漢検一級合格体験記byてつを

①はじめに


はじめまして!令和四年度第三回(R4-3)日本漢字能力検定一級に合格した「てつを」という者です。@kanji_dai_maouというtwitterアカウントでよく漢字について呟いています。大学二年生(この春から三年生)の男です。

難関と評される漢検一級に初合格したため、その経緯を語ったり、今後初合格を果たしたいと思っている方にアドバイスをしたりしたいと思い、そのためだけにこのnoteを作成しました。

Twitter等では、ぼくよりも遥か上の実力を持つ人や何十回も合格をしている人が漢検合格に役立つ情報を発信しているので、僕がアドバイスをしても説得力が薄いかもしれません。

しかし、年々変遷する漢検に輓近の回で初合格した者ということで、少しはためになることが言えるのではないかなと思っています。

以下の構成で書いていきます。
①はじめに
②漢検一級は、想像の何倍も修羅の道
③漢検一級不合格体験記
④漢検一級合格体験記
⑤漢検一級合格に向けてのアドバイス(総論)
⑥漢検一級合格に向けてのアドバイス(各論)
⑦最後に
⑧自分語り

②漢検一級は、想像の何倍も修羅の道

漢検一級は、今まで僕が受けてきた試験の中で最も難しいものであったと言っても過言ではありません。

現に、大学受験では一回の失敗で済んだのに、漢検一級には三回も落ちてしまいました笑。

「それは単純にあなたの記憶力が悪いからでは?」そう思われた方もいらっしゃるでしょう。

しかし僕は、中学三年生の時点で漢検準一級に一発で合格しています。

漢検準一級とは、常用漢字から外れたレベルの高い問題ばかりが出題される階級で、難化した回だと合格率が5%ほどにまでなる難関です。実生活でつかうと、周りのほとんどの人が理解してくれないような語彙も多分に含まれています。

その漢検準一級に一発で受かった人が三回も落ちた試験だと思っていただければ分かりやすいかと思います。

ちなみに書店に行くと稀に漢検一級の問題集が置いてありますが、それだけではどんな天才でも決して受かりません

あれはスーパーマリオでいう1面程度のもの、野球でいうキャッチボール程度のもの、数学でいう二次関数程度のものでしかありません。

何故ここまでしつこく強調するかというと、僕自身がその現実を分かっていなかったからです。。。

③漢検一級不合格体験記

先述した通り、僕は三度も漢検一級に落ちています。

三度も落ちてしまった原因を自分なりに分析した結果四度目で合格することができたのだと思うので、不合格だった理由をここで伝えることが合格の一助になると思っています。

まず戦歴を書いていきます。

R3-2 122点→R3-3 受験せず→R4-1 141点→R4-2 153点→R4-3 合格 174点

Ⅰ R3-2(122点、不合格)

漢検一級は200点中160点で合格ですから、一回目の受検時は全く歯が立たないほど実力不足でした。(難化回だったというのもありますが)

しかし当時の僕は、受かる可能性も20%くらいはあると思っていたのです。

なぜそのような盛大な勘違いをしてしまったのか。それは、過去問や模試の難易度と本番の難易度の乖離に気付いていなかったからです。

R3-2本番の前日にとある模試を解いて153点だったため、運が良ければ受かるのではないかと期待しました。

しかし、過去問や模試での点数と本番での点数は基本的に等価ではないということを当時の僕は知りませんでした。

まず、漢検一級は近年かなりの難化傾向にあります。

そのため、過去問で点数が良くても最近の問題で良い点数が取れるとは限りません。また、漢検一級対策において過去問はとても重要であり、市販の参考書に載っている問題やリピーターの方が基礎問題として纏めてくださっている問題は多くが過去問由来です。

ですから、少し勉強したくらいでも古めの過去問なら点数が取れてしまうわけです。また、かなり昔に作られた模試は今の本試験よりはかなり難易度が低いため、実力不足でも点が取れてしまいます。

今の自分の正確な実力を知りたいのであれば、著しく難化したH29年度以降の問題を解いてみることをおすすめします。

参考までに、この時期までに勉強した内容を箇条書きしておきます。
・日本漢字能力検定公式の問題集「漢検分野別精選演習1級」全て
・漢検一級配当の四字熟語全て
・国字全て
・「漢検一級模擬試験倉庫」様(以下、「倉庫さん」と呼びます。)の模試約10回
・過去問演習数回分
・成美堂出版「本試験型漢字検定試験問題集1級」全て

最初にすべきことを先駆者様に聞いてから勉強を開始したので、初学者がやる内容としては正しかったと思います。

ただしこれはあくまで初級の段階であり、合格には全く勉強量が足りていませんでした。。。

Ⅱ R4-1(141点、不合格)

