ジュニア年代におけるシステム論と育成の関係性


年末も近づいてきましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
コロナの関係もあり、思うように進まないシーズンだったと思います(かくいう自分もそうです)
さて、今回のテーマはシステム論とジュニア年代の育成の関係性及びその是非について述べようと思います。
最後まで読んでいただけたら幸いです。


結論



今回は率直に結論から入ろうと思います(自分の考えが伝わりやすいと思いますので)

ジュニア年代のサッカーは8人制ですが、例えば2-4-1ではこういう風に攻めるとか3-3-1ではこういう風に闘うというのがシステム論だと思っています。
システム論は指導者として持っていくことは大切だと思いますが、ジュニア年代ではそれをベースにサッカーを教えていくことは間違っていると思っています。

その考えに至った経緯等を以下に記していきます。お付き合いお願いしますm(_ _)m


システム論って何??


上記に書いたように、システム論とは、2-4-1ではこういう風に攻めるとか3-3-1ではこういう風に闘うということだと考えています。
つまり、各システムの長所・短所を理解し、それに付属する各ポジションの役割を整理し、理論として構築することだと思っています。また、恐らく指導者の皆さんには好きなシステムもあるでしょう。もちろん自分もあります。(2-4-1が1番好きです笑)

当然、試合では相手チームとのシステムのかみ合いやそれを考慮してミスマッチを活かしたり、あるいは補ったり、様々なことを考えると思います。結論で述べたことと矛盾するかもしれませんが、自分もTRM・公式戦、どのような試合でもそれらは必ず分析します。

しかし、それらを踏まえた上でも自分はシステム論をベースに選手を育成していくことはありません。まして、1つのシステムに固執して、あるいは相手のシステムや戦い方に合わせてシステムを変えることはありません
現に今シーズンはU10を担当しましたが、シーズンが始まった6月から12月現在まで使ったシステムを時系列順に並べると、2-4-1、3-2-2、3-3-1、2-3-2、2-4-1の順でシステムを変えています。しかし、試合の途中で相手や試合状況に合わせて、システムを変えることはありませんでした。あまりにも大きい何か(全国出場とか)がかかっている試合なら変える可能性もあるかもしれませんが・・・笑


システム論を踏まえて試合に臨まない理由


では、なぜ自分がシステム論を語る、使用して闘うことをしないのか
理由は以下の通りです。


① 同じシステムでもチームによって使い方は変わる
② プレーイングフィロソフィーもとい、プレーモデルとの兼ね合いがある
③ システムがあって選手を選ぶのではなく、選手があってシステムを選ぶべき
④ さらに選手ではなく選手の育成を考えてシステムを選ぶべき

1つずつ考え方を述べていきましょう。


① 同じシステムでもチームによって使い方は変わる

これは想像しやすいと思います。
例えばマンチェスターシティとリバプールは同じ4-3-3を使用してますが戦い方はかなり違いがありますよね。
ここでその2チームの戦術をずらずらと語ったら趣旨と離れるのでやめておきますが笑


② プレーイングフィロソフィーもとい、プレーモデルとの兼ね合いがある

基本的に①と似ていますね。
そのチームが掲げるフィロソフィーや哲学によってシステムの運用方法が変わっていくと思います。(システムをフィロソフィーやプレーモデルに組み込むのは間違ってると思いますが)


③ システムがあって選手を選ぶのではなく、選手があってシステムを選ぶべき

1番最初に述べたように各々のシステムには特徴や長所・短所があります。
8人制で例えると、241と331では前者はサイドを担当する選手が1人しかおらず、後者はSHとSBで2人います。他にはCHに関しては前者は2人いるのに対して、後者は1人しかいません。
つまり、ゲームを作る選手が多いチームでは241を起用した方がうまくいく可能性が高いと思いますし、突破力や上下運動の豊富な選手が多いチームではもしかしたら331の方が上手くいくかもしれません。

このようにシステムの特徴や役割に選手を当てはめるのではなく、選手の特徴などを考慮して、システムを考える方がチームの運用がしやすいと考えています。

④ さらに選手ではなく選手の育成を考えてシステムを選ぶべき

上記の①〜③まではある程度想像しやすいと思いますが、自分の育成に関するシステムの使用方法の考え方はこの④が1番大きいと思います。

④は一体どういう意味か?

今シーズンの担当したU10のある選手を例に説明します。

シーズン当初のその選手の特徴は簡単にいうと、
・感覚的には賢いが、自分のプレーイメージを言葉にできていない。(ポジショニングはいいが、その理由を説明できない。守備の理解力の低さも目立つ)
・ダブルタッチなど、インサイドを使ったプレーは上手いが、アウトサイドなどでボールを運ぶことができない(股関節の硬さと少しガニ股気味にボールを運ぶことが原因?)
・賢いが、試合中にコミュニケーションをとる事ができない(上の理由+性格面)
・運動量は豊富ではないが、良いタイミングでボール保持者と関係性を作れる(オーバーラップなど)

ざっくりこんな感じの評価でした。
そこで、長所を伸ばしつつ課題を克服するために、この選手を起用したポジションは、時系列に並べると、CB→SB→SH・CHという順番で起用しました。

まずはCBで守備や攻撃のサッカーの原理原則を覚え、加えて自分の賢さに気づいてもらう+コミュニケーション能力の向上と運びながらプレーできるようになってもらうことを課題におきました。
さらにSBでそれを継続しつつ、上下運動やスプリントの大切さを学ばせ、SHではドリブルで仕掛けて相手ゴール前に侵入する意識、CHでは持ち合わせた賢さと今まで培ってきた、プレーの理解力を背景に良いサポートを繰り返すこと、ボールを扱う技術の向上の促しを図りました。

詳細を語るとそれだけで何回かに分けてnoteに投稿しなければいけませんので簡潔にまとめましたが笑、このように選手の育成面を踏まえてシステムやポジションを選定しています。

つまり、選手の現時点での能力ではなく、その選手の目標や将来等を逆算した上で、システムやポジションを選定していくことが大切だと考えています。(IDPと並行して運用するのが良さそうです)

まとめ


これはあくまでも今の自分の考えです。

今後も指導者を続けていく限り、この考えが変わることは必ずあると思います。

もちろんこの考えに至ったのも、ある試合を経てです。

面白いのはこの考えに至る前の自分はある選手のポジションを2つくらいに固定していました。時々全く違うポジションにすることはありましたが、理由は深く考えていませんでした。
しかし、今のチームは11人(途中加入2人)いますが、そのうちの半分にあたる5人はGKも含めて全てのポジションを経験しています。残る6人も経験していないのは1つのポジションだけです(例に出した選手はFWをまだ経験していません)。また、そこのポジションで起用することに必ず理由があることが1番の違いでしょう。

ジュニア年代で意識しなければいけないのは、その選手の現在よりも未来だと考えています。
システムも選手の現時点での能力や選手の未来を踏まえて考えて、使ってみるのも面白いのではないでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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