クラウドシステムのグローバル化【クラウド連結会計こだわり仕様シリーズ】
こんにちは!「マネーフォワード クラウド連結会計(以降“クラウド連結会計”)」のプロダクトマネージャーをしている、HORI です。
こだわり仕様シリーズ第10回
クラウド連結会計のこだわりシリーズの記念すべき第10回目となります。前回はかなり連結マニア向けな「開始仕訳」について、解説していましたが、今回はうって変わって「グローバル化」について書きます。
なお、マネーフォワード クラウド連結会計では 2024年1月24日にグローバル対応の第1弾をリリースしました。
クラウドシステムに限らず、様々な領域でグローバル化が叫ばれている状況ではありますが、「システムのグローバル化」を実際にやろうとすると思うと様々な検討・工夫が必要になりますので、どんな点に気を付けてグローバル化を進めているのか等を解説します。
連結会計におけるグローバル化の必要性
そもそも、連結会計という業務領域は、他の会計領域に比べてグローバル化の必要性が高いです。連結会計は「複数の会社をまとめたグループの単位での財政状態、経営成績を把握する」ために活用されますが、成長企業が会社を増やす理由の大きな要因の一つに「海外進出」があるためです。
ビジネスが成功していくと、その延長線上に「もっと大きな目標に向かうためには国境を超えて活動する」という選択肢が出てきて、海外に会社を持つことになるのです。比較的小規模に進出するときは支店やアライアンスの形態で進めることもあると思いますが、やはり本格進出するときは現地子会社を持つことが必要になります。
なお、進出の仕方にも、新規設立、M&A、合弁会社などのパターンがありますが、この記事ではシステムのグローバル化に着目するので、進出形態の深掘りはしないことにします。
最初の選択 対応言語の範囲
システムのグローバル化の最初の難題です。言語は何語まで対応すべきか?
世界にどれだけ言語があるか、各言語の使用率などの統計を見始めたらキリがありません。こうゆう時はそもそものユーザー像に基づいて考えることにします。
ターゲットユーザー像:海外進出した日系企業の経理。ヒト単位まで解像度を上げると
海外子会社から報告を受ける親会社側のマネージャー
親会社に報告を上げる子会社側の経理責任者
この2人のやり取りが何語で行われるかというと、日本語か英語以外でやることはほとんどないであろうことが想像できます。(現地語ができるレアな日本人がいれば別ですが、その場合、その人は現地ビジネスの現場にアサインされると思います。)
となると、いったん「グローバル対応と言えど、システム表示言語はいったん英語だけ対応すればOK」という判断を下せます。
なお、「システム表示言語」は英語だけでいいのですが、進出先の会社のデータが現地語で表示されてしまう可能性があるので、「データとして取込み可能な言語」は世界中の何語でもOKという配慮は必要になります。特に勘定科目名は何語が来るかわからないという想定が必要となります。(この点、クラウド連結会計は勘定科目が何語で入ってきても連結科目をAIでサジェストする機能を既にリリース済みなので、クリアしていました)
ブラウザの言語設定との関係性
次に、言語をどこで切り替えるのか?という検討事項があります。そもそもブラウザを使って表示するクラウドシステムである以上、「ブラウザの言語設定」がありますので、ブラウザの言語設定に委ねてしまうという切替方針も考えられます。
この辺は実現したい業務のイメージが重要になるので、他のクラウドシステムと同じとは限らないのですが、実は連結会計のグローバル展開では以下のような業務の進め方が一般的です
親会社の担当者が業務を最初にやって、マニュアルを作る
その手順書を子会社に展開して、子会社に操作してもらう
その後はシステムの共通認識を前提に子会社と会話(キャプチャとかも使うと思います)
この業務をスムーズに実現しようと思うと「ブラウザの言語が日本語のユーザーが画面を英語に切り替えることができる」という状態が必要になります。ただ、そのユーザーが「同じブラウザで開いている他のWebページまで英語化したいのか?」を考えると、答えはNOのことが多いです。
このような業務背景を前提にして、クラウド連結会計ではブラウザのデフォルト言語と関係なくシステムの言語を日本語⇔英語で切り替えられることを必須要件としました。ただし、多くのユーザーが「ブラウザの言語設定のままで良い」というのも事実ではあるため、最終的には言語の選択は以下の3つになっています。
1:ブラウザのデフォルト言語
2:日本語
3:英語
※ブラウザのデフォルト言語が日本語以外の場合は英語が表示される仕様です
これにより、大多数の人は言語設定を意識することなく操作ができつつ、あえて切り替えて表示したいユーザーは、その都度言語を切り替えて画面表示ができるという状態が作れるため、連結会計におけるグローバル化対応をスムーズに進めることが可能になります。
言語切替のUI
突然ですが、以下のような言語切替誘導を見た時にどのように感じるでしょうか?
よく見る案内だと思いますし丁寧な案内文に見えますが、実は上記のような言語切替案内は、「言語切替したい人にはそもそも読めない可能性がある」という問題があります。
クラウド連結会計では上述のような問題を意識して、言語を切り替えたいと思った時にどこに言語切替を表示するか、どのように表示しておくかを検討した結果、以下2点の工夫をすることにしました。
現在選択している言語をISOの言語コードで表示する(通貨コードがISOの通貨コード3桁を採用しているので、言語コードは2桁の表記を選択)
ログインユーザーの表示の傍に置く
グローバル化のステップ
連結会計の想定ユーザーを、親会社が日本の会社、子会社が国外の会社であることを前提にすると、言語切替範囲は子会社が情報を登録する画面までに絞ることができます。連結仕訳やマスタについては親会社側で登録する前提であれば、全画面が英語になっている必要はないのです。
そのため、クラウド連結会計ではまずは上記のような「海外進出して海外に子会社がある日系企業」にターゲットをおいてグローバル化の第1弾をリリースしました。
ただ、海外進出が順調に進んでくると、海外の地域統括会社ができ、「海外で連結決算を行いたい」というニーズも発生してきます。また、最近では最初から海外市場をターゲットにすることもありますし、逆に外資の会社が日本でグループ会社展開しつつ、海外の親会社に報告するというようなパターンも存在しています。そういったケースもカバーできるようにすべく、現在は海外で連結決算を行うためのグローバル化機能を開発中です。
大分長くなってしまいましたので、そちらについては別の記事を書こうと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか?
この記事ではグローバル対応に焦点を絞って記載しましたが、「マネーフォワード クラウド連結会計」にはまだまだ魅力的な機能がたくさんあります。
お客様の課題に合わせた豊富な導入支援プラン等もございますので、気になった方は下記のリンクよりお問合せをお願いいたします。
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