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【スタバ】ブラックエプロン試験に1ヵ月の勉強で合格する方法

ブラックエプロンとは?

スタバに行くと、ほとんどの店員さんは緑色のエプロンを付けているが、たまに強いオーラをまとった黒いエプロンの店員さんがいる。
このエプロンは通称「ブラックエプロン」と呼ばれる。

ブラックエプロンは年に一回のブラックエプロン試験に合格した者のみが付けることを許されるつよつよバリスタの象徴である。
(合格率は8~10%と言われているらしい byGoogle先生)

そして胸元をよく見ると★の刺繍がされている。
実はこの星の数がブラックエプロンに合格した回数を表している

例えば★が3つ刺繍されていれば、3回合格したことを表しており、「バリスタの戦闘力」のようなもの(?)だと僕は思っていいる。

スタバではアルバイトも正社員も全員「パートナー」と呼ばれ、この試験はパートナーであればだれでも受けることが可能だ。
(この記事を見ている人もパートナーが多いかもしれない)

ここでは自分がほぼ知識がない状態から1ヵ月弱の勉強でブラックエプロン試験に合格することができたので、この記事では主に勉強方法にスポットを当てて、そのノウハウを説明したいと思う。

僕について

まず最初に僕自身について説明しておきたい。
というのもスタバ全体から見ても自分は相当特殊な立ち位置にいるからだ。

ほとんどのパートナーは店舗に立って実際にお客様と対話するバリスタだろう。
一方で僕はオフィス勤務でデータ分析を専門としており、試験を受けた時点で入社して半年と少ししか経っていなかった。
データサイエンティストなどと呼ばれている。

なので店舗に立っている人であれば当たり前に持っている知識や技術も僕は持っていなかった
逆にそんな僕でも勉強の工夫さえすれば合格できるということが分かったので、すべてのブラックエプロンを目指すパートナーにとって有益な記事が書ければいいなと思う。
なんか情報商材みたいな導入だな…

ブラックエプロンは「ゴール」なのか?

前振りが長く申し訳ないが、もう少しご容赦いただきたい。
ブラックエプロンはいわゆるペーパー試験の部類なので、極論知識さえあれば合格することができる。
これは自分への戒めでもあるが、合格した後にいかに自分の知識を行動を通して周りに広めるか、お客様とのコミュニケーションに活かすかが大事なのだと思う。

おそらく店舗で黒いエプロンを付けているパートナーのほとんどが知識と経験の両方を兼ね備えたプロフェッショナルだと思うが、僕のようにまずはブラックエプロン試験の合格を目指して勉強し、その後にそれ見合うよう自己を高めていくという方向性もありなんじゃないかと思っている。
そういった意味ではブラックエプロンは始まりに過ぎないのかもしれない。

そしてオフィスで働く僕にとってはグリーン/ブラックエプロン問わず、店舗に立つすべてのパートナーを大いに尊敬している。
(僕は接客業務苦手なので。。)

どれくらいの勉強時間が必要?

さて、本題に移っていこう。
まず合格にどれくらいの勉強時間が必要なのか?
これは個人差もあるとは思うが、自分は

毎日数時間 × 一ヵ月弱くらい

の勉強で合格することができた。
時間にすると合計50時間くらいだろうか?

これを多いとみるか少ないとみるかは人によると思うが、試験範囲が膨大なので、効率よく勉強しないと何か月頑張っても合格するのは難しいのではないかと感じた。

自分の場合はちょうど第一子が誕生した直後だったこともあり、なかなか勉強時間の確保が難しかった。
仕事が終わった後に育児に参加し、深夜に子供を寝かしつけた後暗闇の中でひたすらコーヒー豆の種類を覚えたりしていた。(大変だった…)

