姫新線・津山線・赤穂線の旅
10月半ばの3連休。今日は姫路から姫新線で津山まで、津山から津山線で岡山まで、そして岡山から赤穂線で姫路までと、兵庫県から岡山県にかけて3つの路線ぐるっと1周の旅に出たいと思う。
姫路城に見送られて出発
ということで、早朝の新快速で姫路に到着。今日は快晴の旅行日和である。駅からまっすぐ正面に姫路城が存在感のある姿を見せている。
駅構内のコンビニで簡単な昼食を購入。店員さんが「いってらっしゃいませ」と気持ちの良い挨拶をしてくれて、気分も上がる。
姫新線が発着する3番乗り場へ。待つこと少しで折り返しのディーゼルカーが入線してくる。到着した乗客が降りるのを待って乗りこむ。右側2列左側1列の前向きシートである。1列の側に座席を確保して出発を待つ。車内はほぼ満席で、立ち身の人もある。
9:50、定刻に列車は姫路を出発。播磨新宮行き2両編成の普通列車である。
姫路の市街地を抜け、車窓は徐々にのどかな田園地帯に、やがて山間の景色が広がるようになる。
10:12本竜野着。ホームに赤ん坊を背負った女の子と赤とんぼの歌詞を描いた銅像が! すばやくネットで調べて、竜野市が童謡「赤とんぼ」の作詞者・三木露風の生誕地であることを知る。竜野市は「童謡」や「赤とんぼ」で結構売っているみたい。
その後も列車は田園地帯の中を進む。収穫作業中の農家の人たちの姿も見える。
それにしても今日は良い天気で、秋の日差しがたっぷりである。そして、田んぼのあぜ道には彼岸花が赤々と咲き誇っている。よく見ると、あちこちに彼岸花があって、めちゃくちゃ多い! 彼岸はとうに過ぎているのだが、今年は猛暑の影響で花の時期が遅れているよう。
そうこうしているうちに、10:23、列車は終点の播磨新宮に到着した。
播磨新宮から佐用まで
下車したホームのすぐ向かい側に1両編成の佐用行き普通電車が待っている。1両ということで、座席獲得のため皆駆け足でそちらに乗り移る。先ほどと同じ右側2列左側1列の仕様である。当方も何とか席を確保できて一安心。車内は満員である。
10:27、定刻に列車は出発。山間の農村地帯を進んでいく。
相変わらず彼岸花が多い。さすがに花の盛りは過ぎているのだが、田んぼの黄や緑の中に赤色の列が彩りを放っている。まさに秋の風景。
そして列車はあっという間に、10:57佐用に到着した。
佐用の駅名は「さよ」と読む。高速道路のインターチェンジは確か「さよう」でなかったかと思って調べると、古くからの読み方は「さよ」であったが、1955年の合併時に佐用町は「さよう」に読みを変更したようである。鉄道の駅名は歴史的な呼称を守っている。
さて、佐用駅でも乗り換え時間は短い。到着したホームの向かい側に待っている同じく1両編成の列車に急いで乗り込む。今回の車両はロングシートが半分と4人掛けボックスシートが半分といった仕様である。
ロングシートの1番前寄りの場所に席を確保したところで、11:04佐用発。窓外の景色にこれまでと大きな変化はなく、のどかな田園地帯の中を列車は進んでいく。
上月に続いて11:21美作土居着。駅間は10分間と長い。そしてこの間に岡山県に入ったようである。ロングシートに座っている関係上、窓外の視界は限られているのだが、景色に大きな変化はなさそう。車内では大きなカメラを持った女性が運転席の横に立って前方を眺めたりしている。
津山に到着
30分ほど走って、窓外に津山の市街地が広がってきた。これまでがのどかな景色の連続であっただけに、津山の街がとても都会に見える。
11:58東津山着。次に12:03、終点・津山に到着した。
姫新線はこの後新見まで続くのだが、当方は、ここから津山線で南下して岡山に向かうことにしている。
津山駅ではいったん改札を出て精算する。ICOCAで入場してここまで来ているのだが、姫新線経由はICOCAは使えないとのことで、窓口の駅員さんにカードを渡して処理をしてもらい現金でここまでの運賃を支払う。
津山は岡山県北部の中心都市で、人口は10万人近く。先ほど車内から見えていた通り賑やか感が感じられ、駅やその周辺も人の行き来が多い。駅からすぐ近くの津山城など観光スポットも多そうだが、残念ながら時間がないのですぐに駅に戻る。
構内では津山線乗り場の4番線に赤い車両の岡山行き2両編成のディーゼルカーが入線している。車内は空いており、4人掛けボックスシートを一人で占領。ここで姫路駅で買ったサンドイッチを食べながら出発を待つ。
津山線で岡山まで
12:28、定刻に列車は津山駅を出発。津山線の旅の始まりである。
出発してすぐ左手に多くの列車が展示されているエリアが見える。「津山まなびの鉄道館」で、鉄道関係の博物館としてかなりの規模を誇っているそう。家族連れなどたくさんの人出があってこちらに手を振ったりしてくれている。
