除幕式を行うために準備すること:揮毫を依頼する方を探す
こんにちは、てつやです。普段は広報のお仕事をしながら、各地の除幕式のお手伝いをさせていただいております。そんなことから広報目線で除幕式について書いております。今回は、「揮毫(きごう)」について書きたいと思います。
揮毫とは
「揮毫」、聞き慣れない言葉ですよね。「毫」は”筆”を意味し、「揮」は”ふるう”という意味で、2文字を合体させて「毛筆で文字や絵をかくこと」という意味になります。「除幕式」の式典において「揮毫」は、記念碑やモニュメントの題字を著名人に書いていただくことを意味します。
最近の事例ですが、静岡県牧之原市で除幕された「田沼意次候」銅像の除幕式があります。
「田沼意次候」銅像除幕式
(「全国除幕式データベース」より)
田沼意次とは?
簡単に、田沼意次候とはどんな人物だったかおさらいです。
田沼意次候は、江戸時代中期の幕府老中で、遠江相良藩の初代藩主でした。徳川幕府9代将軍家重と10代将軍家治の下、側用人兼老中として幕政を主導し、大胆な経済・金融政策の立案と執行で、幕府財政の健全化を目指しました。しかしながら、賄賂の横行や諸藩との軋轢、浅間山の大噴火、飢饉、江戸の大火事など相次ぐ災害の影響もあって、田沼候は幕政の舵取りにおいて苦戦を強いられ、また「賄賂政治家」という不名誉な風聞が定着してしまいました。
しかしながら、地元は相良藩での評価はすこぶる高く、城下町や街道・港湾のインフラ整備、百姓を擁護する殖産興業施策に取り組むなど、藩政の安定に尽力したと言われています。このことが、相良藩、現在の牧之原市での「田沼再興」をテーマにしたまちづくりや顕彰活動につながっています。
田沼意次候生誕300年
令和元年には、田沼意次候生誕300年を迎え、それを契機に様々な記念行事か開催されました。
動画
「田沼意次侯 生誕300年記念大祭#3」
また、募金活動を開始し、「田沼意次候」銅像製作がスタート。
「田沼意次候」銅像が完成しました
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/site/kanko/39974.html
揮毫は女流書家・吉永益美さんが担当
この際、牧之原市は「田沼意次候」銅像の台座に設置する銘板の揮毫を、地元・県立相良高等学校卒業で、世界で活躍されている女流書家・吉永益美さんに依頼しています。
「女流書家 吉永益美」サイト
http://syoart.web.fc2.com/
吉永益美さんは3歳から書を嗜み、書道を国内外に広めるため、スイスの国連欧州本部やフランス・ルーブル美術館での展示など、これまで世界16カ国以上で作品展示・公演・揮毫に取り組まれています。
令和元年開催の「田沼意次候300年記念大祭」では、幅10メートルの大作をライブパフォーマンスで披露するなどもされています。
何気ない銅像の台座にある銘板の文字ですが、揮毫を地元の若い作家の方に依頼することで、思いや意味合いも深まり、世界観もググッと拡がります。SNSでの世界への拡散も期待できますよね。
世界的な書家が「田沼意次侯銅像」台座の銘板を揮毫
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/site/kanko/36961.html
ちなみに、牧之原市では、意次候のイメージ調査を行っております。
牧之原市「第2回田沼意次イメージ調査」
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/site/kanko/41853.html
まだまだ「賄賂政治家」のイメージは払拭できていないようですが、徐々に認知は向上しているようです。牧之原市では将来の「大河ドラマ」誘致も視野に入れて活動されているようです。
現在放送中の「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一候に負けずとも劣らない、革新的な政治手腕を発揮した若き田沼意次候の活躍をテレビで視聴してみたいと感じた除幕式でした。