきっていたので私も最初からミュースカイに乗るつもりで特別車の指定券、ミューチケットを抑えておきました。
と思ったら乗車電はまさかのブルーミュースカイ。これは名鉄130周年を記念してミュースカイの塗装を反転させたものとなっています。こういった記念ごとに起用されている点からもミュースカイが今の名鉄にフラッグシップとして扱われていることがわかります。
さて乗り込んで混雑状況を確認。急行ですら油断してると4両で突っ込んでくる名鉄においてこのミュースカイはなんと全車特別車にも関わらず8両という大盤振る舞い。なのですが乗車率はざっと8割近くはありました。まぁ名鉄の特別車は450円均一とかなりお安い設定なので利用もかなり定着しているのでしょうか。JR東日本の普通列車グリーン車が最安でも750円なのでそれと比べると安さが際立ちます。
さて列車は名鉄名古屋を出ると金山、神宮前と停車し、神宮前を出ると終点の中部国際空港までノンストップ。それも朝ラッシュど真ん中の時間に都心と反対方向とはいえ全然先行列車に詰まる様子も見せず快調に飛ばします。そして列車は最後の駅であるりんくう常滑を通過。すると車内にBGMが流れ出します。
「Big Sunset」という曲で、ミュースカイ含む特別車連結の列車が中部国際空港に到着する直前に流れるものです。ミュースカイの場合はBGMと共に荷棚のランプが青く点滅を始め、その様はまるで空港の誘導灯のよう。幻想的とすら思える空気に車内が包まれ始める中、中部国際空港への連絡橋を快走するミュースカイ。やがて空港行き車内チャイム「Departure〜風の街へ〜」が流れ、続けて「名鉄をご利用いただきましてありがとうございました。まもなく終点、中部国際空港に到着します。お忘れ物のないようご注意ください。」と自動放送が流れます。いやホント、この演出?には脱帽しましたね。ここまで終着駅への到着を「演出」する列車もそうないんじゃないでしょうか。しかもこれ1時間に2本は走ってる列車ですからね?前面展望のような「華」がなくともフラッグシップとしてふさわしいこの取り扱いの数々。実利本意であっても確かにそこには会社の顔、フラッグシップがありました。
次名古屋はいつに・・・
名古屋遠征3部作はこの完結編含め4本の記事で完結です。果たして次名古屋を訪れるのはいつになるのか。間違いなくミリオン11th開催時なのですがそれがマジでいつになるんだろ…という。11thが延期になった裏で開催が発表されていたハッチポッチ2が開催日程と会場、出演者まで発表されてしまいました。765ASとミリオンの合同ライブ、つまり765プロ総出のライブであり、前回2017年のものも様々な伝説を残したと聞いております。日程までは未確定ですが参戦予定ですのでよろしくお願いいたします。
加えてもう一つ、AqoursのFinaleライブにも参戦を目論んでおります。Aqours最後のワンマンライブ。私がラブライブの世界に飛び込んだ頃は既にμ'sがいない時代であったために、思い入れはやはり別格です。何よりAqours単独の現場はまだ未経験であり、生でAqoursを拝めたのもまだ異次元フェスの他にないので何が何でも行きたい。そんなわけで来年3月と6月は既に予定が決まっていますが果たして11thがどこにぶち込まれるのか、ぶち込まれたとして行けるのか。不安で仕方ないですが。