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京都丹後鉄道の旅
今回の旅は京都丹後鉄道。
京都府の北部(丹後地方)を中心に一部兵庫県にまたがって線路が敷かれている当鉄道は、天橋立で有名な宮津市を中心に、宮津と豊岡を結ぶ「宮豊線」、宮津と舞鶴(西舞鶴)を結ぶ「宮舞線」、そして宮津と福知山を結ぶ「宮福線」の3路線がある。それぞれの町の頭文字をとった線名となっていてわかりやすい。
宮豊線と宮舞線はもともとJR宮津線、宮福線は第3セクターの北近畿タンゴ鉄道が運営していたが、1990年にJR宮津線が北近畿タンゴ鉄道に移管、その後2015年より上下分離方式で別会社が運行を担うこととなり「京都丹後鉄道」として現在に至っている。
今回は、宮福線と宮舞線を乗り継いで、福知山から西舞鶴まで乗車する予定。どんな旅になるのか楽しみ!
福知山出発
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ということで、出発は福知山から。
6月下旬の休日、JRの特急「はしだて」に乗って、朝11:43福知山に到着。駅の案内板に従って早速、京都丹後鉄道乗り場に向かう。
自動券売機を見ると、福知山から宮津までが700円、西舞鶴までが1200円とある。列車は宮津行きなので、少しの乗り換え時間を利用して宮津で外に出たい気もする。
すぐ横にいた駅員さんに「宮津~西舞鶴間はいくらですか」と尋ねると、「600円です」との返事。分けて切符を買うと合計1300円になる。さあどうするか。しばらく考えて、結局、宮津までの700円の切符を買うことにした。
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しばらく駅周辺をぶらついた後、いよいよ構内に入る。改札横には先ほどの駅員さんがいて、「列車は2番乗り場にもう待ってますよ」と親切に声を掛けてくれる。
階段を下りてホームに向かうと、赤い車体の1両編成のディーゼルカーがひっそりと出発を待っている。車内は2列シートが並び、清潔感がある。
右窓側の席を確保し、昼食に買ったおにぎりを食べながら出発を待つ。座席数は40席程度。徐々に乗客で埋まっていく。4人グループの若者が前方の座席に向かい合って座り、賑やかに話しをしている。やがて赤いユニフォームを着た10名余りのサッカーチームの少年たちが乗り込んできて車内がさらに賑やかになったところで、12:13、定刻に列車は福知山駅を出発した。
にぎやかな車内
すぐに市街地を抜け、窓外は田園地帯となる。
2駅目の荒河かしの木台で対向列車とすれ違い。その後も、小さな駅に一つ一つ停まりながら列車は進んでいく。
12:41大江着。ここで2度目の対向列車待ち。しばらくすると「タンゴリレー特急」と書かれた2両編成の列車が到着し、すれ違っていく。
ここで、車内の「サッカー少年チーム」と思っていた子どもたちのユニフォームをよく見ると、「○○ BASKETBALL TEAM」とある。サッカーではなくバスケットボールであった。失礼しました。
それにしても彼らは騒がしい。見たところ中学生くらいか。静かにしている子もあるのだが、4人で向かい合ったグループは、乗車以来ずっと騒いでいる。引率らしい女性(先生?)がいて、自らは席に着かず、何度も少年たちの近くに行って注意などしている。ごくろうさまです。
二俣を過ぎて列車はますます山間に入る。
12:53大江山口内宮(おおえやまぐちないく)で3度目のすれ違い。山間の駅で、周囲に人家は全く見あたらない。
12:58辛皮(からかわ)着。片側に高い崖が迫る。同じく周囲に人家は全く見あたらない。
宮津に到着
その後も列車はいくつものトンネルを抜けながら、丹後の山地を進んでいく。ディーゼルカーであるがスムーズで力強い走りである。しばらくして、上空の高速道路の看板に「宮津市」の文字が見えた。海はもう近い。
13:03喜多着。左前方遠くに宮津湾らしきものが見えた。左右の景色がだいぶ開けてくる。何名かが下車し、空いた席に少年たちの引率女性がようやく腰を下ろす。
13:07宮村着。周囲には民家がたくさん建っている。
やがて町並みがさらに広がり、13:08終点・宮津に到着した。京都丹後鉄道前半、宮福線の旅終了。
丹後くろまつ号
宮津駅では少しの乗り換え時間を利用して、駅の外に出て散策の予定、であったのだが…。
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跨線橋を渡って出口に向かうと、改札の外側で多くの年配の団体客が入場を待っている。何事かと目の前のホームを見ると、黒い車体の臨時特急「丹後くろまつ号」が待機している。車内はレストラン風の特別仕様に仕立てられており、乗客が向かい合ったテーブルでランチを楽しまれている様子。どうやら時間調整のために、この駅で停まっているようである。そして、この列車が出発してしまうまで改札が閉鎖され、件の団体客が待たされているようなのである。その数、ざっと見て30数名。
乗車予定の西舞鶴行き列車はたぶん1両編成だろうし、これだけの乗客が乗ればきっといっぱいになる。ゆっくりと町並み散策に行っている場合ではなさそうである。ということで、急遽予定を変更して、改札を出て素早く切符を購入、そして団体客の後ろに並ぶことにする。西舞鶴まで600円也。100円損した。
奇跡的に着席
