muleという奇跡
はっきりいって僕がやってきた音楽とmuleという音楽とはレールが違っていたと思う。でもずっとmuleが好きだった。2024年、muleの首謀者ismさんがmuleのアルバムをストリーム配信してくれた。2005年当時20歳そこそこの自分が聴き狂っていたアルバムを四十路になってまた聴くことができた。フラッシュバックという言葉がアルバム表題にも使われているがまさにその言葉どうりに当時の感情が蘇るのと同時に全く色褪せない楽曲のクオリティ。全員変態。個性の固まりみたいなバンド。複雑やのに聴きやすい。
僕の頭に残っている記憶を頼りにこのノートを書いているので間違っている所も多々あるかもしれませんが少し語らせてください。
2000年代初頭、ismさんが書くブログが好きでよく読んでいましたが当時からセルフプロデュースに長けていました。しっかり自分達の立ち位置を把握しておりこのアルバムを出した時かな?「センチメンタルキラ⭐︎リズム」←間違ってたらごめんなさい。
という言葉をキャッチフレーズに活動していました。この絶妙なダサさも楽曲のクオリティと自分たちのマイノリティをさらに高める要因となり徳島でも唯一無二の異才をはなっていました。そしてストイック。当時ブログでスタジオ練習は最低でも週三で入れ、真剣に活動していく上で拳が飛び交うこともある、物販関連のデザインは気に入らなければコストが嵩んでもコンマ1mm単位で修正すると語っていたように思います。
四国のフェス、モンスターバッシュに出演した四国拠点の徳島バンドはF→C large selection、mule、四星球、POLUだったと思いますが四星球が2008年に初出演した際にはブログで本当に賞賛してくれたのを今でも覚えています。今年のモンバスのほぼベストアクト、フェスに大きな風穴をあけてくれたと書いてくれていました。あんな変幻自在な音楽をしているのに「ジャンルは関係ない、いいものはいい」とい
う柔軟な感性も持っているismさんがブッキングマネージャーをしていたクロウバーには自然と人が集まり、徳島の音楽シーンに欠かせない存在でした。かと思うとお茶目な一面もありバンド仲間の結婚式二次会で複雑怪奇な創作ダンスで周りを笑顔にさせるところも愛せます。
そんなismさん要する個性派集団の集まりをずっと続けるのは無理な話で誤解を恐れずにいうと最高にかっこいいまま散ったバンド。当時のギラギラが強すぎて二度と再結成して欲しくないバンド。(もちろんもう一度見たいですけど)
徳島って不思議な街で偏屈な田舎者魂からストイック感が生まれ、なぜかあの時代四国で唯一関西ローカルのテレビを視聴でき、ジャンプは土曜日に全国でいち早く読める不思議な県でした。そんな中、生まれたmuleをまた聞ける2024年、CDが無くなりつつあるこの時代も捨てたもんじゃないですね。
ぜひ今の若いバンドマン達にこのアルバムを聴いてもらいたい。
p.s余談だが僕の敬愛するHalf-Lifeの有さんもmuleに在籍していたことがあり、muleのリズムパターンとHalf-Lifeのリズムパターンが曲まるごとの単位で酷似している楽曲がある。いつか本人に聴いてみたい笑