ブラックエプロンを知る

さて、結局のところ試験に合格することがブラックエプロンを取得する唯一の方法なので、試験の中身を知ることが大事だ。

勉強する上では以下のサイトが非常に参考になった。

なお、このブログは特に公開範囲を絞っていないため、スタバが公式に公開している情報や誰かブログ記事などで公開している情報を前提としている。

それ以上の情報を知りたいパートナーはクローズドな環境で回りのパートナーに聞いてみてほしい。

合格するためのポイント

最短で合格するための最も重要なポイントを挙げるとすれば

  • 知識を点ではなく線でとらえ、ストーリーで語れるようにする

  • 上記を踏まえて最低限の暗記で済ませる努力をする

つまり、「暗記する努力」よりはむしろ「いかに暗記しなければいけない項目を減らすか」の方向の努力が重要だと感じた。
というのも、ブラックエプロン試験の範囲は広大だ。
上で貼ったサイトにも書いてあるが、おおまかに思いつくだけでも

  • スタバの全コーヒー豆の全特徴

  • コーヒーやスターバックスの歴史

  • コーヒーに関する全般的な知識

  • 器具の使い方, etc

などを一通り抑えなければいけない。
これを一つ一つポイントで暗記しようと思うとめちゃくちゃ大変だ。
ということで、ここからは自分がどのようにこれらの知識を体系的に学んでいったかをまとめたいと思う。

コーヒー豆の情報、どうやって覚える?

スターバックスのコアコーヒー豆(=期間限定ではなく、年間を通して売られているコーヒー)の情報は以下の公式サイトから見ることができる。

だいたい20種類弱あるが、これらの全情報を頭に入れておく必要がある。
いくつかのコーヒー豆で例を挙げよう。

ライトノートブレンド

ハウスブレンド

スマトラ

イタリアンロースト

フレンチロースト

コーヒーの知識を活かす

これらの情報を一つ一つ覚えてるのはなかなか大変なので、いろんな知識やストーリーと紐づけていこう。
例えば各コーヒー豆には5段階で「酸味」「コク」のパラメータがあるが、当然これも全部覚える必要がある。

ここで焙煎の知識を活かそう。
コーヒー豆は焙煎度合いに応じて浅炒りから深煎りまであるが、焙煎は酸味とコクと密接に関係している

基本的に浅煎りの状態だと酸味が強く、コクはそこまで感じられないすっきりとした味わいになる。
深煎りに近付くにつれ、酸味が失われ逆にコクが強く濃厚な味わいになる。
そこからさらに深煎りにすると酸味もコクも失われ、スモーキーな味わいとなる。
下のイメージ図を見てほしい。

上記の豆をグラフ上にプロットしてみた。
ライトノートブレンドは浅炒りなので酸味はあるがコクはない。
ハウスブレンドは標準的な焙煎で酸味もコクもある。
スマトラは酸味が失われ、コクを深く感じる。
さらに深い焙煎になると、イタリアンローストでは酸味だけでなくコクも失われはじめる。
そしてスタバにおける最も深煎りであるフレンチローストでは酸味もコクも失われるわけだ。

このように考えれば「イタリアンローストは酸味が0で、コクが真ん中!」などと一つ一つ別々に覚えるより暗記が格段に楽になる

コーヒー豆ごとの焙煎度合い、酸味、コクを理解したらさらにいろんな知識と紐づけていこう。
例えばパッケージデザインにもいろんなヒントがある。
現在のパッケージは

  • 浅炒り→黄色

  • 中炒り→茶色

  • 深煎り→紫

で統一されているので、色さえ覚えていけばどの豆が深煎りか自然と想像できる。
デザインにも注目だ。
例えば紫色のフレンチローストのパッケージには最も深煎りであることを表すスモーキーな絵に加えて「フルール・ド・リス」と呼ばれるフランスを象徴する紋章がデザインされている。

このようにコーヒーのパッケージ一つ一つにコーヒーのストーリーを反映した情報が詰め込まれているため、これを使わない手はない。
このように視覚情報も用いることで右脳も使って効率的よく覚えることができる。
参考:

ここからさらに紐づけて相性の良いフレーバーも覚えていこう。
深煎りであれば
コクが強く、スモーキーなのでダークチョコレートが合いそうだな
とか、浅煎りであれば
すっきりしててバームクーヘンとかに合いそう。朝食のおともになりそう
などとイメージを膨らませていく。
ここでもできるだけ丸暗記に頼らずに理屈やストーリーで紐づけて覚えることが大事だ。

