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熟練の技術者のありがたさを胸に

伝統工芸や文化などで、熟練技術者の高齢化により、若い世代への継承が難しい時代になってきていると感じる。

時代という言い方はあまり好きではないが、その時に一番多い考え方や共感される考え方がその時代とも言える。一昔前は、技術を身につけるためには、黙って上級者から盗み、何年も血のにじむような努力の積み重ねの上に成り立っていた時代があった。
現代では、詳しいマニュアルや教材があるのが当たり前で、それを見たり読んだりして習得することが学習の本質という雰囲気さえある。確かに曖昧さを排除し、時間短縮する目的としては非常に効率がいいと思える。

しかし、その一方で、熟練者が時代に合わない(あるいは合わせない)という理由で、現場から排除される動きも気になっている。私が熟練者を大切にしようという声を上げたいのではなく、熟練した技術鍛錬の良かった点をもう少し深く世の中に残す方法がないかを考えていきたいと思うのだ。

実際マニュアルを読んで理解しても、それを習得するための経験を積まないと自分のモノにならないと思うのだが、そのために熟練者側も若者へ歩み寄り、共に習得する動きや次世代への新しい学習スキームが浸透させていく方法はないものだろうか。教える方も自分の技術を継承する生きがいを感じ、教えられるほうも知識だけでなく、実技を経験して進められる。これこそ人間が豊かに進化していく方法なのではないだろうか。

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