お腹こわしました〜どうしよう。(犬編)
生き物ですから体調に波があるのは当然です。犬の場合、雑食動物とは言え、食べ慣れないものをいきなり食べるとお腹をこわす事があります。日常生活で、お腹を下す場合、食事の変化、感染症が比較的多い原因です。いざ、動物病院に「お腹こわしました〜」と来院された場合、獣医師的に何を考え、治療に入って行くかを書いておきます。
「お腹こわしました」と来院した場合、まず確認するのが、元気があるかどうか。たかが下痢、されど下痢。原因は色々なのですが全身状態に影響を及ぼすほどひどい症状か、そうでないかを見極めます。普段の性格がわかると一つの目安になります。吠えたり怒ったりする子がおとなしい、おとなしい子がそわそわしているなど変化がある場合は、重度な脱水や発熱、意識障害を疑います。緊急性が高い可能性があるので、静脈点滴など治療を開始しながら検査に進む場合もあります。
次に、お腹を触って繰り返し痛がるかどうか。一回触って痛がるのは、嫌がっているだけかもしれないので、ゆっくり優しく触診し、再現性のある痛みがあるかを確認します。痛みがある場合は、腹膜炎を起こす可能性のある病気(膵炎、胃腸穿孔、破裂系など)や消化管閉塞を起こす疾患(異物誤食、腸重積、捻転系、腫瘍性疾患など)を疑い検査を進めていきます。ここまでの症状がある場合はほとんどのケースで入院、さらには緊急手術を必要とします。可能な限りスムーズに治療に進んで行くために、一般的な診察の流れ(問診→説明→検査→説明→治療→説明、、、)を加速しながら、時には、バタバタと検査を進めて行く様子を一緒にする事で緊急性が高い実感を持っていただいたり、時には「すぐに治療しないと危険なので始めますよ」の一言で同意をいただきザザーっと進める事もあります。かかりつけでの対応は比較的スムーズですが、初診時やご紹介での来院の場合は、手続きの段取りや説明の流れに柔軟性が求められます。
「元気ある、おなが痛くない ≒ 重症ではない」
すごく特殊な例は、多々(特殊なのに)ありますが、頭の片隅に可能性は残しつつも、元気+おなが痛くないなら重症ではない、とおおよそ判断して対応をしていきます。
急性症状か慢性症状かを考えます。
お腹こわしました、と来院して、お話を聞くと最近お腹こわしてますと最近が加わり、よくよく聞くと1ヶ月前から、と。これは、何かあるなと思います。飼い主さんと時間軸が合わない事はあるので、お話をしっかり聞くことは大切です。代理で動物病院に連れていっておいて〜の場合はここがわからないことが多いです。
急性の場合は、今朝お腹こわしたのでそのまま動物病院きましたパターンか、今朝お腹こわしていたので、夕方仕事終わってから連れてきましたパターン。あるいは、数日前に発症、良くなりかけている。あるいは、一度よくなったが、また悪化した。途中で、自宅で整腸剤などで治療をしたけどよくならないなどがあります。
慢性症状が疑われる場合は、中途半端な治療で後々になって苦労する事があるので、治療<検査。急性症状かつ緊急性高くなければ、治療>検査でも良いです。
まとめ
お腹こわして、元気無いなら、検査した上で、入院や手術が必要か判断し、治療方針立てる。点滴入院は覚悟しておく。
慢性経過なら、どんな検査したらどんな病気がわかるのかという事を一通り説明を受けた上で、診断に結びつく手順で検査を進めて行き、一緒になって原因を探して行く。
細かい検査は、有料ゾーンを設けて追記していきます。
心構えをざっくりまとめました。読んでいただきありがとうございます。
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