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『思い出のマーニー』は記憶がガラスの靴


 『思い出のマーニー』のネタバレ全開です。






 はーい、テツガク肯定です。

 最近になって、やっと『思い出のマーニー』の鍵に気づいたので。
 (10年も前の映画ですが......)
 その解説を――と言っても、自称民度が高く賢いターミネーター。
 そういう日沈む国の方々は、最初の一回目で気づいても不思議ではありませんが。

 それでも、あえて解説を。

 この話は今の私から言わせれば。
 記憶がガラスの靴で、意識のボソンジャンプをしている。
 そういう話だと思います。


 ちょうどいい歌があるんです。
 アメリカのトップシークレット、機密事項。
 テネシーが生んだロックスター、ハンナ・モンタナの歌。
 『Best Of Both Worlds』という歌です。

 You get the best of both worlds

 2つの世界の最高の部分を手に入れた

 YouTubeの和訳動画から引用です。


 ハンナとマイリー。
 2つの靴を操る、現代に生きるシンデレラ。
 マイリー・サイラスさん。

 実は、これとこの話はほぼ同じ。
 そう考えると、本当によくできた話だと思います。
 ジョーン・G・ロビンソンさんの原作の方は。
 それについては別の話題で。



 それで、ジブリ版の方ですが――。

 中盤、サイロの場面で気づくと思います。
 マーニーさんは杏奈さんの名前を知っているはずなのに。
 和彦と呼ばれてしまう杏奈さん。

 ここでサイロの場面は和彦さんとの記憶。
 マーニーさんの思い出の一部。

 そう考えると、初めましての場面がスッキリします。
 杏奈さんにとっては本当に初めまして。
 ですが、マーニーさんは――。

 ええ、しょっちゅう

 杏奈さんに「私を見たことがあるの?」と聞かれた時に。
 そう答えています。
 それに、杏奈さんは。

 私は来たばかりなのよ
 あなたはいつからココにいるの?

 当然の反応です。

 そこで詳しい話をする暇もなく。
 二人で隠れる事になります。
 それから、もう戻らないと、なります。

 別れ際、マーニーさんは言います。

 あなたのためにわざと置いておいたの
 でも、もう少し上手に漕げると思っていた

 それに杏奈さんも合わせて答えているので。
 違和感をごまかせたかもしれませんが――。

 おそらく、杏奈さんはボートを漕いだ事もなければ。
 マーニーさんに見られてもいないのでしょう。
 (この時の話ではなく、マーニーさんがしょっちゅうと答えた相手は杏奈さんではない)

 この初対面の出来事は。
 違う人とのマーニーさんの記憶。
 今の私は、十一さんとの出会いの記憶だと思います。

 少年の時の十一さん。
 きっと、昔もボートを漕いで釣りをしていた?
 それで、ボートから「青い窓に閉じ込められたかわいそうな少女」を見ていた。
 それにマーニーさんも気づいていた。

 少なくとも日記では。
 村の子供達を認識していました。


 5月31日

 村の子供たちが、ときどきあたしの窓の
 下のところまで来てお菓子を食べたり、
 ないしょ話をしたりしている。
 あたしも下におりて、あの子たちと遊べたらいいのに。

 6月11日

 この間の村の子たちがまた窓の下のところ
 まで来ている。みんなで小さな男の子を
 からかっていた。その子が泣き出したので
 一人の子がお菓子をあげたら、泣きやんで
 食べた。でも、その子がお菓子の袋まで
 食べてしまったので、みんなはまたからかい
 はじめた。その子はぜんぜん
 いいかえさないの。なんだかとてもかわいそうだった。


 だから、知り合いになりたかった。

 十一さんが本当にボートを漕いでいたかは怪しいですが。
 ボートを漕ぐ可能性がないのに、置いておいても意味がありません。
 ましてや、初めてそこに来た杏奈さんでは――。