ちなみに上で貼った公式サイトでも下にスクロースしていくとそれぞれのコーヒー豆に合ったフード(フードペアリングと呼ばれる)を見ることができる。画像はスマトラの商品ページより引用。

チャンスがあれば実際に飲んで確かめてみることも大事だ。
飲んでみて、一つ一つ自分の言葉で表現し、公式の説明と紐づけて理解してくプロセスが大事だ。
できるだけ五感のすべてを使って覚えていこう

世界史の知識を活かす

次に歴史の知識を活かそう。
「歴史」と一口に言っても大きな粒度のものから

世界史 > コーヒーの歴史 > スターバックスの歴史

とあるのでそれぞれの粒度で概要を抑えて効率よく覚えたい。
特に世界史の知識なんかは一見試験に出る問題と無関係に見えるが、大枠をとらえることでかなり理解の助けになる。

以下はいわゆる「コーヒーの歴史」の話だ。

コーヒーの歴史はエチオピアカルディという少年がコーヒー豆を発見し、これが16世紀イエメン→トルコに伝わりいわゆる「トルココーヒー」となる。
さらに17世紀にはヨーロッパに伝わり独自の製法が広がり、ドリップコーヒーが発明されたりイタリアでエスプレッソができたりする。

トルココーヒー(画像はWikipediaより)

これだけでも十分ストーリーとして成り立っているが、世界史の知識があるとさらに理解が深まる。
例えば16世紀にはトルコからイエメンまで「オスマン帝国」と呼ばれる大きな帝国があったことを知っていれば、イエメンに広がったコーヒーがさらに現在のトルコまで広がったことはイメージしやすい。

オスマン帝国の首都「コンスタンティノープル」でコーヒーが楽しまれたという話も世界史のざっくりとした知識があればすっと理解できるはずだ。

他にも

  • どの植民地をどの国が支配していたか

  • アメリカがどのような成り立ちで出来上がったか

  • ボストン茶会事件でアメリカ人が紅茶を飲まなくなってから、どのようにアメリカにコーヒーが浸透したか

などなど、これは一例ではあるが世界史とコーヒーの歴史は密接に紐づいており、相互に関連している

スターバックスの知識を活かす

スターバックスの歴史もいろんなストーリーと紐づけて覚えたい。
スターバックス以前、独立戦争後のアメリカでは粗悪なコーヒーしか出回っていなかったという背景がある。

スターバックスの登場によりアラビカ種で深煎りの「美味しい」コーヒーがアメリカで広がった

スターバックスはアメリカのシアトルで始まり、やがて東海岸のニューヨークなどにも広がった。

これだけでもいろんな知識を紐づけることができる。
例えばスターバックスでは一番の深煎りがフレンチロースト、その次の深煎りがイタリアンローストである。

実はコーヒー屋さんによってはこれが逆のことがあり、その店で一番深煎りコーヒーを「イタリアンロースト」と呼んでいる場合もある。
実はこれ、アメリカでも西海岸と東海岸で定義が逆なのだ。

つまり、西海岸はフレンチローストが最も深煎り、東海岸ではイタリアンローストが最も深煎りとされる。

スタバは西海岸のシアトルで創業してそこから東に広がっていったため、フレンチローストが一番深煎りというわけだ。

また、深煎りのコーヒーを売りにして広がったわけだが、東海岸に展開するにあたってより広いお客様に楽しんでもらうため、浅煎り(スタバでいうブロンドロースト)を開発する運びとなった。

例えば日本でブロンドローストが発売されたのは比較的最近である2012年のことであるが、これはこういった歴史的背景がある。

このようにスターバックスの歴史を売られているコーヒーや世界史と紐づけることでより強固な知識となる。

地理の知識を活かす

最後の具体例として地理の知識を活かす例を挙げる。
コーヒーの原産地や取れる豆の種類などはさまざまだが、基本的に「コーヒーベルト」と呼ばれる範囲の赤道付近の場所に限られる。