このころは大学で大変な実習が始まった時期だったのもあり、正直あまり進歩しませんでした。R3-2が難化回だったため、易化した分点数が上がったというくらいです。

ただ、二回くらいやれば受かるだろ笑!くらいに思っていた甘い心はここで改められたと思います。

Ⅲ R4-2(153点、不合格)

この時期は大学があまり忙しくない時期だったため、「今回こそ決める!三度目の正直を果たすぞ!」と意気込みかなり勉強しましたが、努力むなしく惜敗してしまいました。

実際の結果は153点でしたが、自己採点では157点だったため、「あとたった3点取れていれば!!!」と本当に悔しい思いをしました。

漢検一級の恐ろしい所が、160点にギリギリ届かない所で落ちてしまう人がかなりいるということです。

やり続けているとわかるのですが、8割というのは届きそうで届かない絶妙なラインなのです。

扨、こうは言いますが実際のところ敗因はただの勉強不足でした。

しかし今までよりも更に本気を出して勉強していたつもりだったので、これでもまだ勉強不足なのかと愕然としました。

前回からの点数の上がり幅を見ると、あまり勉強しなかったかのではないかと思われることでしょう。

しかし、所謂「140点の壁」を突破しても、そこから160点まで上げるのはより一層難しいのです!

努力に正比例して点が伸びるのではなく、勉強が進むにつれy=f(x)のf'(x)がどんどん小さくなっていきます。

僕自身も、160点に漸近はしても、超すことなんて一生無いんじゃないかとさえ思いました。

このころになると模試では160点を下回ることが滅多になかっただけに、ショックは大きかったです。

R3-2からR4-2までの間に勉強した内容を箇条書きします。
・倉庫さんの模試全て
・倉庫さんの大見出し語表(常用大見出し語表含む)
・「漢検四字熟語辞典」全て
・「漢字逞筆」様(以下、「逞筆さん」と呼びます。)対義語・類義語問題全て
・逞筆さん故事成語・ことわざ問題レベル3まで
・逞筆さん熟字訓レベル1まで(過去に出た熟字訓全て)
・逞筆さんの模試全て
・H29~最新回までの過去問

他には自分で音読みのまとめ表を作るなど色々としていました。

反省点としては,まず量が足りないということ以外に、あまり優先順位の高くない二級配当以下の四字熟語に多くの時間を費やしてしまったことでしょうか。

やっていて楽しかったですが、楽しいだけでは受かりませんからね。

また、記憶力には自信がある方なのですが、これだけ覚える内容が多いと流石に大量に忘れてしまいます。復習が足りていませんでした。

④漢検一級合格体験記(174点)

以上のような道筋を経て、四度目の挑戦を迎えました。

三度目の不合格の直後、その悔しさを忘れないうちに猛烈に勉強を始めました。あまりに悔しかったので、落ちたその日に静かに泣きながら試験問題の復習をしたのを覚えています。

試験本番の時期は大学の試験期間とちょうど重なってしまい新しい語彙を覚える余裕はありませんでしたが、逆にそのおかげで復習中心の勉強になったことが功を奏したのかもしれません。

このころの模試では180点台が珍しくないくらいになっていましたが、それでも本試験でどれくらいの点数が取れるのかは未知数だったため、不安でいっぱいでした。

試験を終えて帰宅し、倉庫さんの解答速報を見て自己採点をし、合格点を超えたと分かった時にはたとしえなく嬉しい気持ちに包まれました。

追記 正式な検定通知結果が来たので掲載します。

R4-2からR4-3に新たに勉強した内容は以下の通りです。
・逞筆さん音読みレベル3まで
・逞筆さん訓読み全て
・逞筆さん熟語・一字訓読み全て
・逞筆さん故事成語・ことわざ全て
・新明解故事ことわざ辞典に載っている、本試験で出そうなもの全て
・倉庫さんランダム語選択
・倉庫さんランダム対義語・類義語
・深度さん模試数回

逞筆さんの問題にはレベルが付いていて、「初学者必修」「合格志望者向け」「高得点志望者向け」とありますが、「合格志望者向け」まで全部やれば確かに受かるんだなと実感しました。

また、復習を効率的に進めるために単語帳アプリを使い始めたのが効果的だったと思います。

僕が使った「WordHolic」というアプリは忘却曲線を加味して復習をさせてくれるものだったため、その機能がありがたかったです。間違った問題は必ずそれに登録していました。

⑤漢検一級合格に向けてのアドバイス(総論)

