【読書三昧】『多読術』
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本日、編集工学研究所所長・イシス編集学校校長の松岡正剛(まつおか せいごう)の『多読術』(ちくまプリマー新書、2009年)について紹介します。
松岡正剛という名はウェブ「千夜千冊」で知りました。「千夜千冊」は読書エッセイサイトで、2000年2月3日の中谷宇吉郎の『雪』の書評からスタートし、紹介されている本は1794冊になります(2022年2月7日時点)。一冊に対する感想の量は他の書評サイトとは桁違いに多いです。
松岡氏の仕事場には数万冊の本、自宅にも小説などを中心に大量の本があります。その読書の守備範囲は極めて広きに及んでおり、知の巨人と言われています。
目次
第一章 多読・少読・広読・狭読
第二章 多様性を育てていく
第三章 読書の方法をさぐる
第四章 読書することは編集すること
第五章 自分に合った読書スタイル
第六章 キーブックを選ぶ
第七章 読書の未来
あとがき「珈琲を手にとる前に」
松岡氏は「編集工学」なる言葉を創り出し、「編集」が著者自身の重要なキーワードになっていきます。松岡氏の読書術は編集したり創作したりしています。
読書の醍醐味について、松岡氏は下記のように答えています。
松岡氏は多読術の方法を二つ紹介しています。
ひとつには、自分の気になることがテキストの❝どの部分❞に入っているのか、それを予想しながら読むということです。 もうひとつは、読書によって読み手は新たな時空に入ったんだという実感をもつことです。そのことを読みながらリアルタイムに感じることです。この「リアルタイムに感じる」ということが大事です。読んでいる最中に何を感じたかも、マークしておきたい。82頁
松岡氏は、本書で上記の二つのことをあらかじめはっきりさせるための方法として、読みながらマーキングをすることを勧めています。
本書の各章とも読みに値します。私が特に印象に残り、お勧めしたいのは第六章の「キーブックを選ぶ」です。松岡氏は、複合読書法を勧めています。複合読書法には三つあります。
類書や似たような本をなるべく一緒に読むか、近い時期に読むかによって、想像以 上速く読めます。
「本から本へ」というふうに読むことです。
「光を放っている一冊」=「キー本」、「キーブック」を読むことです。
下記は、松岡氏の実践する複合読書法の図式です。
松岡氏は本書でたくさんの「キーブック」を紹介しています。たとえば、宮本常一の『忘れられた日本人』、ヘルマン・ヘッセの『デミアン』、ミシェル・フーコーの『知の考古学』も、甲斐大策の『餃子ロード』などをあげています。
私は2009年7月18日に本書を購入して以来、今日まで約50回は読み直してました。松岡氏が紹介する本をなるべく読みようにしています。
松岡氏によれば、甲斐大策の『餃子ロード』を読んだ後、甲斐大策著の本を5-6冊読んだと言います。
甲斐大策の『餃子ロード』は、品切れになってしまったため、まだ読んでいないです。いつかは読んでみたいと考えています。
松岡正剛の『多読術』は、私の読書歴のなかで5本指に入るキーブックです。
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