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おおさか東線・片町線(学研都市線)の旅

 7月20日、今日は湖西線開通50周年記念の日。近江今津駅では記念のセレモニーやイベントが開催されるようであるが、当方は逆方向の南へ向かう。
 JRの「青春18きっぷ」はもうなくなるのではとの観測もあった中、今夏も無事発売された。先週購入しておいたその「青春18」は、本日7月20日からが使用開始期間となる。その初日に、大阪のおおさか東線、大阪と京都を結ぶ片町線(学研都市線)そして奈良の桜井線(万葉まほろば線)、そして京都までの奈良線の乗車を目指す。行ったり来たりの乗車計画であるので、乗り降り自由の「青春18きっぷ」の利用が最適である。


大阪外縁をつなぐおおさか東線

 ということで、湖西線と東海道線の新快速を乗り継いで、朝9:53新大阪駅に到着。まずはおおさか東線の発着する1番乗り場に向かう。おおさか東線は、新大阪と関西本線の久宝寺を結ぶ路線で、ネット情報によると、南区間(放出~久宝寺)は2008年3月、北区間(新大阪~放出)は2019年3月の開業とある。比較的新しい路線で、この路線の開業により「大阪外縁部において都心部から放射線状に広がる路線を相互に連絡することとなり、鉄道の広域ネットワークの形成に大きく貢献する」とのことである。いうならばたて糸が張られた蜘蛛の巣に横糸を張っていく役割といったところか…。
 1番線には9:56発、久宝寺行き6両の普通電車が出発を待っている。素早く乗車したところで、電車は定刻に新大阪駅を発車。2列シートの車内は空いている。
 出発してすぐ、線路は右に大きくカーブして東海道線の複々線の線路を高架でまたいでいく。
 9:59南吹田、10:01JR淡路と、電車は大阪の市街地の東側を高架で抜けていく。高層マンションなども目立つ。すぐに淀川を渡る。なみなみと水を湛えている。
 10:04城北校園通駅着。この路線、開通してまだ5年目ということもあり、各駅は新しい。ただしホームから見る限り、ここまでどの駅も無骨なコンクリートの壁に囲まれ、特徴がない。
 10:07JR野江着。駅間は短く、2~3分おきに停車する。そのたびに車内アナウンスは駅名とともに「○○線、△△線お乗り換えです」と、地下鉄や私鉄の名称を告げている。さすが“都心部から放射線状に広がる路線を連結すること”を目的としてつくられたおおさか東線の、これこそが特徴であることが分かる。
 10:09鴫野着。大きな駅で向かい側にもホームが見える。
 そして10:12放出着。これを“はなてん”とはなかなか読めないが、テレビのCMでかつてやっていた中古車センターの威力は大きい。放出へは後ほど折り返してきて、ここから分岐する片町線に乗車する予定である。電車は少し時間調整して、10:15放出出発。ここから先は当路線の「南区間」となり、開通したのが北区間の11年前ということになる。
 10:17高井田中央着。駅は北区間と比べてそれ相応の年季を感じる。この辺りから、車窓は少し“郊外感”が出てくる。
 10:19河内永和、10:21俊徳道と、相変わらず電車はせわしなく停車、そして車内アナウンスは駅ごとに例外なく乗り換えの路線名を告げている。おおさか東線の本領発揮中である。
 10:22JR長瀬着。ここではじめて車内アナウンスに乗り換え路線名がなくなる。車掌さんもほっと一息と言ったところか。
 10:25衣擦加美北(きずりかみきた)、10:27新加美と停まって、10:29定刻に終点・久宝寺に到着した。
 めまぐるしく停車しながら、車掌がよどみなく乗り換え路線名を告げていく、まさに大都市の路線おおさか東線の30分の旅であった。

放出まで引き返す

 久宝寺駅は関西本線(大和路線)との接続駅で、このまま行けば奈良方面に向かうが、当方は今来たばかりのおおさか東線で放出まで引き返す。
 ということで、ホームを入れ替わると、そこに“大和路快速”JR難波行きが到着。多くの乗客が降車して、ホームがいっぱいになる。外国人旅行客の姿も見られる。何事かと思っていると、そこに“大阪環状線”と表示された電車が到着し、ホームにいたほとんどの乗客がそれに乗って消え去っていった。みなさん(外国人も含めて)都会の路線網を乗りこなしているようである。
 しばらく待って、10:47久宝寺発大阪行きのおおさか東線の電車が到着。行きと同様6両編成の2列シートである。先ほど行った満員の電車とは異なり、ゆっくり座って来た道を引き返す。
 この辺り、何市になるのか土地勘はないのだが、車窓から見える建物に東大阪の文字を見つける。東大阪市へはずいぶん以前に近鉄電車に乗って司馬遼太郎記念館へ行ったことがあるのだが、その時にこのおおさか東線(南区間)が開通していたのかどうか、記憶は定かでない。
 11:02放出着。ここで、今日はじめて改札を出ることにする。改札で駅員さんに「青春18きっぷ」を見せると、一瞬切符と室内のカレンダーを見比べた後、黙ってすぐに金属製の改札扉を開けてくれた。この切符は今日が使用開始初日であり、当駅で使用したのは本日当方が初めてであるのを、駅員さんのそぶりから確信する(たぶん)。
 放出駅前は賑やかで、飲食店や各種商店がびっしりと並んでいる。人通りも多く大阪の活気を感じる一角である。きょろきょろしながら少し歩いてみるが、いかんせん暑い。天気予報では、今日の大阪の最高気温は36度などと告げている。
 早々に引き返し、駅に戻って片町線(学研都市線)の出発を待つ。
 