僕が思う漢検一級に合格するための心がけをいくつかご紹介いたします。

最も大切なのは、漢字を楽しむ気持ちを忘れないことです。

漢検一級はほぼ趣味の世界のものですから、挑戦する方で漢字を面白いと思わない人は殆どいないでしょう。(自分にとにかく試練を与えたいというのが動機の人もいるかもしれませんね。)

しかし一級は強敵ですから、楽しさよりも苦しさが勝つことも多々あると思います。

ですがそこで楽しむということを忘れてしまうと、あれだけの語彙の量を記憶にとどめておくことは出来なくなってしまいます。

ですから苦戦をしているのであれば、合格ばかりに囚われず長い目で見て自分のペースでやってみるのもいいのではないかと思います。

勿論、新たに覚えるスピードより忘れるスピードの方が速いと点数が上がることはないので難しいところですが...

二つ目は、事前リサーチをしっかりしておくことです。

これはつまり、どのような問題集やサイトでどのようにどれだけ勉強すればいいのかを早い段階で知るということです。

そのためにはtwitterなどネットを活用して先駆者の意見に耳を傾ける必要があります。(初合格したばかりの僕の文を読んでくださっている方ならこの辺は心配要りませんね。)あとは、リアルで会って勉強会を開いたりしている方々もいらっしゃるので、そこで情報を得るのも有益ですね。

ぼくもある程度の情報収集をしてから臨んだつもりではいたのですが、少し足りなかったと思います。

情報量が少ない状態で勉強を始めるとどうなるかというと、

①合格に必要な勉強量が分からず、必然的に勉強量が足らなくなる。
②合格には直接つながりにくい遠回りの勉強になる。
③試験の度に「これでもまだまだ勉強が足りないのか...」とショックを受け心が折れる。

といったことが起こってしまいます。僕もそれに近い経験をしました。

孤陋寡聞になってはいけません。積極的に人の話を聞きましょう。鑿窓啓牖しましょう。

探してみれば、twitterやブログやYouTubeで合格に役立つ情報を発信してくださっている方々が沢山いらっしゃいます。是非多くの方の意見を参考にしてください。

ネット上で勉強仲間を作ることもモチベーション維持に有効です。

三つ目は、諦めずに受け続けることです。

何度も落ちてしまうと「自分なんて、元々漢検一級に受かる才能を持ち合わせていないんだ!」と自棄になりやめたくなってしまうかもしれません。

しかし、経験を重ねるうちに漢検の傾向や自分の弱点がだんだんと分かってきて勉強の方針が固まってきますし、易化回に当たればそこで思いがけず合格するかもしれません。

⑥漢検一級合格に向けてのアドバイス(各論)

漢検一級には大問(一)から(九)までありますが、そのそれぞれについて僕からできるアドバイスをしたいと思います。

(一)読み

音読み
(一)の前半20問は音読みで読む問題です。例えば「愨」が出たら訓読みで「まこと」と読んでは不正解となり、「カク」と答えなくてはなりません。

表す意味によって音読みが変わる漢字があったり(「悁」など)熟語によって音読みが異なる漢字があったり字形からは音読みが推測できない漢字があったりとなかなか面白いです。

基礎的な問題集や一級配当の四字熟語を覚えるなどして一級漢字の音読みにある程度詳しくなってきたら、逞筆さんの音読み問題のレベル3くらいまでを周回することをお勧めします。

極論、漢検配当内のほぼ全ての漢字の音読みを覚えてしまえばどうにかなる分野なのでそこまで難しくなりようがなく、比較的点数が安定します。

訓読み
(一)の後半10問は訓読みで読む問題です。

漢検一級レベルになると似た意味を持つ漢字を多く勉強するので、多数の漢字に同一の訓読みが振られていることがあります。

それゆえ個人的に忘れやすい分野で、復習が大切だと思います。問題文から類推してなんとなくで正解してしまうこともありますが、近年では問題文そのものが難しく、類推が不可能な問題が増えているように感じます。問題文で古語が使われていて、送り仮名からは読み方が推測しにくいパターンが多いです。

読み問題は一問一点であるためさほど重要でないように思われるかもしれませんが、漢検一級ではその一点がかなり重いです。

決して手を抜かず、逞筆さんの訓読み問題を周回しましょう。

(二)書き

漢検一級の語彙の中では簡単めの語彙を書かせる大問です。

大見出し語からの出題が多いため、倉庫さんの大見出し語表が役に立ちます。

倉庫さんの表に載っていなかったとしても(熟字訓以外の)大見出し語は書けて当然なくらいでないといけないので、漢検漢字辞典を引いていて未学習の大見出し語を見つけたら必ず覚えましょう。(大見出し語は他の大問においてもかなり重要です。)

