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身をも滅ぼす“確証バイアス”の力

おはようございます。毎日投稿7日目になりました。

確証バイアスとは

   皆さんは、確証バイアスをご存知ですか?確証バイアスとは、様々な情報が混在するときに無意識に取捨選択し、自分のものと一致する意見ばかりに耳を傾けてしまうことです。
   世界に論争が絶えないのは、大部分がこの確証バイアスによるものではないかと僕は思っています。

蜀の劉備を滅ぼした確証バイアス

    僕の大好きな三国志に最高の例があるのでご紹介します。時は劉備軍が蜀を平定し、更には漢中を押さえ、劉備軍が魏呉蜀の三国で優位に立とうとしていた頃です。

    劉備軍に天下を取らせたくない呉軍と魏軍は互いに呼応して、劉備の義弟・関羽が守る天下の中心“荊州”を蜀から奪取し、関羽はそこで命を落とします。そんな知らせが劉備の耳に入ったとき、劉備は魏軍討伐の準備を進めている最中でした。しかし劉備は、“桃園の誓い”で「同日に死す」と誓った義兄弟の1人・関羽が命を落としたことが許せず、荊州奪取を首謀した呉軍に矛先を向けようとします。
      
   もちろん、「政治に私情を挟む」ことは言語道断であり、誠実な配下(軍師・諸葛亮、武将・趙雲)は「恨むべき敵は漢の朝廷を滅ぼした魏軍だ」と劉備を再三にわたって必死に説得しようとします。しかし劉備は、怒りを隠して「三国で最も劣勢な呉軍を討伐してから魏軍を討伐して中華統一を成す方が合理的ではないか」と配下の参謀や武将に相談します。
    
   ここで相談されたものの中で、劉備に賛同して自分の地位を上げようとする者(李厳など)が「おっしゃるとおりです」と劉備の背中を押し、劉備はそれを聞き入れて呉軍討伐を決意します。

   そうして始まったのが「夷陵の戦い」です。劉備軍は圧倒的な兵力を動員して呉軍の城をことごとく占拠していきますが、最後の最後で呉軍の大都督(総司令官のような役職)の陸遜の計略にはまり、動員した蜀の主兵力が壊滅してしまい、終いには劉備自身がそこでまもなく命を落としてしまいます。

私たちが歴史から学ぶべきこと

   熱くなって話がやや逸れてしまいましたが、言いたいことはこうです。劉備は蜀の平定まで軍師・諸葛亮の進言に背いたことはありませんでした。しかし、劉備は関羽の命を奪われた怒りが収まらず、呉軍討伐をどうしてもと望んでいました。それが目的となった以上、劉備が聞き入れる進言は呉軍討伐をする理由が含まれるものに限られ、結局ここで初めて諸葛亮の進言に背き、結果として自らの命まで落としてしまうことになったんです。

   このように、どれだけ御託や論理を並べても、反対意見の人はそもそも耳を傾けようとしません。そういう人は、まず「それを信じたい理由」が存在し、ただ「それを裏付ける理由」を探しているだけなんです。

   ましてや、様々な情報や意見が蔓延するSNS社会では、根拠の有無に関わらずそういった「それを裏付ける理由」がすぐに見つかります。こんな状態では世界で論争が絶えないのも無理は無いでしょう。

トランプの確証バイアス

   アメリカ元大統領トランプが「アメリカの経済を優先したい」という理由から「温暖化による気候変動を信じない」という立場をとってパリ協定を離脱した、というのは有名な話です。

   確かに気候変動に反対する主張も世界には存在するというのは確かですが、マジョリティは温暖化の影響の主張しています。それでも、「信じたい理由」はそんな大多数の意見を無視させ、少数派の意見を信じこませる力を持っているんです。

ワクチン反対派

   よりタイムリーな話題で言うと「ワクチン反対派」の人にも当てはまるでしょう。僕は「ワクチン反対派」の人を否定はしません。しかし、あくまで事実として、ワクチンを打った方が大きなメリットがあるとされています。そこで打たないことも自由ですが、中にはデメリットに関する情報しか見ていないという人もいると思います。

切り抜きチャンネルの台頭

   最近ひろゆきを初めとする情報系の切り抜きチャンネルがYoutubeで大量発生しているのを目にしますが、僕はこれは効率よく「裏付ける理由」を提供しているからではないかと思っています。それだけ、みんなが「裏付ける理由」を強く求めてるっていうことです。

分断を避けるために

   このように、「信じたい理由」から「裏付ける理由」を探っている人の意見を変えさせるのは容易ではありません。この場合の解決策としては、相手の「信じたい理由」を突き止めることが第一歩になるでしょう。

   しかし、本当に解決すべきなのは、自分がそういった「裏付ける理由」を探している場合です。もちろん、この確証バイアスは無意識なため、自分が情報を取捨選択していることに中々気付きません。まずは自分がそうしていることに気付くことが最も大切です。そして不快さを乗り越え、自分の反対意見にも「その意見を言う人なりの理由がある」と理解して耳を傾けます。これは誰もが出来ることです。

   では、誰もそうしなかったらどうなるでしょうか?賛成の人は賛成意見に耳を傾け、反対の人は反対意見に耳を傾けます。この先に待っているのは明らかに人々の分断です。それを防ぐためには1人でも多くの人が自分の意見に固執しないことが必要なんです。

   もちろん、こういった僕の意見にも反対意見は僕はウェルカムです!

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