Z世代に伝えたい、優しい世界の作り方(3章)⑦
夏の日の夕方、ゴーという音が山中に鳴り響き、地面は大きく揺れ始めた。
「地震だー」
と叫んで隼人のところに走った。
「なんだよ大げさだな、ここは岩盤も固く崖崩れもしないから安心しろ」
冷静な隼人は火を弱めながら言った。
「隼人はなんでそんなに冷静なんだ?」
「だってここには津波も来ないだろ、火をちゃんと見てれば家事にもならないぜ」
「それもそうだな」
やっと僕も冷静になった。
「でも都市部の人達が心配だな、シェフは大丈夫かな」
「そうだな、シェフは心配だ、でも何かあったら戻ってくるだろ」
地震は1時間以上続いた、大地震のなかには連動するものがある。東日本大震災も関東大震災も南海トラフの大地震がそうだ。
しかも、大地震が起こる場所には大都市がある。街に住み続けることを考えていないで、街を作るときの利益しか考えていない。でも経済というものはそういうものだから、貨幣経済がなくならない限りは世界は変わらないだろう。