また、熟語以外にも訓読みの語を書かせる問題があり、熟語ばかりやっていると足元をすくわれます。

倉庫さんのページに訓読み書き取りの練習用ページがありますので、それで練習することをお勧めします。

(三)語選択

10点分だけですが、難問揃いの大問です。

大見出し語以外からの出題も多く、近年のものは初学者には殆ど点数が取れないと思います。

ですから最初のうちはここで点が取れなくてもあまり気にしなくていいと思います。

ある程度実力がついてきたら、倉庫さんのランダム語選択で練習することをお勧めします。

(四)四字熟語

漢検一級初学者が真っ先に手を付けるべき分野です。他の多くの方もそう言っておられました。

漢検四字熟語辞典を購入し、一級配当のもの900個弱をとりあえず覚えてください。すべてはそこからです。

なぜなら、四字熟語の30点のうち24~26点くらいはこの一級配当の四字熟語から出るからです。

四字熟語が最も手っ取り早く八割に到達できる分野なのです。

この段階で一級配当の漢字になじむことができるというメリットも大きいです。

四字熟語の意味を問われる問題もあるため、それぞれの漢字の意味にも詳しくなれます。

準一級以下配当のものは優先順位低めです。準一級配当以下の四字熟語というと特に対策しなくてもできるのでは?と思うかもしれませんが、使っている字が簡単なだけで全く見た事がない四字熟語が出題されるため結局難しいです。五級配当の四字熟語でも知らなかったものはゴロゴロありました。(当然そんなものは漢検五級には出ません。)

ですから、一級配当の四字熟語よりも準一級以下配当のものの方が難問という逆転現象が起こっています。

(五)熟字訓

所謂当て字です。クイズ番組などでよく出題される当て字ですが、漢検一級に合格するにあたってはあまり重要なファクターではありません

なぜなら、配点が10点分しかないことと、過去に出題された500個程度を覚えれば半分くらいは出来てしまうからです。(R4-2では8割、R4-3では6割ほどが過去問からの出題でした。)

これから難化すればそうはいかないかも知れませんが、今の段階では、過去問さえできていれば合格の妨げにはなりにくいと思います

それに、難しいものは本当に難しいため、初学者と上級者で点差が出にくい分野ですから、深堀りする必要性は薄いです。

(六)熟語・一字訓読み

対策としては基本的に(一)とは変わりませんが、意味によって音読みが変わる漢字がここで出ることが多々あるので、漢字の意味を意識して勉強しましょう。とりあえず逞筆さんの熟語・一字訓読みは全部やっておくべきだと思います。

(七)対義語・類義語

コンスタントに毎回難易度が高い分野です。

対義語・類義語の分野だからこそ出題されるような語彙もあり、大見出し語表だけではカバーしきれない印象です。逞筆さんの対義語・類義語もできるのが当たり前くらいに思うべきだと思います。

そこまで達した上で、倉庫さんのランダム対義語・類義語でトレーニングすべきだと思いました。

また、R4-3の出題では過去問からの出題が目立ったため、やはり過去問は大切です。

この分野で点がちゃんと取れるかどうかが明暗を分けると思います。

(八)故事成語・ことわざ

R4-2で大幅に難化して少し雲行きの怪しい分野ですが、個人的に四字熟語と同じくらい完成度を高められる分野だと思っています。

というのも定型句を覚えれば解ける問題なので、一度覚えたら他の分野より忘れにくいと思うからです。

僕はR4-2での難化(4割しかできませんでした)を受けて逞筆さんの故事成語・ことわざ全てと新明解故事ことわざ辞典(リピーターの方々にオススメされました)の出題されそうなもの全てを一通り覚えたところ、あらゆる模試で9割10割が当たり前になり、一転して得点源になりました。

また、他分野で出題される難問も、実は故事成語・ことわざで出てくる言い回しであることが屡々(しばしば)あります。(例えば、R4-3の(二)で出た「紅炉上一点の雪」は故事成語・ことわざで出てきた語彙です。)

ただし、故事成語・ことわざの難易度の序列をつけるのは難しく本試験でもどのような問題が出るのかが予測不可能なところがあるので、突っ切るほどの勉強をしないと安定はしない分野です。

