「ちいさい言語学者の冒険」~吹奏楽のための~
私の指導させていただいている「ママさんブラスビート」から委嘱いただき2020年1月に完成しました。
ママさんブラスビートから作曲依頼をいただいたのが、2018年の秋ごろだったと思います。ママさんブラスの活動を考えると、作曲のテーマはやはり、子どもを中心にしたものがいいと思い、子どもの頃に読んだ本を読み返したり、あらたに児童書などを調べていました。そんな中で広瀬友紀さんの「ちいさい言語学者の冒険」という本に出会いました。
この本は、ちいさい子どもさんが言葉を覚えていく際に起きる言い間違いなどのエピソードを言語学者でありお母さんである広瀬さんが面白く、そして時に専門的に、でもわかりやすく解説してくれているとても楽しい本です。タイトルを見てすぐに読みたくなり、すぐに購入して読みました。子どもたちはこのように毎日言語の世界を冒険しているのだなあと思いながらの楽しい読書でした。
読み終わって、こういった子どもたちの言葉の世界の冒険を音楽化したいと強く思いました。この本は物語ではないのですが、この子どもたちの冒険の世界を自分なりに物語として空想して、それをもとに作曲をしたいと考えました。いろんなイメージを言葉にしてノートにメモし、1本のメロディーを書くことから作曲をスタートしました。子どもたちが、言語と出会い、言葉と格闘しながら、少しずつそれを自分自身のものとして獲得していく、そんな様子をイメージしながら作曲しました。
スケッチが完成した時点で、この曲のタイトルを「ちいさい言語学者の冒険」とさせていただくために、著者の広瀬友紀さんにお願いのメールを差し上げました。すぐに返信をいただき、許可いただけた時はとてもうれしかったです。
本当は、2020年6月にママさんブラスビートによって初演されるはずでしたが、コロナの影響でコンサートが中止になってしまいました。コロナの間、音楽活動が止まってしまって、時間がたっぷりあったので楽譜を見直し、改訂作業を行っていました。2022年に「第12回日本管打・吹奏楽学会作曲賞」に応募したところ、本選にノミネートされました!吹奏楽曲はこれまであまり作曲していませんでしたが、今後はじっくりと取り組んでいこうと思っています!
この曲には、ショートVer. とロングVer. の2つのバージョンがあります。初演では、ショートVer. が演奏される予定でした。2つのバージョンの音源を用意しました。ぜひ曲を聴いていただいて、さらに広瀬さんの著作を読んでいただいて、言語をめぐる子どもたちの冒険を楽しんでいただければと思います!
※作品についてのお問い合わせは、kimura-tetsuro@outlook.com までお願いします。
※音源は、楽譜ソフトFinale27、NotePerformer3を使用して作成しています。
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