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地方の建築会社が選ばれるSNS活用について徹底的に考えてみた

建築業界においてSNSの活用は、もはや選択肢ではなく必須となってきています。facebook・X(Twitter)・InstagramはもちろんのことYouTube・TikTokなど動画コンテンツも豊富になってきました。特に地方の建築会社にとってSNSは新規顧客獲得の重要なツール。今回は、15年に渡って一貫したSNS戦略で成果を上げてきた(有)丸善工業の事例を通じて、建設業界におけるSNS活用の本質に迫ってみたいと思います。

なぜ今、建設業界でSNSが重要なのか

建設業界は従来、紹介営業や既存顧客からの口コミが主な集客方法でした。しかし、デジタル化が進む現代において、お客様の情報収集方法は大きく変化しています。特に、家を建てる際の最初の情報収集では、85%以上の方がSNSやインターネットを活用しているというデータもあります。

このような状況下で、SNSを効果的に活用できている企業とそうでない企業の差は、年々広がっています。

(有)丸善工業の15年に渡るSNS戦略

3代目が始めた「顔の見える」情報発信

丸善工業の3代目であるわたしは、2009年に家業を戻ってきた際、まず取り組んだのが自身の顔を出したSNS発信でした。アメブロ・facebook・Twitterなど当時はまだSNSの活用が一般的でない時期でしたが「建築会社は人と人との信頼関係が全て」という信念のもと、積極的な情報発信を始めました。

投稿内容の3本柱

わたしのSNS投稿は、以下の3つの要素を意識的に盛り込んでいます:

  1. 日々の現場での出来事や進捗状況
    施工中の物件の様子や、職人たちの丁寧な仕事ぶりを定期的に発信。特に、通常では見ることのできない建築の裏側にスポットを当てた投稿が好評を得ています。

  2. 社員や職人たちの人となり
    チームメンバーの技術力だけでなく、趣味や家族との時間など、人間的な側面も積極的に紹介。建設会社で働く人々の等身大の姿を伝えることで、親近感を醸成しています。

  3. 地域との関わり
    地域の祭りへの参加や清掃活動など、企業市民としての活動も定期的に発信。地域に根差した企業であることを自然な形で表現しています。

継続の秘訣:「等身大」であることにこだわる

わたしは「SNSは広告ではなく、コミュニケーションツール」という考えのもと、あえて完璧な仕上がりにこだわらない投稿スタイルを貫いています。時には失敗談や悩みも正直に共有し、それが逆に共感を呼ぶ要因となっています。

SNSを通じた「逆指名」の実績

15年間の継続的な発信の結果、(有)丸善工業には興味深い変化が現れました。新規のお客様の約40%が、SNSをきっかけとした逆指名による受注となっているのです。

特に印象的なのは、以下のようなお客様の声です:

「毎日の投稿を3年以上見続けて、この会社なら安心して任せられると確信しました」

「社長さんの人柄や、従業員の方々の仕事に対する姿勢が伝わってきて、自然と信頼感が醸成されていきました」

「地域貢献への真摯な取り組みを知り、同じ価値観を持つ会社だと感じました」

成功のポイント:「共感」を生む3つの要素

丸善工業のSNS戦略から見えてくる成功のポイントは、以下の3つに集約されます:

1. 一貫性のある発信

15年という長期に渡って、途切れることなく情報発信を続けてきたことが、企業としての信頼性を高める結果となっています。特に建設業では、長期的な信頼関係が重要となるため、この継続性は大きな強みとなっています。

2. 透明性の確保

工事の進捗状況や、時には発生した問題点なども含めて、オープンに情報を共有する姿勢が、潜在顧客からの信頼獲得につながっています。

3. 人としての魅力の表現

経営者や従業員の人となりが自然な形で表現されることで、「この人たちに任せたい」という感情的な共感を生んでいます。

これからのSNS活用に向けて

建設業界におけるSNS活用は、今後さらに重要性を増していくと考えられます。その中で、丸善工業の事例から学べる重要なポイントは、「テクニックではなく、真摯な姿勢を伝えること」の大切さです。

今後の展望

  1. 動画コンテンツの強化
    現在、丸善工業では施工過程をタイムラプス動画で記録し、YouTubeでの配信も開始しています。建築の過程を可視化することで、さらなる信頼関係の構築を目指しています。

  2. 地域密着型の情報発信強化
    地域の課題解決に向けた取り組みや、地域の魅力発信など、より地域に根差した情報発信を計画しています。

まとめ:SNS活用の本質とは

丸善工業の15年に渡る取り組みから見えてくるSNS活用の本質は、「技術や手法」ではなく、「誠実なコミュニケーション」にあります。

建築業は、お客様の人生における大きな決断と密接に関わる仕事です。だからこそSNSを通じて企業の理念や従業員の人となりを伝え続けることが、選ばれる企業となるための重要な要素となっているのです。

SNSは単なる広告媒体ではありません。それは、お客様との信頼関係を構築するための「対話の場」なのです。この本質を理解し、真摯な姿勢で取り組むことができれば、地方の建築会社であっても、確実に選ばれる企業となることができるでしょう。

最後に、
「SNSは決して魔法の杖ではありません。しかし、私たちの仕事に対する想いや、お客様への感謝の気持ちを伝え続ける場として、これからも大切にしていきたいと考えています。」

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