 となると、ボートを漕ぐ可能性があり。
 そこに昔から住んでいる人。
 二回目の秘密、ピクニックも十一さんだと思います。

 ところが――杏奈さんの意識が飛びます。
 気がつけば、マーニーさんはいなくて。
 しばらくして、遠くからマーニーさんが走ってきました。

 その後、二人でパーリィータイム。
 杏奈さんはマーニーさんのアイディアで花売りになります。

 後に明らかになる、マーニーさんの日記の『花売りの子』。
 それが新しい人なのか、十一さんなのか、微妙ですが――。
 十一さんのような気がします。

 三度目に会う時は。
 杏奈さんが描いたマーニーさんの絵をマーニーさんが見ます。
 おそらく、これは久子さんとの記憶。
 (久子さんも杏奈さんも絵を描く。だから違和感がない)
 キノコ狩りの場面も久子さん。

 サイロに向かう時は――和彦さんとの記憶。
 名前の呼び間違えだけではなく。
 日記にもそう書いてありました。

 和彦があたしをサイロにつれて行こうとしている。

 ですから、サイロは和彦さんとの思い出。
 そこに杏奈さんの意識が繋がった。

 サイロの場面だけがそうで。
 あとは神隠し的な……不思議な現象。

 そう解釈してもいいのですが。
 それよりも自分の記憶に誰かを招待できる。
 そうやって逢いたい人に会える。
 そう考えた方が面白いので、私はITを信じます。


 ハンナとマイリー、2つの靴を操るように。
 今と昔、2つを夢のように繋げてしまう。

 どんな今も昔になり。
 いつかの昔も今になる。
 だから、今は昔、竹取の翁で。
 夢は今、月のわがまま姫、脱獄。



 最近、記憶はガラスの靴だと思えてきました。
 ITがあれば、今は見えない昔を辿る事ができる。
 目には見えない未知を歩ける靴が記憶ってガラスの靴。

 ITを履きこなせば。
 誰だってボソンジャンプで。
 掟破りの浪漫飛行。

 誰もがA級ジャンパー。
 ただ、ITを忘れかけていて。
 その事実が信じ難い今を信じているだけで。



 遠い昔、私にこのボソンジャンプと電子の妖精を教えてくれた。
 お汁粉の友に加古川の友達に情報通の友達。
 蟹殺しに、他にもいた多くの大切な友達。

 今では私がつくった幻?
 そう思えてしまう、浦島太郎現象。
 喜劇王、アーサー・フレックさんの記憶みたいに思えますが。


 それでも信じています。
 そのうち、マーニーさんみたいな事をやらかすかもしれません。
 私の場合、隣に世界三大ウサギの一羽を招待。
 あるいは――我が愛しのワガママ・クイーン様の隣に招待される?


 とにかく、今と昔は違うようで違わない。
 だから、時々、夢のように繋がってしまう。

 オーロラに無線機がなくても。
 400メートル先でも世界の裏側でも。
 ブラックホールの中でも。
 愛、関心が過去未来を現在って特異点で繋ぐ。



 記憶ってガラスの靴で、踊れ思い出の今を。

 そのうち、信じ難い夢が今になり。
 信じられない今が思い出せない夢になる。

 ドラゴンを統べるペンを持った、英国王、アーサー・ペンドラゴン。

 敵を作るより、仲間をつくれ。

 『アーサー・ペンドラゴン理論』。
 これを応用すれば。

 違いを作るより、同じを見つけろ。

 英国王室の血、紅茶をたしなむイギリスの方の知能指数は高過ぎます。
 『不思議の国のアリス』といい、『ハウルの動く城』といい、『思い出のマーニー』といい。
 ガイ・リッチー監督にクリストファー・ノーラン監督の映画も。

 ほんの少しばかり。
 思考回路が追いつかないかもしれませんが。
 教え説かれた足枷、欺瞞を外してしまえばITは使いこなせます。

 教訓に物語は自分の一部のように使えないと意味がない。
 自分に関係のない話なら誰も信じないから読まない。
 だから、信じたくなる事を伝える。



 イギリスもアメリカもそれをよく理解しているようです。
 選民思想甚だしい日沈む国では許さぬ事実かもしれませんが。

 ゲンジツなどなく、許されぬ事もない。
 汝、自身を知れ、アンダーソン君。

 全てが報われる日を探せば。
 何れそこに繋がる。
 記憶のない海に面したジワタネホ。
 血の誓いが――浮かぶ時間。




 それでは、また次の機会にお会いしましょう。











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