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【認知科学に基づく経営のススメ①】ルー・タイスの手法が拓く新たな経営の可能性
はじめに
こんちには、株式会社風凜の小澤哲也と申します。
私は経営コンサルティングや人事コンサルティングに携わりながら、多くの企業の成長と組織づくりをサポートしてきました。
その中で一貫して感じるのが、「人の意識が変わると組織が変わる」という真理です。
今回は、アメリカの教育者でありコーチでもあるルー・タイスが提唱した「肯定的な自己宣言(以後、『アファメーション』と呼ぶことにします)」を中心に、どのようにして企業経営に活かせるのかを解説します。
ルー・タイスとは
ルー・タイスは、アメリカで教育分野やスポーツ・ビジネスの世界で活躍し、人間の潜在能力を引き出すさまざまな手法を紹介してきた人物です。
最大の特徴は、「言葉の力で人の意識を変え、それが最終的に行動と結果を変える」という考え方を多くの事例とともに説いていること。これは現代の認知科学にも通じる理論でもあり、学術的な裏付けがあることが強みです。
ルーの書籍『アファメーション』で示される主なポイント
プラスの言葉が人間の脳を再構築する
否定的な言葉を浴びせ続けられれば、自信が削がれて行動も萎縮してしまう。逆にプラスの言葉を継続的に取り入れれば、脳が自己肯定的な方向に働きやすくなり、結果的に行動も前向きになる。現在形・肯定形の宣言
未来の目標であっても、「達成できるかも」というあいまいな表現ではなく、「すでに達成している」という力強い表現を使うことで、潜在意識が行動を後押ししやすくなる。行動と結びつける工夫
いくらプラスの言葉を唱えても、実際の行動が伴わなければ成果に直結しない。本書では、ポジティブな自己発話を日々のタスクや目標設定などと組み合わせる具体的な手法が紹介されている。
なぜ今、この手法が注目されるのか
現在のビジネス環境は、デジタル化やグローバル化によって変化のスピードが一段と増しています。
特にZ世代と呼ばれる若い世代が組織に加わり、多様な価値観が混在する中、従来のトップダウン型の経営だけでは対応しづらくなっています。
そこで求められるのが、エンゲージメントの向上と、一人ひとりの主体性を引き出す仕掛けです。
ルー・タイスの考え方は、それを支える有力なツールになり得るのです。
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私が現場で感じた手法の効果
私自身、組織コーチングの場面でこの考え方を取り入れ、次のような変化を目撃してきました。
若手社員のエンゲージメント向上
特にZ世代の社員は、「自分がどのように組織に貢献できるか」「会社からどう評価されるか」を重視します。プラスの言葉をベースにした目標共有の場を設けることで、「自分の役割は何なのか」を肯定的に捉えられるようになり、モチベーションの向上につながります。上司と部下の関係改善
お互いがプラスの言葉でコミュニケーションを取り合うようになると、否定や批判が減り、心理的安全性が高まります。結果として、新しいアイデアや意見が出やすくなり、組織の活性化を促します。経営者のマインドセット変革
経営トップこそ、自社の未来やビジョンを前向きな言葉で語る必要があります。会社が苦境に立たされたときこそ、ポジティブな表現が社員を鼓舞し、次のステージを目指す活力を生み出すのです。
まとめ
ルー・タイスの書籍には、組織や個人が飛躍するためのヒントが詰まっています。データや理論だけでなく、実践的方法が数多く紹介されているため、すぐに取り入れられるのが魅力です。
特にZ世代の社員が増える時代には、彼らの感性にフィットする「ポジティブな姿勢」が、組織全体のエンゲージメントを高める大きな要因となるでしょう。
次回以降、より具体的な導入ステップや活用事例について詳しく解説していきます。皆さんの組織が、言葉の力によってどのように変革できるか、ぜひ一緒に考えてみましょう。