コーヒーベルト(画像は以下のURLから引用)

これはこの辺りの気候がコーヒーの成長に適しているからだ。
ここで地理の知識と「植物としての」コーヒーの知識を深く結びつけることを意識する。

他にもどのようにコーヒー豆が収穫された後にどのように加工(焙煎前の生豆の状態で、外側の皮をむいたりする作業)されるのかにも地理は密接に関係する。

例えばアフリカは乾燥している気候の国が多いため、乾燥式と呼ばれる方法で乾燥させる。そのためすっきりとしたフルーティーな味わいの豆が多い。

一方でインドネシアでは雨が多くこのような方法は取れないため、半水洗式と呼ばれる独自の手法で加工される。
この方法は端的に言えば水に触れている時間が長いため、独特のコクのある風味となる。(大地のような、と表現されることもある)

上記で挙げたコーヒー豆のうち「スマトラ」は文字通りインドネシアのスマトラ島で取れたコーヒー豆であるため半水洗式であり、コクが強いことにも注目したい。

最後は丸暗記

これまでに説明した方法で大まかな流れを把握したとしても、最後はどうしても暗記しなればならない部分がある。
試験前数日は特にそのへんに注力して漏れがないように一気に暗記するといいと思う。

これは受験勉強や資格の勉強とも共通してる点はあると思っていて、例えば世界史や日本史などでは大まかな歴史の流れをつかむのが大事だが、最後は年号を暗記していないと解けない問題がある。

ブラックエプロンで言えば、コーヒー豆の情報に加えて器具ごとのコーヒーの抽出量や、人や農園の名前などがこれにあたる。

例えばスターバックスを最初に創業したのは
ジェリー・ボールドウィン、ゴードン・バウカー、ゼブ・シーグルの3人。
そしてスターバックスを大きく拡大した人物として最も影響力が大きいのがハワード・シュルツ。

創業者のお三方

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%84

こればっかりはストーリーで覚えろと言っても無理があるので「人の名前です。全員覚えてください」としか言いようがない。

使った教材とか

ここでは具体名は書かないが、内部で手に入る教材は当然すべて目を通す
他には何でもいいのでコーヒーに関する本を一冊買って通読すると理解度が上がると思う。

Youtubeなどの動画も役に立った。
水洗式などの加工方法や具体的な抽出の様子などはどうしても動画で見るほうがわかりやすい。

結構いろんな動画をかたっぱしから見た気はするが、以下の川野優馬さんという方のチャンネルはわかりやすかった。

あとはコーヒー豆の情報をExcelでまとめたりChatGPT
を活用したり
いろいろ試したが、このあたりは人によって覚えやすい方法をとればいいと思う。
もっとアナログに手書きのノートを作ったり単語帳を作ったりするのが合う人もいると思う。

おわりに


ここで挙げた例はブラックエプロン試験で出る膨大な知識のうちのほんの一部を切り取ったものである。
覚える知識が多い分それぞれの知識をストーリーで理解して大枠をとらえるのが大事になってくる。

また、このようにストーリーを理解することのメリットは単に試験を突破するためでなく、お客様に説明するときにも大いに役に立つと思う。

例えばライトノートブレンドを買おうか迷っているお客様に対して

「この豆は酸味が強くて、コクがあまりなくて、焙煎が…」

などと機械的に説明されるよりも

「もともと深煎りで有名なスターバックスが試行錯誤を重ねて完成した浅煎りのコーヒーなんですよ」

とか

「今あるフードだと○○と一緒に合わせて飲むと美味しいですよ」

など経験やストーリーと紐づけたほうがずっと説得力があり、全員が幸せになれるはずだ。

この記事が一人でも多くのパートナーの糧となることを祈っています。

そして、偉そうなことを言っている自分も相当知識だけに偏っている(+覚えた知識も使わないと忘れちゃう)ので気を抜かず精進しよう思う。。

おわり

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