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もしエンジニアから人事になるなら絶対にやっておくべきこと

こちらの発表の通り、自分の関わる組織をよくしようと思い、人事という名称のつく部署に異動してきてから5年が経過しました。てつのすけです。
この記事は 2023年 ジンジニア アドベントカレンダー の14日目です。


発表でもお話した通り、自身のキャリア開発における様々なブランチを作りつつ進めていったら「結果的に」このブランチがmainとして進んでいくこととなりました。
計画的偶発性理論において、予期せぬ出来事は待っているだけではチャンスにはなりません。「流れがきたとき」にどう動くのかが大事になってきます。そんな「将来人事になるという選択肢が少しでもある人」に参考としてこの記事をお読みいただければと思います。

・現在エンジニアであり、将来のキャリアとしての人事職が少しでも想定に入っている方
・現在は人事職を想定していないが偶発性の面からもちょっと気になった方
・人事じゃないけど将来はマネジメントをするだろうと思っている方
・人事職としての考えをアップデートしたい方
・人事職としての考えを周囲に伝えるのに参考にしたい方

対象となる想定読者

とりあえず結論

  • やりたいことをやるためには周りの巻き込み大事

    • それぞれの職種が抱える事情を理解しよう

  • 今できることは否定しないことと積極的に関わること

    • エンジニア職はそれがしやすい立場にあるんだよ

  • 知識だけじゃなくて体験に基づく文化理解が「ジンジニア」の価値

  • おすすめ本2冊読んで!


それでは、長くなりますがお付き合いください。

人事のお仕事が抱える難しさ

人事業務とはそもそも、を書いても仕方ないので、私にとって人事業務がその他の業務と大きく異なると感じているポイントを3つ挙げます。

・経営戦略に強く紐づくものであり全体最適が優先。場合によっては現場の意見を叶えることは難しいこと
・バックオフィス業務である以上自分たちの力だけで収益をもたらすことはできないこと
・「なんか偉そう」なイメージをもたれがち

これらをひも解いておきます。

全体最適の優先と公平・平等

直近弊社ではいわゆるエンゲージメントサーベイと言われる種類のサーベイを実施しております。これに対して、様々な意見を聞くことがあります。「答えているのに会社が変わらない」とか。「なんか偉そう」なイメージにもつながりますが「記載内容で評価に影響があるのではないかという不安があるからこれらに対して率直に答えないようにしてる」とか。
そもそも一般的に人は「自分にメリットがあると感じる」ことが最も大事であり、「住宅手当がほしい」とか「職場に猫がいたらいいのに」なんてことも思ってしまうものです。

「職場に猫がいたらいいのに」について取りあげてみましょう。
動物がいることで職場に癒やしの効果がもたらされることについては、何かしらのエビデンスもあるようです。

ところが、じゃあ猫を飼おう!
そんなことにはなりません。なぜなら、以下のような問題が出てくるからです。

・猫アレルギーの人がいるじゃないか!(私はこれです)
・猫を飼うなら犬も飼ってくれ!〇〇もだ!
・そんなお金があるなら他のことに使ってくれ!

こんな意思決定はサービスの開発においても起きているでしょう。サイトのイメージカラーは青なのかオレンジなのか。この機能はいるのかいらないか。こういったときにエンジニア的には何らかの軸をもってジャッジしていると思います。そして、このジャッジができることの大きな理由は、対象がソフトウェアであることだと思います。大きなポイントは以下の2点です。

・失敗したときに作り直しが比較的容易であること
・短期間で効果測定がしやすいこと(失敗がすぐわかり、やりなおししやすい)

一方で、ハードウェア的なこと、たとえば一度猫を飼ってしまったらその猫をDELETEすることはできません。また従業員ストレスの低減が業績に現れるのには半年くらいの期間がかかる可能性が高いです。一時的な盛り上がりは起きるかもしれませんが持続的な効果を及ぼさない可能性も高いでしょう。そういった施策に対しての意思決定は慎重になりがちな分野であるといえます。このようにして、従業員のために何かをしてあげたいと思っていたとしても、その施策が決定的に素晴らしいものでない限りお蔵入りになることがあります。意思決定はこのあたりの全体最適を踏まえて経営層が行うため、個別最適重視の現場の意見が通りにくいという側面があります。

究極、現場の人事担当レベルでは、経営層の意思決定にさえ納得できないなんてこともあるものです。

「THE PROBLEM WITH GIVING IN TO THE URGE TO PLEASE EVERYBODY (全ての人を満足させようという衝動に屈してしまう問題)」

また、その延長に「きれいなオフィスがいい!」という意見は、効果は明らかです。しかし「そりゃそうだろ!!私だってそのほうがいいわ!でもその代わりに給料1万減らしてもいい?!」ってなるわけです。これは個別最適ではないけど!

嫌われたら終わり。信頼貯金。

こんな特性を持つ人事施策を実施していく人事職ですが、バックオフィス業務である以上、自分たちの業務により直接的に売上はあがりません。従業員の方々の協力無しに成果があがることはないということです。
よく「人事が採用している」ということを言われていますが、あくまでも入り口のところでありフィルタリングとしての不採用こそあれ、最終的には現場や代表の判断や承認のもと採用は行われるものです。何かの施策も推進・旗振りこそすれ、そこに乗っかって動いていただくのは会社全体であり個々の従業員なのです。

ここで「あいつらは自分たちのいうことを聞いてくれないのに、人事からは強制的に研修を受けろだの言われる」という構造ができてしまいがちです。
いわゆる「信頼残高」がないかぎり、従業員のみなさんに何かをお願いしてうまく聞き入れてもらうことが難しくなってしまうという問題です。

信頼貯金については初日の記事でてぃーびーさんも書かれています。この記事内では取り組んでからの信頼について書かれているような印象を受けますが、取り組む前から貯金を作っておければなお良いと思ってます。

では、この信頼残高はどのようにしてできるのでしょうか?