片町線で京都に向かう

 片町線(学研都市線)は大阪環状線の京橋駅と京都の木津駅を結ぶ路線で、今回は放出から木津までの乗車となる。路線の呼び名は昨今は“学研都市線”が一般的で、“片町線”はほとんど使われないとのことであるが、正式名は片町線であることに変わりはないようである。
 待つこと数分、福知山線の塚口を出て、尼崎からJR東西線を通ってきた木津行き快速電車が、11:26放出に到着する。7両編成のロングシート仕様の電車である。
 さっそく乗り込み、ロングシートの一番端しに座る。車内は空いているが、前も後ろも日よけシェードが下げられており、外を見ることができない。からくもドアの窓から外の景色を見る。
 電車は郊外の市街地を進んでいく。快速電車ということもあり、駅を飛ばしスピードを上げていく。
 11:31住道(すみのどう)に停車。すぐに出発。
 再びスピードを上げ、次は11:35四条畷に停車する。四条畷では多くの乗客が下車していく。代わって乗車してくる人数はそれほど多くないことから、車内は一層空いてくる。いつの間にか、車窓には住宅地の間に田んぼや畑が見えるようになっている。
 11:40星田着。左側に「フレンドマート」と描かれた見慣れた看板のスーパーが見える。
 11:43河内磐船着。出発してすぐに、左から高速道路が近づいてくる。地図で確認すると第2京阪道路とある。ここは何市なのか。大阪近郊のいわゆる“衛星都市”のどこかを走っているのは間違いなさそうであるが…。少ししてラーメン店の看板に「○○亭 枚方店」とあるのを発見。
 11:48長尾着。ここから先は各駅停車となることを車内アナウンスが告げている。
 11:50松井山手着。いよいよ京都府に入る。

 北陸新幹線がこの3月に敦賀まで開業した後、その先の京都・大阪に至るルートをめぐってここのところ議論が白熱しているようである。いったんは小浜から京都の北部地域をトンネルで抜けて京都市内を大地下で通り、京都駅から南下してこの松井山手に至り、ここから新大阪まで線路をつなぐ計画で決定されているのであるが、このルートに関する反対意見は根強く、当初却下された米原ルートを復活させるべきとの意見が強まっている。果たしてこの松井山手に新幹線駅ができる日が来るのかどうか、議論の行く末を見届けたい。
 松井山手では3分ほど時間調整をして、11:53出発。

放物線のてっぺんから南下

 続いて11:56大住に到着。この片町線は大阪を出て生駒山地の上辺(北縁)を迂回して、ぐるっと放物線を描くように木津に至るというルートをとるのだが、地図で見ると、この松井山手・大住間あたりが放物線のちょうどてっぺん辺りに相当する。
 11:59京田辺着。多くの乗客が下車していく。電車は時間調整のためしばらく停車するとのこと。駅前をふと見ると、「ALPLAZA」と描かれた大きな建物が…。滋賀県以外でもあちこちでこうしてがんばっている姿を見るのは、人ごとながら少し誇らしい。駅前のロータリーには何台ものタクシーが客待ちをしているのも見える。賑やかそうである。
 12:06出発。すぐに左に近鉄京都線の線路が並行し、電車が走ってくるのも見える。放物線のてっぺんを越えて今は南下しており、近鉄の電車も奈良方面に向かっているのだが、感覚的に北上しているような錯覚をおこしてしまう。
 12:08同志社前着。その名の通り、それらしい学生が何名か下車していくのが見える。ただし進行方向左手に見える景色はのどかな畑で、大学や高校のキャンパスは見えない。
 12:11JR三山木着。左手には近鉄三山木駅の立派な建物が見える。何名かが下車していき、車内はガラガラとなっている。
 12:14下狛(しもこま)着。
 12:17祝園(ほうその)着。難読地名が続く。車窓は田畑と住宅地が混在するのどかな景色である。その間を近鉄電車の線路がずっと併走している。
 12:20西木津着。
 そして定刻12:23、終点・木津に到着。およそ1時間の片町線の旅が終了した。特筆するほどの景色が見られたわけではないが、そもそも日よけシェードで窓が覆われており、おもしろいものを見逃したのかもしれない。

桜井線(万葉まほろば線)・奈良線の旅へ続く

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