【読書メモ】「自分の中に毒を持て」 - 岡本太郎から学ぶ生き方
学生時代に一度読んだことがあったが、その後ろくに手に取ることもなかった岡本太郎氏の「自分の中に毒を持て」を、つい最近また読み直してみた。どういうわけか、無意識のうちにボクはこの本を求めていたのかもしれない。
この本について
戦後を代表する前衛芸術家である岡本太郎。
この自伝的エッセイ集には、芸術家としてだけでなく、ひとりの人間として生きるための示唆が随所に散りばめられている。
時おり過激とも受け取れる内容もあるが、それだけに刺激的なメッセージが詰まっているのだ。
ジャンル的にはエッセイ集となってはいるが、それは単にエッセイを集めただけの本という次元を超えている。
著者自身の経験から引き出された、人生の指針書とでも言うべき1冊になっていると思う。それ故に、この本の愛読家が多いのだろう。
刺さる名言集
本文の随所に今のボクに刺さる名言が散りばめられているのだが、その中でも特に印象的だったのは、他人と比較することなく、自分の内なる信念にしたがって生きることの重要性を説いた一節だ。
「自分を他人と比べるから自信がないなどと問題になる」
つまり自信を持つよりも、むしろ自分の内面の声に耳を傾けることが大切なのだ、と。
そして、
「本当に生きるとは、いつでも自分が未熟だと前提に据えつつ平然と生きていくこと」
というくだりも胸に残った。
今になってボクの人生を振り返れば、それこそまさに"その通り"だと思えてくるのだ。
確かに、多かれ少なかれ、ボク自身も他者の目線を気にしてきた面はある。
しかしこの本を読み返してみると、そんなボクの生き方は自分自身を生きているとは決して言えないのだと気づかされた。
周りの評価よりも、ボク自身が正しいと信じたことに真摯に向き合うことの方が大切だったはずなんだ。
だからこそ、他人と自分を比較するのではなく、"自分は自分"だと自覚することが何より重要なのだろう。
そう簡単にはできないが、日々の生活にこうした意識を持ち続けていけば、少しずつでも自分らしく生きられるようになっていくに違いない。
岡本太郎はこのエッセイにおいて、時代を超えて普遍的な"生きる"ということの本質を説いているのだと、今更ながら理解できた。
一人一人が"自分の中に毒を持つ"ことで、より豊かで実りのある人生が送れるはずなのだ。
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