実は、エンジニア職であることは、この信頼残高を作ることにおいては有利な面があると思います。それは単純に「技術力」であり「問題解決能力」があることです。

現在エンジニアであるこの記事の想定読者の方は、今エンジニアであるうちに、これらの能力等を用いてぜひ周囲から信頼されることが大事だと思います。

基本的な信頼の作り方

年末のお時間のある際にでも読んでみていただければと思いますが、名著「7つの習慣」にはこのような記述があります

「まず理解に徹し、それから理解される」

「7つの習慣」より、第5の習慣

また、この書籍には「影響の輪」という考え方があり、最終的に「公的な成功」に到達するには周囲に影響を及ぼしながら(つまり周囲の力も借りながら)大きな仕事を成し遂げていくように書かれています。

7つの習慣の全体像。
まず自身が主体性を発揮し、周囲を理解して理解されながら、
シナジーを作り出して公的成功を実現するように書かれている

ITエンジニアの面白いところの一つに、「様々な業務を仕組みとして知ることができる」という面があります。私もサービス、官公庁、金融などの業態に対して過去お仕事で関わってきて様々なことを知ることができました。
エンジニア職としては「周りの業務をよく理解する」チャンスが転がっているということだと思います。この立場を活かして様々な周囲のお困りごとを知って解決していくこと。この「Giveの精神」こそが今あなたがもし将来のキャリアの可能性として人事を検討している場合、あるいはマネジメントの立場でチームやその外の方々と関わるために重要な経験につながると私は思っています。

究極、ジンジニアの価値とは、エンジニアについての知識だけじゃなくて体験に基づく文化理解があることで、この相互理解が深いレベルでなされることでシナジーが作れるかどうかです。エンジニアの採用やってるから私ジンジニアですじゃねえんだよ!!

理解の視点で注意すること

「社内で開催されるレクリエーションイベントなんて意味ないよ」とか「女子マネージャーとラジオ体操すると弁当がもらえる福利厚生、朝起きるなんてやだし気持ち悪いから俺辞めるわ」みたいな発言を見聞きしたことがあると思います。

確かに、そんなことに使うお金があるなら、いいオフィスにする金の足しにしろよ!とか、給与に反映してくれよ、とかそういうことを思うのは自然です。しかし、一歩冷静になって、「企画側の思い」を組んでみたり、「もし自分が企画側に回ったとしたら何を考えるだろうか」に思いを巡らせてみてください。そこには今みなさんが苦労している、「あいつら、すぐこの修正簡単だよね?とか言ってくる。俺たちのことわかってくれない」というような同じ構造が見えてくるのではないでしょうか。

この、まず理解し、理解されよ。という言葉を私は「自分のやりたいことを叶えたければ、まず相手のやりたいことを叶えよ」と置き換えて捉えています。営業とエンジニアの対立、従業員と人事の対立。同じ目的を持って集まっているはずの仲間が敵対し続ける必要はないと思います。(対立そのものは健全に意見をたたかわせることができるのならばあっても良いと思います)

絶対にやっておくべきこと

最後に、「絶対にやっておくべきこと」の具体例として、下記の本をおすすめします。また、発表にてお伝えしたように「なんらかのコミュニティやプロジェクトへの参加を通じて低いリスクで相手の立場を経験すること」をおすすめします。それは「採用に関わる」でも「納会企画に立候補する」でも「営業同行する」でもなんでも構いません

本当は7つの習慣を何度も読んでいただくのが良いと思います。普段は人ではなく機械に言うことを聞いてもらうことのほうが多いかもしれないエンジニアの方に一旦この書籍を読んでいただく。そして、すべての人がお互いに気持ちよく働き、その結果としてより大きな意義のある仕事ができるようになる未来を願ってこの記事の締めとさせていただきます。

その過程の一つのキャリアブランチ戦略として、双方の立場を理解することによって会社を良くしていくこと。これがジンジニアの価値であり使命であると私は思います。

えっ?なんか辛そうだからやりたくない?もし今の時点のあなたがそう思っていたとしても、そのうちやりたいことが変わってくるかもしれませんよ…そしてやりたいことをやろうと思ったとき、あなたに協力してもらえるだけの「人格」が備わっていなかったとしたら…

おまけ:絶対にやらないでおくべきこと

発表に関するnoteでも触れましたが、「そんな施策意味ない」「うちの人事は馬鹿なんじゃないかな」という発言は、所属の欲求や承認欲求を傷つける行為だと思います。斜に構えたり、とりあえずの気持ちをそのまま表明してしまうことはあるものですが、私はこの件については因果応報だと思いとても反省しています。そのときそう言ったことはもう相手は覚えていないかもしれませんが、今自分が諸施策を浸透させるにあたって苦労するシーンがあった場合にこのようなことが跳ね返ってきてしまうものではないかと思っています。

思ってもそのまま言わない。一度相手の立場を考える。これを大人の行動として銘じておくとよいなと今は思います。なんか途中思ったこと漏れてた気がするけどw

おまけ2

ヘッダー画像はChatGPTで作ったんだけど、微妙に綴り間違えるんだよなあ。


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てつのすけ(@Tetsunosuke) - まなびプランナー
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