せんせー、発作が起きました!

夜間救急で当直をしていると、よくある出来事の一つが、発作が起きてパニックになった飼い主さんからの電話です。

A「今は止まっているのですが、発作が起きてどうしたらいいでしょうか」
私「発作はどんな様子でしたか」
A「全身が突っ張る様子でした。すごく苦しそうで、ビックリしちゃって、抱っこして撫ぜていたら、排泄してしまって、ベロも出てしまって、呼びかけながら撫ぜていたら、だんだん落ち着いてて。動物病院に電話したらなかなか繋がらなくて、ホームページで調べていくつか電話してようやく繋がったのが今です。普段、お世話になっていないんですが突然電話してすいません」

A「これから病院に行ったほうが良いですか?」

動物の診療は、直接診ないといろいろ言えないので、基本的には診療をうながしますが、その時に考えている事を書いていきますので、興味ありましたら読み進めてください、

①発作止まっている様子がなければ直ちに受け入れ体制整える

発作は色々な原因でおきます。心臓が原因であれば、いわゆる立ちくらみの様な意識障害を起こします。心臓が悪い子が、興奮した際におきやすい為、お家で安静にしている夜間にはあまりありません。痙攣発作は、通常は、数秒から数分、脳の異常興奮が引き金となり筋肉がピクピク痙攣します。一部分であったり、全身性であったり範囲は様々です。一過性に止まることがほとんどなのですが、稀に止まらない痙攣発作(重積発作)がおきます。発作が起きている間は、いわば、全速力で走り続けているのと同じ状態になるので、長ければ長いほど、酸素消費量があがり、低酸素状態に陥ります。これにより、筋肉、肝臓、脳やその他臓器に致死的な障害を起こす事があります。

痙攣発作の原因は
「低血糖 肝不全 腎不全 糖尿病 中毒 脳炎 脳梗塞 脳腫瘍 水頭症など」検査をしても大きな異常がない、けれど発作が起きる時は、てんかん発作と診断されます。
つまり、電話で発作→原因は様々→診ないとわからないのですが、緊急性の判断はしています。

①発作が止まっているか

②発作が複数回あったか

③意識レベルの確認 いつもと比べての変化

④発作前の元気食欲の有無

 発作が止まっていなければ、即病院に向かいましょう。注射でまずは発作を止める必要があります。止まらなければ麻酔をかけてでも止めないと命に関わります。
(とはいえ、いきなり病院に行ってもやっていなかったり受け入れできないかもしれないので、移動しながらでも連絡とった方がベター。緊急だとしても、急に押しかけると怒られたりすることもあります、、、)

②止まっているなら次の一手。常備薬持っていたら投与できる。 

一度発作が起きると、群れをなして発作が起こる群発発作に移行する可能性が高まります。群発発作から、止まらない発作(重積発作)になったら命に関わります。できることなら一手打っておきたい。
「過去に発作からの間隔は? 常備薬で投薬できる物はありますか?」
処方されているとすると、内服薬としてイーケプラ、エクセグラン、坐剤としてジアゼパムが最近の選択薬。坐剤は効くまでに時間がかかるので、あるなら早めに使っておきたい。現在の発作を止める効果は薄くても、次回の発作が起こりにくくなると考えます。内服できる状況ならば抗てんかん薬を追加投与しておきたい。

③かかりつけの先生の治療方針は?引き継ぎはどうしようか。

症状が初めてであれば、やったことと方針を報告書として渡せば済むのですが、治療中の場合が悩ましい。発作は除外診断なので、しっかりと診断つけるならMRIや外注の血液検査など一通りやっていくのですが、所々の都合上、治療優先である場合があります。新しく薬を増やしたらどうか、薬の変更はどうか、MRIなど特殊検査を勧めていいものかどうか。会話の中で、飼い主さんと主治医の信頼関係度合いを探りながら話を進めていきます。治療は当然ですが、スムーズに引き継ぐための着地点が大切です。サービス業なので。

まとめ

発作が起きたら病院に行き、検査をして、今後の対応まで話し合って、緊急薬は貰っておき、夜間対応病院は前もってさがしておく。家族間でその話を共有しておく。 避難訓練みたいな内容ですが、大切です、かつ、夜間救急対応する人にとっては助かります。

加筆は後日考えるとして、今回はこの辺で終わります。ありがとうございました。







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