それを過ぎると、またもやのどかな田園風景。ただしこの辺りは午前中と違って彼岸花は少なく、代わりにススキの穂が秋の日差しのもと風に揺れている。
ところどころ、線路沿いに迫る木々の枝や葉っぱがバチバチと車両に当たっていく。別の場所で初めて見たときはびっくりしたが、あちこちローカル線の旅をしているうちに、これ、ローカル線の普通の景色であることを知った。
列車は各駅に停車しながら順調に進む。
降車は一番前のドアからのみで、駅に停まる度に運転士さんは席から立って、降りていくお客さんの切符を確認しつつ、大きな声で「ありがとうございました」と一人一人に笑顔で礼をしている。とても気持ちがいい。ただし、乗り降りする客が全くない駅も多いのだが…。
13:23金川着。初めてすべてのドアが開く。ホームには7~8名のお客さんが。そしてその向こうに少し街並みが見える。先ほど見えた建物には「岡山市立金川病院」とあったが、ここはもう岡山市なのか(まだまだ山間の景色なのだが…)。
しばらくすると大きな川が並走。旭川である。牧山を過ぎた辺りで川船で漁をする漁師さんが見えた。なかなか絵になる風景。
13:52、法界院の辺りで一気に市街地が広がり、びっしりと家々やマンションが立ち並ぶようになる。もう岡山市の中心部である。
そうこうしているうちに頭上に新幹線が走るのが見えたりして、13:56、定刻に岡山に到着。津山線の旅が終了した。
少し寂しい赤穂線
岡山駅は相変わらず賑わっている。各ホームでは何本もの列車が行き来し、人出も多い。
赤穂線乗り場の3番線に向かうが、ここにもものすごい人が並んで列車の到着を待っている。一瞬やばいと思ったが、そのほとんどの人は同じホームに先に到着した山陽本線・相生行き電車にぎゅうぎゅう詰めになって去って行った。
そうしてホームが空いたところで、赤穂線・備前片上行きの電車が入線。3両編成の黄色い車体である。こちらは先ほどの電車と異なって乗車率は50%くらいか。窓側の席に腰を下ろし出発待つ。
14:22、定刻に岡山を出発。本日の最終ラウンド、赤穂線の旅の始まりである。
岡山から相生、姫路方面に行くには、先ほどの山陽本線の列車を利用するのが便利で早そうであるが、今回はあえて赤穂線で2回乗り換えをして姫路を目指すことにしている。
出発した電車は岡山の市街地を抜けていく。3駅目の東岡山から山陽本線と別れて赤穂線に入る。赤穂線は単線である。
車窓には市街地から、やがて家々の間に田畑が見えるようになっていく。14:39西大寺を出てすぐに吉井川を渡る。川面に秋の陽光が光っている。
各駅で乗客は順調に(?)下車していき、14:50長船を過ぎると1両に数名といった感じに。
そのうちに新幹線が左手に並走。その手前には国道2号線も並走する。そして15:05、電車は終点・備前片上に到着した。幅の狭いホームに下車した乗客、当方を含めて3名。
備前片上では次の列車の到着まで40分の待ち時間があるのだが、駅前には自販機とタバコ屋さん以外何もない! 住宅街を少し歩くが、人通りはなく不審者と間違われそうなので、すぐに退散して駅に戻りボーとして過ごす。
備前片上から播州赤穂、そして姫路まで
15:40、播州赤穂行の電車が3両で到着。下車する人なし。乗車する人、当方のみ。車内は3割程度の乗車率か。
次の駅を過ぎたところで車掌さんが前まで来て、網棚からカードゲームの箱らしいものをとって確認している。どうやら忘れものらしい。無事に持ち主(たぶん子ども)に戻ることを祈る。
15:50日生着。温泉帰りと思われる人数名が乗車。出発してすぐ右手に瀬戸内海が一瞬見える。窓外の景色は山間に民家と田畑といった感じが続く。トンネルもいくつか越えていく。
やがて街並みが広がってきたところで、16:05、終点・播州赤穂に到着した。
播州赤穂では乗り継ぎ時間が1分しかない。降りたホームの目の前に16:06発草津行きの新快速が待っている。すばやく乗り込むが、対向列車が遅れており発車が少し遅れるとのアナウンス。ここはまだ単線区間なのだと、改めて認識する。
16:11、播州赤穂を5分遅れで出発。新快速といっても姫路までは各駅に停車していく。
16:22、相生で乗客多数。一気に車内は満席となって立ち客も。赤穂線はここまでで、この先は山陽本線となる。電車は順調に進み、16:45、姫路に到着。本日の兵庫・岡山ぐるっと1周の旅が終了した。
ちなみに、姫路からは「時間を金で買う」こととし新幹線に乗って帰途についた。3連休最終日で快晴の行楽日和。東京行き「のぞみ」の自由席は超満員で、京都まで通路で立ちっぱなしに…。あのまま新快速に乗って行けばよかったかなと、少し後悔した。
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