ものすごくうるさくて、ありえないほど近いは――第6区?



 はーい、テツガク肯定です。

 ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのは?



 もし、今の私がそう訊ねられたら。
 昔、ニューヨークにあった、6つ目の行政区、第6区と私は答えます。

 これは映画、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の話です。
 これを書き終えて、動画をつくったので。
 文章を読むのが苦手な方は、相方が話す動画の方を。
 8分です、映画と同じ8分間の話です。



 映画を観終えても、まだ私は気づきもしませんでした。
 たまたまネットで検索して。
 このタイトルもなぞなぞだと認識した人の意見を目にするまでは。

 皆さん、凄くいいことを言っていました。
 ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのは――母親だとか。
 それは、オスカー・シェル自身だとか。

 それで、あっ、そうか。
 このタイトルにも何か答えがあるはずだ。
 このタイトルは鍵で、この鍵にあう箱があるはずだと。

 そして、ぼんやりと浮かんだというより。
 私の隣で相方が言いました。
 きっと、おそらく、たぶん、それは――第6区だと。
 本当に何気ない直感でそう言いました。

 しかし、相方の直感はかなり鋭いです。
 私も振り返ってみました。

 そして、ラストのお父さんのメッセージに違和感を感じました。

 第6区の人々は
 どこかで君を称えているよ

 私もだ

 さあ 家にお帰り


 これじゃ、まるで――
 お父さんのトーマスさんも第6区にいるみたいです。

 そして、思い出しました。
 映画の冒頭で、オスカーさんが言っていたことを。

 じゃ 死者用の超高層ビルを
 下に向けて建てたら?

 生きてる人用の
 超高層ビルの下に建てるんだ

 地下100階分に
 人を埋葬できて――

 完全な死んだ世界が
 生きた世界の下にできる


 最初はただのオスカーさんの気持ちだと思っていましたが。
 それが、映画のラストの第6回調査探検に現れています。

 その報告書のタイトルは。
 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い。
 最初のページには。

 トーマス・シェル氏に捧ぐ
 宝石商にして矛盾表現者

 とあります。
 その報告書の最後のページには二つのタワー。
 引いてという仕掛けを引くと、絵が見えます。

 体勢を崩した人が体勢を整えて。
 そのタワービルに入る絵です。

 これじゃ、まるで――。
 オスカーさんが言っていた、地下に建てた超高層ビル。
 ニューヨークにあった、6つ目の行政区、第6区。

 最初は時間を戻す仕掛けだと思いました。
 ですが、ほんの少し違和感です。
 ビルに戻る人の体勢が。

 それともう一つ。
 オスカーさんが聞いたお父さんの話。

 NY市には
 6つめの行政区があったと――
 パパが言ってた

 でも今はいけない
 川を流されてしまって
 行方不明だから

 これじゃ、まるで――。
 三途の川の向こう側に流れ着いた行政区。
 そう捉えることもできてしまう、不思議なパンくずです。

 素直に正直に言います。
 私と相方が見つけた答えがどうなのかはどうでもいいことです。
 ですが、そう察することもできる奥深さが最高に面白いです!

 探すのが辞められない。
 まさにそのとおり、私も相方も愚かさが止まらない。
 アンダーステアです。

 本当に最高の映画です。
 ワクワクが止まりません。
 簡単に見つからないから探したくなる。

 その答えはどうでもいいことです。
 別に正しさを証明したいのではありません。
 ただ、『DIVE IN!』したいだけです。
 最高の物語の中に。

 最後に

 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い。
 そんな六つ目の行政区、第6区は。
 ニューヨークじゃなくても、あるような気がします。

 私達が感じる今、この瞬間。
 その裏側に確かにある、同じようなあの世があるはずです。
 私の相方は、あの世から抜け出して来た、愚かなFRウサギでワガママ・クイーンです。
 必ずあるはずです、第6区は。

 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い。
 そんなどこかに。
 私と相方はそれを第6区と呼びましたが。

 あなたにとって。
 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い。
 それは、なんですか?

 きっと、違う箱が見つかるはずです。
 なぜなら、鍵は同じでも、その使い方が違うからです。

 本当にこの映画は。
 とんでもない映画です。 

  
 それでは、また次の機会にお会いしましょう。





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