しばらくして「くろまつ号」は出発。改札も開放され、ホームに並ぶ。駅員さんの案内で並ぶ場所を指示されるが、予想通り乗り口は1両編成の前と後ろの2カ所だけである。団体客のみなさんは賑やかに話しをしながら列車の到着を待っている。JTBの名札をつけた女性の添乗員さんが、行ったり来たりしているのが見える。
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やがて、1両編成の青い車体のディーゼルカーが到着。天橋立方面から来た列車で、当然すでに乗客が乗っている。この時点で座るのをあきらめる。
あきらめながら団体さんたちの後ろから列車に乗り込む。前のドアである。ところが何と奇跡的に、2列シートが並んだ一番前に男性が座っていて、その席のとなりが一つ空いている。前を行く団体さんたちはその席に気づいているのかいないのか…、どんどん奥の方に進んでいって席に着いたり立ったりしている様子。当方すばやく着席。こんなこともあるのかと、旅の神様に感謝。最前列なので、進行方向の前窓から線路の様子がよく見える。
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視界悪化
13:24宮津発。京都丹後鉄道後半、宮舞線の旅の始まりである。
列車はすぐに宮津の町をはずれ、山間の線路をくねくねと曲がりながら進んでいく。しかし、ここで問題発生。
出発してしばらくすると、車内後方からカメラを持った青年や高校生風の若者が車両前方のスペースに来て立ち、当方からの視界がどんどん悪くなっていく。JTBの添乗員さんも横の壁にもたれて書類を確認したりしている。前が見えないのでどいてくれ、と言うのも大人げないのでじっと我慢して、首を曲げたり体を傾けたりしながら前方を眺めるが、景色はほとんど見えない。先ほどは旅の神様に感謝したのだが、ここであえなく落胆。
13:34栗田(くんだ)着。ここまで10分。駅間は長い。
やがて左の窓に日本海が見えてくる。宮津湾か。
13:41丹後由良着。出発後、しばらくして由良川橋梁を渡る。河口付近の由良川は堂々たる大河で、なみなみと水を湛えている。まるで海の上を行くような感覚で、一抹の恐怖心すら感じる。
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由良川を渡った後、線路は大きく右に折れて、川沿いを上流に向かって走る形になる。
13:45丹後神崎着。何名かが下車していく。下車は前のドアからのみなので、駅が近づいてくると下車予定の人たちが前のスペースに集まってくる。おかげで前方の視界は絶望的な状態…。出発後、勇気をふりしぼって席を立ち、立っている人をかき分けて運転席横の窓際まで行って前方の写真をパチリ。すぐに引き返して席に着く。この間、約10秒。これで思い残すことはなくなった(?)。
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終点・西舞鶴に到着
右手には由良川のとうとうとした流れが見え隠れしている。それ以外は、山と田畑とトンネルが続く。民家がちらほら。
13:51東雲(しののめ)着。対向列車とすれ違うが、待ち時間はほとんどなし。
13:55四所(ししょ)着。添乗員さんが後ろを振り返って「JTBのお客様はここで降りま~す」との声。声に続いて、続々と団体客が下車していく。駅の目の前には観光バスが一台待機していて、みなさんそこへ流れていく。バスの側面には「滋賀中央観光バス」の文字が…。同郷の方々であった(かどうかはわからないが)。
乗客の大多数が下車して、車内は一気にがら空きとなった。当方、左側中ほどの席に移動して、これでゆったり…と思った瞬間、「次は終点、西舞鶴です」とのアナウンス。旅の終わりはもうすぐである。
車窓から見える民家の数も増えてきて、やがて市街地が広がり、14:03、定刻よりやや遅れて西舞鶴に到着した。
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京都丹後鉄道は、バスケット少年たちや同郷の団体客などと乗り合わせ、しっとりと落ち着いた旅とは言い難い状況となったが、一方で、鉄道を利用する賑やかな人たちの姿を見ることができて、それはそれで有意義であったと思う。当鉄道の残る路線「宮豊線」には日を改めて乗車したいと思っている。
東と西 2つのターミナル
ところで、今回到着したのは西舞鶴駅であるが、舞鶴市にはもう一つ東舞鶴駅がある。東舞鶴駅はJR小浜線と舞鶴線の起点となる駅で、一方西舞鶴駅は京都丹後鉄道が分岐する駅で、両方ともターミナル機能を持っている。同じ市の中でこうして2つのターミナル駅が隣り同士で並び立っているのも珍しいのではないか。
ちなみに、東舞鶴駅には昨年降り立ったのだが、駅前の賑やかさは東舞鶴が上、駅そのものの大きさは西舞鶴が上との勝手な感想を持った…。
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何はともあれ、西舞鶴駅の自動券売機で京都までの特急券と乗車券を購入。乗車するのは14:36発、特急「まいづる10号」である。この列車は昨年も乗車しており、たぶんがら空きのはずである。
改札を通って3番乗り場に向かう。やがて、定刻に4両編成の白いボディの特急電車が到着。つい先ほど東舞鶴駅を出発してきた「まいづる10号」は予想通りのがら空きで、窓側の指定席にゆっくりと腰を落ち着け、帰路についた。
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