(九)文章題

一番安定しない分野です。R4-3の文章題は近年まれに見る簡単さでしたが、H29年度などの問題は鬼の所業でした。

この分野だけを選択的に対策するのは難しいですが、模試を解く際は決してこの分野で手を抜かないでください。

なぜなら、文をしっかりと読み込めば類推で解ける問題も多いからです。というか、類推前提で作っているような問題も見受けられます。

ここでの読解をする時間も考えると、60分という試験時間は思ったよりも短いです。

模試の度に練習をして、他分野をしっかりと勉強していれば、この分野の点も着実に伸びてくると思います。

⑦まとめ

ここまで諄諄(くどくど)と書き連ねてきましたが、結局その道の難しさはその道を進み続けた人にしか分かりません。

それに実生活ではあまり出番のない知識ですし(使ったらウザがられますし)周りでは挑戦する人が滅多にいないので理解を得ることも難しいと思います。

ですから合格に至るまでモチベーションを維持するのはかなり大変です。実生活で他にやらなくてはいけないことも沢山ありますし。

そういう時はネット上で勉強仲間を見つけて悩みを相談してみると良いと思います。

漢検界隈には理知的で優しい人が多いので、きっと真摯に話を聞いてくれると思います。SNS社会の利点を、大いに活かしましょう

⑧自分語り

ここから先は合格に役立つ情報ゼロの自分語りしかしないので、本当に暇な人だけ読んでください。

漢検一級を持っていても実生活で得をすることはさして無いのに、医学部での勉強に時間を割く方が将来的に有益なのになぜそこまで頑張るのかと第三者は不思議に思うでしょう。

動機はただ純粋に、楽しいから!!!漢字が好きだから!!!...と言えたらキレイですが、実際はそれだけではありません。

実際の一番の動機は、「意地」です。意地50%、純粋な興味45%、承認欲求5%くらいという内訳です。

もちろん漢字は好きですし楽しいです。しかしそれは、たまに見かける面白い地名漢字に強い興味を惹かれるとか字のフォルムが好きだということが主であり、試験に向けて必死で机に向かって勉強をするのが好きなわけではありません。(勿論勉強中楽しいと思う瞬間はたくさんありますが。)

しかしそれでも漢検一級合格に向けて頑張ったのは、「意地」のためです。ぼくは小学三年生のころに、いずれは漢検一級まで制覇することを決意しました。それを達成できなくては自分で自分を許せなかったのです。

ぼくは幼少のころから知識人に強い憧れを持っていました。悪と戦う正義のヒーローよりも歌って踊れるイケメンなアイドルよりも、見た目がぱっとしなかろうが難解な問題をいともたやすく答えてしまうクイズプレイヤーを誰よりもかっこいいと思っていました。

自分も頭の良い人になりたいと思っていた矢先に出会ったのが「漢検のひみつ」という本でした。その本に影響を受けて、先ほどのような決意をしたのです。また、クイズ番組で頻繁に見たロザンの宇治原さんが漢検一級を持っていないことを知り、宇治原さんを超えたいと思ったのも動機です。

最初の漢検受検は、小3の3月の、漢検七級のCBT受検でした。CBT受検ではタイピングができなくてはならなかったので、ローマ字を覚えるところからのスタートでした。我ながらよくそんなことやれたなと思います。

その後は順調に級を上げていき、中学三年生には準一級を取得しました。(当時の準一級は今より簡単だったことに加えてぼくが受けたH28-1は易化回だったため、ギリギリの161点で一発合格できました。)級を進めるごとに同級生や先生から褒められたのが嬉しかったです。

高校に上がったら一級を取りたいだなんて思っていましたが、進学校だったため勉強が忙しく、それに部活でも活発に活動したため漢検にはちっとも手が回せませんでした。(特に物理が壊滅的に出来なくて苦労しました💦)その上浪人をしてしまったため、もちろんその期間もそれどころではありませんでした。

一年の浪人で無事に大学に合格し、満を持して漢検の勉強に本腰を入れられるようになりました。かつての自分が目指したかっこいい大人像に近づけるように、今の自分を昔の自分に見せても恥ずかしくないように、必死に努力しました。

と、このように漢検一級を追い求めた期間が長かっただけに意地が強かったわけです。

このように100%純粋な漢字への興味だけで受けたというわけではないのですが、ぼくと同じように「意地」で挑戦する方も実は多いのではないでしょうか?ぼくはそれも良いと思います。逆に「意地」で挑戦して合格する方が、合格時の達成感は大きいと思いますしね。

あと、誰のためでもなく完全に自己満足で勉強をすると、自分の人生を生きている感じがして気分がよかったです。

でも自己満足はこれくらいにして、これからはもっと視野を広げていかなくてはならないと自覚しています。医学生として、勉強ができるだけではてんでダメですからね。ですが、これから先も漢検一級エンジョイ勢として受け続けられたらいいなと思っています。


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